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パナソニックの携帯除菌スプレーが本日発売。除菌率99%の次亜塩素酸噴霧

パナソニックの携帯除菌スプレー「DL-SP006」。Panasonic Storeでの直販価格は6,578円

 除菌に対する意識が高まり、さまざまな除菌ツールが登場している。そうしたなか、パナソニックが2月1日から、次亜塩素酸技術を活用した携帯除菌スプレー「DL-SP006」を発売する。Panasonic Storeでの直販価格は6,578円。なお、ウイルスに対する効果は謳われていない。

 次亜塩素酸は、塩水を電気分解した水溶液で、プールの除菌や水道水の浄化、食材の洗浄などにも使用されている。だが、次亜塩素酸は、広い空間のなかや、紫外線があたると濃度が低下し、時間が経つと除菌の効果が弱くなるという特性がある。

 今回のパナソニックの携帯除菌スプレーは、スイッチを押すたびに約1分で次亜塩素酸をその都度生成でき、作り立ての次亜塩素酸で除菌できるのが特徴だ。

 19×20×154mm(幅×奥行き×高さ)というスティックタイプの形状であり、乾電池を除いて34gの軽量化を実現。女性であればポーチに入れるなど、コスメ感覚で、除菌スプレーを持ち歩くことができる。

【2月2日注記】初出時に、本製品が新型コロナウイルスと関連があると読み取れる表現をしておりましたが、メーカーではそのような表現をしていないため、記事内容を一部修正いたしました

 同社では、「アルコールなどの薬品不使用で、材料は塩水のみ。安全性にも配慮しており、身の回りのものにも安心して使うことができる」とし、「外出先のテーブルやショッピングカート、便座、衣類など、気になる場所を、作り立ての次亜塩素酸によって、しっかりと除菌できる」とする。

 実際に、携帯除菌スプレー「DL-SP006」を入手して、さっそく使ってみた。

 携帯除菌スプレー「DL-SP006」は、最近のオシャレ系ガジェットで採用されているiPhone風の白いボックスに収納。箱を開けると、本体が中央部に置かれている。箱は2段構造となっており、それを取り出すと、下部には単4形アルカリ乾電池1本と、10回分の塩水パックが同梱されている。

オシャレなボックスに入っている
開けると携帯除菌スプレー「DL-SP006」が登場。簡単な説明がある
その下には説明書が入っている
説明書を取り出すと塩水パックと単4形乾電池が同梱されている
同梱されている塩水パック
塩水パックは製造から3年間の利用が可能

 本体を使うまでの設定も簡単だ。上部にあるキャップと噴霧ノズルを取り出し、同梱されている塩水パックの先端をはさみなどでカット。塩水を本体に入れればセットは完了だ。

 本体中央にある電解スイッチを2秒以上長押しすると、電解を開始。電解スイッチの上にある表示ランプが青く光る。このときは、本体を倒さずに、立てた状態で行なうと、電解効果を最大にできる。約1分後に電解が終了すると、青いランプが点滅から点灯に変わり、すぐに消えて使用が可能になる。

本体下部から単4形乾電池を入れる
上部の噴霧ノズルを取り出す
塩水パックを切り離す
はさみなどをつかって切り取る。手で切り取ることも可能だ
塩水を本体に注ぐ
電解スイッチを2秒以上長押しすると、電解を開始する
電解を開始すると表示ランプが青く光る
表示ランプが消えると電解が完了

 あとは、除菌したい対象物にスプレーすればいい。満水時で、40~50回の使用が可能だ。便座やテーブルなどは5回噴霧。衣類や帽子、靴などは3回噴霧。噴霧後は、金属や木材などの場合には布などで拭き取るといい。同社によると、噴霧して、拭き取り後5秒で、99%の除菌率を達成しているという。

除菌したい対象物にスプレー
外出先のトイレの便座なども除菌できる

 ただし、一度電解したあと4時間を経過した本体内の次亜塩素水は、有効塩素濃度が低下し、除菌効果が低下するため、改めて電解作業が必要だ。電解するには再び電解ボタンを押せばいい。4時間を経過しても再度電解することで、高い除菌効果がまた得られるという。

