【告知】元麻布春男氏、逝去のお知らせ


 弊誌にて「週刊PCホットライン」を連載中の元麻布春男氏が、6月21日午後に虚血性心不全にて急逝されました。

 元麻布氏は、PC/AT互換機の黎明期からライターとして活躍されました。技術面に強く、その記事は「アスキー」「スーパーアスキー」誌上で人気を呼びました。初期のDOS/Vユーザーにとって、氏の個人輸入の記事は非常に大きな影響を与えました。

 元麻布氏は取材活動に熱心で、1日に複数の発表会を掛け持ちされることがよくありました。今回の事故も、その日2つ目の発表会場へ移動中のできごとでした。また、海外取材にも熱心で、IDFやWinHECなどの大きなイベントには欠かさず出席されていました。

 最近は、Macintoshを愛機とし、WWDCのレポートを行なうなど、新しい分野に立ち向かう衰えない好奇心を示されていました。弊誌以外でも、IT系Webマガジン、モノ系雑誌、Xbox関連書籍の監修など、幅広いジャンルで活躍されていました。

 弊誌では、1998年8月に「週刊PCホットライン」の連載を開始されました。最初の記事は「ビデオチップベンダーのサバイバル」です。以後、13年間に渡り、800本近い記事をご執筆いただきました。内容も、技術解説、インタビュー、イベントレポートなど、広い範囲に及んでおります。

 とくに、大手メーカーの合併/撤退などは、長年にわたり動向を追い続けてきた強みを生かし、独自の分析と共感を盛り込んだ記事を執筆されて、多くの読者の注目を集めました。昨年掲載された「Adaptecという会社が消えた日」は典型的な例で、最終的に18万人の方にお読みいただきました。

 また、2005年のrootkitによるコピープロテクションCDに関する一連の記事は、音楽を愛するユーザーの視点に基づいた発言であり、大きな反響を呼びました。コピープロテクションCD撤退にあたって、一定の影響を与えたと確信しています。

 弊誌掲載の最後の記事は「価格とライセンスが見直された新MIFESを試す」です。この記事は6月20日に原稿をお預かりし、お亡くなりになった当日の21日0時に掲載されました。この記事も、単なる製品レビューではなく、製品の歴史、存在意義などを明らかにした内容であり、元麻布氏ならではの記事となっていました。

 なお、通夜/葬儀に関しては、故人の遺志もあり、ご親族による密葬で行なわれました。葬儀が無事に終了することを優先し、編集部の判断で読者の皆様への告知が遅れましたことをお詫びいたします。別途、お別れ会のような形で弔意を受ける場が設けられるよう準備を始めております。

 元麻布氏の長年に渡るご執筆に感謝し、ご冥福をお祈りいたします。また、常にご愛読いただいた読者の皆様にもお礼申し上げます。

(2011年 6月 27日)

[Reported by 伊達 浩二]