サイバーリンク、Blu-ray 3D対応予定の「PowerDVD 10」

PowerDVD 10

3月24日 発売
価格:4,900円~11,800円(いずれもダウンロード版)



 サイバーリンク株式会社は、Blu-ray Disc/DVD再生ソフト「PowerDVD 10」のダウンロード版を3月24日に発売する。対応OSはWindows XP/Vista/7。

 価格は、最上位の「Ultra」が11,800円、上位の「Deluxe」が9,800円、標準の「Standard」が4,900円。UltraとDeluxeにはアップグレード版も用意され、価格はそれぞれ8,800円、6,800円。パッケージ版の価格は後日発表する。

 PowerDVD 9からの新機能として、ホームビデオのノイズを軽減する機能や、手ぶれ補正機能、FLVファイルへの対応、再生中のビデオに関するコメントをMoovieLive/Facebook/Twitterに投稿する機能、ビデオのブックマーク機能、タッチUIの最適化、ライトセンサーのサポート(Windows 7のみ)などを追加した。

 また、DeluxeとUltraには、製品発売時のバージョンで、2DのDVDビデオを、擬似的に3Dに変換して出力する「TrueTheater 3D」機能を搭載する。

 さらに、最上位のUltraのみ、夏以降に発売されるBlu-ray 3Dのタイトル発売にあわせて、「Mark-II」と呼ばれるBlu-ray 3D対応アップデータを無償で提供する。Mark-IIでは、Blu-ray 3D視聴のほか、任意のビデオファイルを3Dに変換して再生する機能も追加される。

●Blu-ray 3D再生の条件

 なお、PowerDVD 10 Ultraにおいて、Blu-ray 3Dを再生できる環境はかなり限られているので、ここで再度おさらいをしておく。

 まず、PowerDVD 10 Ultraで出力できる3D表示方式は、赤青メガネの「アナグリフ」、光学フィルタを用いた「偏光メガネ」、そしてNVIDIAの3D Visionで採用されている「アクティブシャッター」の3種類がある。

 このうち赤青メガネ方式は、現行のディスプレイで対応可能で、3Dメガネのコストも安いというメリットがあるが、精細な3D表示や、色再現性に難がある。

 一方偏光メガネ方式では、フリッカーが少なく疲れにくいことや、パネルや3Dメガネのコストが安いなどのメリットがあるが、視野角が狭く、垂直方向の解像度が半減する、ディスプレイに対して90度回転した状態では見ることができないなどの問題がある。

 一方、Blu-ray 3Dをフルに再現できるアクティブシャッター方式であるが、メガネとディスプレイのコストが高いほか、蛍光灯によるチラツキ、シャッターグラスとの同期などに問題を抱えている。

 まず、ディスプレイ側の対応。赤青メガネ方式でもHDCPに対応したディスプレイ、そして偏光メガネ式ではHDCP対応した偏光式のディスプレイが必要だ。

 一方、アクティブシャッター方式では、視聴に耐えうる明るさを維持するために、120Hzで表示できるディスプレイが必須となる(60Hzでは120Hzの半分の明るさとなってしまう)。さらに、1,920×1,080ドット(フルHD)の映像を120Hzでディスプレイに転送するため、「Dual-Link HDCP」に対応したディスプレイが必須となる。

 今のところ市場に出回っている製品で、この要件を満たしているのはAlienwareの「OptX AW2310」のみで、3D Visionが発売された当初に登場したSamsung製液晶ディスプレイ「SyncMaster 2233RZ」では対応できない(ただしミニD-Sub15ピンで接続すれば視聴可能)。

 次に光学ドライブだが、Blu-ray 3Dでは映像が左目用と右目用の両方が用意されており、情報量が増加している。このため、AACS付きBD-ROM再生時に2倍速以上の速度で読み込みができるBDドライブが必須となる。現在市場に出回っている一部のBDドライブはBD再生時の騒音を抑えるため、倍速を制限しているドライブもある。このためドライブメーカー各社はBlu-ray 3Dリリース時にあわせて、この制限を解除するファームウェアをリリースする予定であるが、もし提供されない場合は利用できない。

 そして最後にCPUやGPUの要件だが、現時点の状況をまとめると下記の通り。

1) 一番望ましいのはGeForce 240 GTを利用すること。同GPUでは2ストリームのフルHD動画デコーダ(NVIDIAでは世代的にVP4と呼んでいる)を備えており、CPU負荷を最小限に抑えながらBlu-ray 3Dの再生が可能。また、3D Visionにも対応しており、対応のソリューションを一通り揃えられる。

2) 1ストリームの動画デコーダしか備えない1世代前のGeForceの場合、CPUによるソフトウェアデコードを利用することになる。60Mbpsという高いビットレートののため、Core i7/i5クラス以上のクアッドコアCPUパワーが要求される。3D Visionは利用可能。

3) IntelのGPU内蔵型のCore i7/i5/i3のGPUや、AMDのRadeonシリーズ以降では公式でフルHDのデュアルストリームデコードをサポートしない。しかしIntelのGPU内蔵型Core i7/i5/i3では、サイバーリンク独自の技術で、ハードウェアによるH.264 MVCデコードが可能になり、CPUの負担を最小限に抑えながらBlu-ray 3Dの再生が可能。ただしこれらは3D Visionのようなソリューションがないため、現状では赤青メガネや偏光メガネによる表示方式を利用することになる。

【3月16日訂正】記事初出時、IntelのCore iシリーズ内蔵GPUやRadeonで公式にCPU負荷を抑えながら再生可能としておりましたが、これは誤りです。お詫びして訂正します。

(2010年 3月 15日)

[Reported by 劉 尭]