NECパーソナルコンピュータは、自社のPCに装備しているTV視聴/録画ソフト「SmartVision」の技術説明会を開催した。
SmartVisionは1995年のTVキャプチャボードによるTV受信と同時に開発が開始され、BS/CS、地デジ、DLNAなどに順次対応し、現在でも進化が続いている。
今回の技術説明会では、これらの進化について担当者による説明があり、特に3月15日に公開されたTwitter連携機能「つぶやきプラス」について時間が割かれた。
SmartVisionの特徴は、基本的に社内の技術で構成されており、何かの新機能を追加する際にも、社内だけで開発が進められるところにある。一方で、モジュールなどは「つぎはぎ」に近い状態で、ユーザーインターフェイスの調整などが一部の改変が必要なOEM用途には適していないという。自社技術で固められているため、データの継承性もよく、アナログTV時代の録画も、現在のSmartVisionで視聴できる。
SmartVision全体の解説を行なった商品開発本部本部長 小野寺忠司氏 | 地デジ対応PC市場でNECパーソナルのシェアは34%。ユーザーの満足度も高い | 1995年に始まるSmartVision進化の系譜 |
基本的な方針として「たくさん録って、効率良く消費する」というテーマがある。たくさん録るために、最大16倍の長時間録画機能や、個数制限がなくいくつでも使える外付けHDD、などの機能が盛り込まれている。効率良く見るためには、最大2倍速の変速再生、自動化されたCMカット、他の機器で続きが見られるDLNA/DTCP-IP対応、携帯電話で持ち出せる「外でもVIDEO」などの機能を備えている。
PCらしい操作方法として、リモコンによるインターフェイスに加え、キーボードとマウスによる自由度の高い操作や、ジャンルごとに着色やフォント変更ができる自由度の高い番組表などが挙げられた。
また、SmartVisionの利点として、変速再生時でも、音が聞き取れるようにするためのデコーダエンジンや、CPU負荷が少ないデコーダ描画エンジン「NECプレゼンタ」など、独自技術による機能の利点が強調された。
Twitter連携機能である「つぶやきプラス」については、企画担当者が、サッカーの試合を一般のTVで見ながらスマートフォンのTwitterを見ており、ゴールの瞬間に盛り上がった経験がきっかけという。
これをPCのTV機能で実現すれば、日本中の人と感動を共有して盛り上がれるのではないかという、発想で企画され、製品化にこぎつけたという。製品化にあたっては、ユーザーインターフェイスの整理や、録画番組でのつぶやき表示、つぶやきをクリックすることでその瞬間にジャンプする機能、Twitterによるリモート録画などの機能が追加された。部内では、つぶやきによるコミュニケーションに興味のない、比較的年齢の高いスタッフを説得するのに苦労したという。
質疑応答の際には、個人のつぶやきを録画することへの可否について担当者からは、「Twitterの見解としては、公開された状態でパーソナルに記録/視聴されるのであれば良いという判断をもらった。また、ツイートの内容についてはフィルタリングすべきという考えもあるが、検討の結果、行なっていない」と述べられた。
「つぶやきプラス」の画面。番組に関連したハッシュタグも追加できる | Twitterでのコミュニケーションに興味のない層でも、録画予約など便利な機能を追加することで説得した |
また、現在録画したTV番組を、買い換えたPCで視聴する方法について、「現時点では、光ディスクに焼くか、DTCP-IP対応のNASにコピーしておくしか方法はない。ただし、これは課題として考えており、なんらかの方法で、外付けHDDなどに保存した録画データの再生ができるようにしたい」と答えた。
さらに、PCでのTV視聴は液晶パネルなどに差があるので、単体TVの品質に劣るのではないかという質問に対し、「現時点ではさまざまな工夫により、ようやく一般の液晶TVに追いついたのではないかと思っている。ただし、4倍速表示などの高品質な製品には追いついていない。また、PCについては、RGBベースのPCの画面と、TVの画面ではガンマカーブも異なるという難しさもある。現時点では、フォーカスの当たっているウィンドウによって、画面を切り替えている状態だが、今後も最適な方式を考え続けていく必要があるだろう」と語った。
(2012年 3月 21日)
[Reported by 伊達 浩二]