NVIDIA、CUDAコアが512基のフルスペックFermi「GeForce GTX 580」
~トランジスタとクーラー改良で静音性が向上

GeForce GTX 580

11月9日(現地時間) 発表



 米NVIDIAは9日(現地時間)、Fermiアーキテクチャのハイエンド向けGPU「GeForce GTX 580」を発表した。即日より各メーカーから搭載カードが出荷される。米国での推奨小売価格は499ドル。

 GeForce GTX 480とほぼ同じFermiアーキテクチャを踏襲しながら、各ブロックの設計を改良し、より適した特性のトランジスタを採用することにより、ワットあたりの性能、消費電力、静音性、製造歩留りを向上させた。

ボード長は約267mmクーラーを取り外したところGeForce GTX 580のGPU

 従来のGeForce GTX 480ではダイ上に512基のCUDAコアを搭載していたが、歩留りを向上させるために32基無効にされていた。しかしGeForce GTX 580ではTSMCの40nmプロセスルールの成熟と歩留り向上により、フルスペックである512基構成を可能にした。GeForce GTX 480との比較では約1~2割、性能が向上するという。

 トランジスタレベルでは、GPUをブロックごとに分析し、タイミングにシビアではない部分にはリーク電流の少ないトランジスタ、クリティカルパスにはより高速なトランジスタを採用することで、消費電力を改善。アイドル時の消費電力を33W、ピーク時の消費電力を244W(480は250W)に抑えた。

GeForce GTX 580のブロックダイアグラムGPUの性能比較GTX 480との消費電力あたりの性能の比較

 リファレンスのクーラー設計も一新。液体の蒸発による熱伝導効果を用いたベーパーチャンバー構造のヒートシンクを採用し、冷却性能を向上させた。これによりファンの回転速度を落とし、GeForce GTX 285よりも高い静音性を実現した。「GeForce GTXシリーズ歴代で一番静か」という。また、ファン吸引部の化粧カバーの高さを少し抑えることで、SLI構築時の冷却性を改善した。

ベーパーチャンバー方式のヒートシンクベーパーチャンバーの仕組み負荷時の騒音比較

 描画関連では、Z-cullingユニットの設計を改良し、より繊細な解像度でのオコルーダー・トラッキングが可能になった。テッセレーションで作成される小さな三角形に対して効果が見られるという。

 主な仕様は、コアクロックが772MHz、CUDA Coreクロックが1,544MHz。メモリはGDDR5で、容量は1.5GB、バス幅が384bit、速度が4GHz。

 PCとの接続インターフェイスはPCI Express x16(2.0)。電源コネクタはPCI Express 6ピン+8ピン。カード長は約267mm。3way SLIをサポートする。出力インターフェイスはDVI×2、mini HDMI×1。

秒間20億トライアングルのテッセレーション処理能力H.A.W.X.2においての地形テッセレーション効果

(2010年 11月 10日)

[Reported by 劉 尭]