AMD、メインストリーム向けAPU「AMD A」シリーズ

6月14日 発表



 米AMDは6月14日、これまで「Llano」のコードネームで呼ばれてきたメインストリーム向けFusion APUとなる「AMD A」シリーズを正式発表した。

 今回発表されたのはノートPC向けのAMD Aシリーズ。1月に発表されたAMD E/Cシリーズに次ぐFusion APUで、E/Cシリーズが「Bobcat」と呼ばれる新設計デュアルCPUコアを採用したのに対し、AシリーズはPhenomの「Stars」CPUコアを改良したものをデュアルあるいはクアッド構成で搭載。同CPUコアは前世代のx86コアからクロックあたりの命令実効性能を6%以上改善しているという。また、負荷に応じて動作周波数をTDPを超えない程度に引き上げるTurbo Core Technologyにも対応する。コアあたりのL1キャッシュは128KB、L2キャッシュは1MB。

 GPUコアは、Radeon 5600/5500シリーズの「Redwood」を改良した「Sumo」を採用。RedwoodはUVD2だが、SumoはDivX/Xvidのデコード対応などを追加したUVD3を搭載。また、UVD3を含め、非稼働時に電源供給を停止するパワーゲーティングを実装した。最上位モデルのGPUコアは444MHz駆動で、400SPを内蔵しており、AMD E/Cシリーズと比べ特にGPU性能が高いのが特徴。GPUを含めた理論性能値は355GFLOPSに及ぶ。

Starsコアの概要プロセッサのダイ写真
Sumoコアの概要UVD3の概要

 ユニークな特徴として、AMDのGPGPU技術である「APP」に対応する「AMD Steady Video」機能を7月以降のドライバで提供。同機能を使うと、撮影した動画の手ぶれを補正できる。

 また、単体ビデオカード搭載時に、APU内蔵GPUと負荷分散を行なう「Dual Graphics」に対応。これにより、ビデオカード単体よりも最大で75%性能を向上させることができる。AMDでは、Dual Graphics対応機については、そのロゴを添付するが、その際のビデオカードのモデルナンバーも変更する。詳細は表の通りで、一例としてRadeon HD 6730Mと、AMD A最上位モデルとの組み合わせでは、GPUのモデルナンバーがRadeon HD 6760G2となる。

 プロセスルールは32nm、ダイサイズは228平方mm。TDPは35Wと45W。対応メモリはDDR3-1600、DDR3L-1333。PCI Expressはx16×1とx1×4レーンを備える。

 対応するチップセットはAMD A60M/A70M。A60MはUSB 2.0×14と、USB 1.1×2に、A70MはUSB 3.0×4と、USB 2.0×10とUSB 1.1×2に対応。このほか、SATA 6Gbps×6、PCI Express x1×4などを備える。

 各プロセッサの主な仕様は下表の通り。先にCOMPUTEXで発表された通り、シリーズはAMD A8/A6/A4の3種類が用意され、PCの性能や能力を示す「VISION」ブランドもこのシリーズ名に基づいたものに変更される。

CPU内蔵GPUと単体ビデオカードの負荷分散に対応その際GPUのブランド上のモデルナンバーが変わる
ノートPCプラットフォームの概要AMD A8/A6/A4の概要

【表】各プロセッサの主な仕様
モデルナンバーコア数基本クロック最大クロック対応メモリTDPRadeonブランドSP数GPUクロック
A8-3530MX41.9GHz2.6GHzDDR3-1600
DDR3L-1333
45WHD 6620G400444MHz
A8-3510MX41.8GHz2.5GHzDDR3-1600
DDR3L-1333
45WHD 6620G400444MHz
A8-3500M41.5GHz2.4GHzDDR3-1333
DDR3L-1333
35wHD 6620G400444MHz
A6-3410MX41.6GHz2.3GHzDDR3-1600
DDR3L-1333
45WHD 6520G320400MHz
A6-3400M41.4GHz2.3GHzDDR3-1333
DDR3L-1333
35WHD 6520G320400MHz
A4-3310MX22.1GHz2.5GHzDDR3-1333
DDR3L-1333
45WHD 6480G240444MHz
A4-3300M21.9GHz2.5GHzDDR3-1333
DDR3L-1333
35WHD 6480G240444MHz

(2011年 6月 14日)

[Reported by 若杉 紀彦]