 本体は単4形乾電池1本で稼働。本体下部から乾電池を入れることができる。一般的なアルカリ乾電池では、約30回の電解が可能だが、パナソニックの乾電池エボルタでは約50回、エボルタネオでは約70回の電解が可能だという。

 なお、パナソニックの充電池であるエネループでの電解回数の検証は行なっていないという。

 塩水パックは、1個あたり5mlであり、ちょうど一杯になる容量だ。なお、同社は本体に入れた塩水が残った場合に、24時間で捨てて新たな塩水パックに入れ替えることを推奨している。別売りで、90回分の塩水パック「DL-SP10D」を用意しており、直販価格は1,100円。使用期間は製造から3年間となっている。

 パナソニックでは、次亜塩素酸を使用した商品として、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」を販売している。2013年に業務用「ジアイーノ」を発売したのに続き、2017年には家庭用「ジアイーノ」を発売。2020年の販売実績は、昨今の空気の質に対する関心の高まりを背景に、前年比2.5倍という人気ぶりだ。

 次亜塩素酸技術は、パナソニックが買収した三洋電機が、1987年か取り組んできた技術で、自動販売機や空気清浄機などに活用されてきた。ジアイーノは、この技術を継承し、パナソニックのフィルタ技術などを応用して、除菌や脱臭に特化した空間除菌脱臭機として販売してきた。

 次亜塩素酸は、菌などの表層だけでなく、内部まで浸透して、すばやく作用するため、汚れやニオイなどの分解スピードが速く、除菌力に優れている。次亜塩素酸(HOCl)に含まれるCl+が、菌やニオイから電子を奪い、分解しその働きを抑制という仕組みだ。

 今回の携帯除菌スプレー「DL-SP006」も、こうした三洋電機時代からの経験や技術をもとに開発したものであり、ジアイーノと同様に、pH8.5の弱アルカリ性電解水(電解次亜水)を生成。これは、アルカリ性が強い次亜塩素酸ナトリウムや、酸性の次亜塩素酸水とは異なる性質のものになるという。

 また、ジアイーノは空間を除菌、脱臭することを目的としているため、次亜塩素濃度は本体トレー内でも約10ppmであり、気体として空中に放出された場合には0.1ppm未満となっている。「本体内も、放出される次亜塩素酸も人体に影響のない安全な濃度であり、第三者機関によるさまざまな安全基準をクリアしている」という。

 携帯除菌スプレーでは、モノを対象に除菌するため、噴霧したさいには、40~90ppmの濃度としており、日常的に使用することができる。

 ジアイーノは、塩タブレットと水道水を電気分解で次亜塩素酸を生成するが、携帯除菌スプレーでは、濃度が調整された塩水パックによる専用塩水を電気分解する点が異なる。

 陽極と陰極を仕切る隔膜がない一室型電解槽によって、濃度を調整した塩水を電極分解し、pH8.5の弱アルカリ性電解水(電解次亜水)を生成する仕組みだ。電極の小型化や、単4形乾電池1本で動作するといった点で工夫を凝らし、持ち運びしやすい形状と軽さを実現したという。

 パナソニックでは、小さな子供がいる衛生意識の高い女性や、高齢者および高齢者と触れ合う機会が多い人、健康や清潔に関心が高い人、受験生の親子のほか、プレゼント需要にも適していると提案する。

 「除菌アイテムを自分で持ち歩くことが、スマートな身だしなみであり、ニューノーマル時代の常識の1つになる。家ではジアイーノ、外では除菌スプレーを使い、自宅や屋外も、次亜塩素酸で除菌してほしい」としている。

 毎日、塩水パックを入れ替えるという手間はあるが、これも毎日の習慣として慣れれば問題がないだろう。本体の質感もしっかりしており、液漏れなどにも不安がない。そして、使用する場面では、その場で次亜塩素酸水を生成し、効能がある時間内に利用できる点は安心につながる。

 カバンのなかに、さまざまな除菌グッズを入れていることも多いだろうが、34gという負担にならない軽さだけに、除菌方法の1つの手段として、ポーチやカバンにいれておくのもいいだろう。