NVIDIA、Fermiベースのワークステーション向けGPU「Quadro 6000/5000/4000」
〜最大6GBのメモリを搭載。3D Visionも拡張

Quadro 6000

7月27日(現地時間)発表



 米NVIDIAは27日(現地時間)、「Fermi」アーキテクチャを採用したワークステーション向けGPU「Quadro 6000」、「同5000」、「同4000」を発表した。

 HPC(High Performance Computing)向けのTesla、コンシューマ向けのGeForceシリーズに続き、ワークステーション向けのQuadroもFermi化を果たした。型番の進化はやや変則的で、Quadro FX 5800の後継がQuadro 6000で、以下同様にFX 4800→5000、FX 3800→4000となっている。

 アーキテクチャの刷新により、最新のベンチマークSPECviewperf 11でQuadro 6000は、FX 5800に対し約5倍の性能を発揮。また、CUDAを使ったシミュレーションでは8倍の性能に達するとしている。

 GPUの構造自体は、既存のFermi製品とほぼ同じで、APIとしてはDirectX 11、OpenGL 4.0世代となる(27日付けで発表されたOpenGL 4.1にも対応を表明済み)。クロックなどの細かな仕様は公開されていないが、Quadro 6000はCUDAコア数が448基、5000は352基、4000は256基となっている。

Quadro 5000 Quadro 4000
Quadro 5000とFX 4800のviewperf 11とMayaベンチマークの比較 同じくviewperf 11と10の詳細結果の比較

 一方、メモリ容量はGeForce製品に比べ大きく拡大され、Quadro 6000は6GB(384bit GDDR5)、5000は2.5GB(320bit GDDR5)、4000は2GB(256bit GDDR5)を搭載する。メモリ容量を増やしたことで、ローカルで大規模な演算処理が可能となり、レイトレーシングやシミュレーションなどで有効としている。また、Quadro 6000と5000はECCに対応する。

 3D立体視の3D Visionも拡張。エミッターと3Dメガネとの間の通信がIRからRFへと変更されたことで、蛍光灯などの周辺環境の干渉を受けにくくなり、会議室や講堂など広い場所で多人数でも快適に利用できるようになった。メガネの機構は120Hzのアクティブシャッター式で変更はない。エミッタの接続は、ブラケット上の3ピンステレオDINコネクタだが、Quadro 4000ではオプションとなる。

 ボード厚はQuadro 6000/5000が2スロットで、4000が1スロット。ディスプレイインターフェイスは、いずれもDisplayPort×2とDVI-I。ボードレベルでの最大消費電力は、上から順に225W、152W、144W。

 いずれの製品も各カードメーカーから即日出荷開始される。米国での実売価格は、Quadro 6000が4,999ドル、5000が2,249ドル、1,199ドル。

 また、320 CUDAコアと2GBのGDDR5を搭載するモバイル向けのQuadro 5000Mも同時発表されている。

Quadro 6000/5000のブラケット Quadro 4000のブラケット 3D Vision Proの試作品。通信方式以外は、3D Visionとほぼ同じ

 今回の発表に先立ち、NVIDIA担当者などから新製品の説明を受ける機会があった。その場で、同社Professional Solution GroupでGeneral Managerを務めるジェフ・ブラウン氏は「Quadroはもはやただのハードウェアではなく、さまざまなサポートや開発リソースなども併せ持った、1つのソリューションである」と訴えた。

 実際、NVIDIAは、パートナーや開発者に対して「AXE (Application Acceleration Engines)」という開発ツールを無償で提供している。

 AXEには、物理演算エンジンのPhysX、プログラマブルシェーディングエンジンのCgFX、リアルタイム3Dシステムのシーン管理エンジンのSceniX、シーンスケーリングエンジンのCompleX、レイトレーシングエンジンのOptiXなどがあり、ほとんどは無償で提供されている。また、NVIDIAが買収し、その子会社となったMental Imagesが開発した写実レンダラーirayもAXEに含まれる。

 こうしたツールを利用することで、開発者は高度な処理を行なう際も、低予算、短期間で成果を出すことができる。また、当然これらのツールはNVIDIAの各GPUに最適化されているため、その性能をフルに引き出すことができる。irayは、Autodeskの「3ds Max」にも組み込まれていることから、その性能の高さは推して知ることができるだろう。

NVIDIAのジェフ・ブラウン氏 Quadroはただのハードウェアではなく、周辺環境も含んだ1ソリューションであるという AXEの構成内容

(2010年 7月 27日)

[Reported by 若杉 紀彦]