ソニー、電子書籍端末「Reader」をバージョンアップで.book対応化
~講談社のコミック約5,700冊と書籍約300冊が購入可能に

「Reader」(5型)

6月22日 発表



 ソニーは22日、同社の電子書籍端末「Reader」を「.book」形式に対応させるアップデートファイルの提供を開始するとともに、23日より講談社提供のコンテンツを追加発売することを発表した。

 ReaderはE Inkの電子ペーパーを採用した電子書籍端末。これまでは、著作権保護された形式として「XMDF」のみに対応していたが、アップデートにより、著作権保護された.book形式に対応可能となった。.bookはボイジャーが開発した規格で、コミックを中心に国内作品/サービスで採用が多い。アップデートはReader本体をPCにつなぐと自動的に通知され、本体内のファームウェアと、ファイル転送を行なうアプリケーション双方が更新される。

 また、23日より講談社が提供する.book形式のコミック約1,360タイトル/約5,700冊と、書籍約300タイトルがオンラインストアで発売される。一例として、書籍では田原総一朗著「田原総一朗 Twitterの神々」、京極夏彦著「死ねばいいのに」など、コミックでは梶原一騎著「巨人の星」、諫山創著「進撃の巨人」、古谷実著「行け!稲中卓球部」など、人気作から新作まで幅広い作品が用意される。

「のだめカンタービレ」 二ノ宮知子/講談社 (C)二ノ宮知子/講談社「社長 島耕作」 弘兼憲史/講談社 (C)Kenshi Hirokane/Kodansha「進撃の巨人」 諫山創/講談社 (C)HAJIME ISAYAMA/Kodansha「沈黙の艦隊」 かわぐちかいじ/講談社 (C)Kaiji Kawaguchi/Kodansha

 今回のファームウェアでは、.bookへの対応と同時に、コミックの表示における最適化を図っている。具体的には、「沈黙の艦隊」、「のだめカンタービレ」といった、いくつかの作品をベンチマークとして利用。これらの作品は、比較的、絵が薄かったり、小さな文字が多く、そういった作品でも見た目に支障が出ないようなアルゴリズムを開発した。そのため、同じコンテンツであっても、.book対応の他の端末や、いわゆる「自炊」したデータよりも、より良い画質を実現できるとしている。

左から、コミックをそのまま表示させた場合、表示の最適化を進めた段階、製品版での表示。Readerの最適化は、こういった細い線のほか、スクリーントーンの表示などで大きな違いが出る

 Reader上で.book形式のコンテンツと、XMDF形式のコンテンツとに機能的な差異はなく、しおりやコメントも残せる。講談社提供のコンテンツについては、購入後にダウンロードできる期間が365日に制限されている(XMDFでは無制限)ものの、バックアップや他のPCへの移動については制限はない。

 なお、ソニーでは6月10日より、Readerを購入後、製品登録したユーザーに普段よりも3,400ポイント多い3,900ソニーポイント(3,900円相当)をプレゼントする「サンキューキャンペーン」を8月31日まで実施しているが、今回のアップデートに伴い、3,900円に収まるコミックコンテンツ数冊をひとまとめにしたお薦めセットを用意する。

(2011年 6月 22日)

[Reported by 若杉 紀彦]