リコー、明るさと色再現性を高めたカラー電子ペーパー表示技術

積層エレクトロクロミック方式によるカラー画像表示の例

5月18日 発表



 株式会社リコーは18日、明るさと色再現性を高めたカラー電子ペーパーの表示技術を開発したと発表した。

 電子ペーパーは書き換え時以外に電力を使用しないという特徴があり、電子書籍用リーダー用のモノクロ機種は、2011年に年間1,100万台超の出荷が予測されている。その一方で、カラー電子ペーパー方式も提案されているが、原理的に明るさや色再現性が課題となり、解決されていない。

 リコーは2009年3月に、従来とは異なる色の3原色(シアン/マゼンタ/イエロー)を発色し、かつメモリ特性を改善した、初の新規有機エレクトロクロミック材料を開発。また、2つの基板の間に3つの発色層を形成したシンプルな積層素子構造を持つ独自の表示方式を開発。低消費電力/低コストで明るい表示を実現するカラー電子ペーパーの実現の可能性を実証した。

 要素技術の開発段階から、高精細な電子ペーパーの試作などの実用化に向けた開発を行なってきたが、今回、明るく色再現性の高いカラー画像を表示させることに成功。既存のカラー電子ペーパー技術と比較して、明るさ(白反射率)で約2.5倍、色再現範囲で約4倍となるカラー静止画像の表示を実現した。

 今後は、実用化に向けた開発を加速させ、信頼性/繰り返し耐久性の向上と、画面サイズの拡大を図る。最終的には、細かい文字も表示できるドキュメント表示装置を想定しているが、実用化開発と並行して、さまざまなアプリケーションの展開を検討するという。

(2011年 5月 18日)

[Reported by 劉 尭]