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「Hey, Radeon」で画面写真を撮影。Radeon Software年次更新で多数機能追加

~VIVEゲームをワイヤレスHMDへ送信する機能も

 米AMDは13日(現地時間)、ドライバおよびユーティリティ類を統合した「Radeon Software Adrenaline 2019 Edition」を公開した。性能向上に加え、さまざまな機能追加も盛り込まれている。

 AMDは2015年に公開した「Catalyst Omega」以降、月1回ペースのドライバアップデート以外に、毎年年末に大型のアップデートを提供している。2016年のRadeon Software Crimson Edition、2017年の同Crimson ReLive Edition、2018年の同Adrenaline Editionと来て、2019年向けには2018年の名称を踏襲した。名称は同じだが、今回もユーザーからのフィードバックなどをもとに、数多くの改良が図られている。

 まず性能面では、毎年平均10%の性能向上を実現してきたが、今回はさらに15%性能を引き上げた(Radeon RX 570利用の場合)。安定性にも自信を見せており、2018年に実施した自社テストでは競合他社より11ポイント高い93%の安定性スコアを実現。ユーザー満足度も平均で2年連続90%に達しているという。

ゲーム性能は最大15%向上
信頼性スコアは93%

 とくに昨今注目度が高いeスポーツタイトルについては「Project Radeon eSports Experience(ReSX)」と呼ばれる最適化機能を搭載し、フレームレートだけではなく、マウスをクリックしてから反応が発生するまでの遅延も低減している。

 フレームレートが高くても、反応速度が遅いのでは快適にプレイできない。特殊なマウスと高速カメラを使った検証結果から、Project ReSXによりクリック操作からの遅延時間を10%程度短縮できたとしている。

フレームレートに加え、ゲームの反応速度も向上させるProject ReSX

 これとは別に、タイトルごとにユーザーのマシンにとって最適なゲーム内設定を推奨してくれる「Game Advisor」機能も搭載。そのPCでじっさいにゲームを動かし、そのマシンにとってもっともフレームレートが高く、かつ高画質になる設定を教えてくれる。あくまでも推奨する機能なので、その設定を受け入れるかはユーザーが決定できる。

ゲームを動かした上でタイトルごとに最適な設定を推奨するGame Advisor

 新機能としてスマートフォンを活用する「AMD Link」が搭載。1つめの機能として、SiriやGoogleのように「Hey, Radeon」とスマートフォンに呼びかけ、ストリーミングの開始/停止、録画の開始/停止、スクリーンショットの撮影、インスタントリプレイの保存が可能。

スマートフォンを使い音声操作もできるAMD Link

 また、音声で最低/平均/最大FPS、GPU温度、GPU周波数、メモリ周波数、ファン回転数を聞くことも可能。WattManと連動し、スマートフォンでGPUの状態を取得して、必要に応じてオーバークロックなどもできる。なお、音声操作は現時点では英語と中国語のみに対応する。

「Hey, Radeon」で配信や画面撮影が可能
スマートフォンアプリでオーバークロックも可能

 配信機能「ReLive」とも連動し、Radeonで撮影したスクリーンショットや動画をスマートフォンで視聴したり、動画の尺を短くしてスマートフォンに保存できるほか、YouTube、Twich、Facebookで配信するさいに、視聴者のコメントをスマートフォンに表示することもできる。

 アプリは、AndroidとiOS向けが用意される。

PCでフル画面配信中にスマートフォンで視聴者コメントが閲覧できるのは便利だろう

 ReLive自体も更新され、配信中にゲームのなかで5~30秒のインスタントリプレイを再生したり、ホットキーで画面構成を切り替えたり、背景やバナーなどをダイナミックにオーバーレイできる。インスタントリプレイについては、従来の動画に加え、GIFでの保存も可能となった。マルチトラックオーディオ保存機能も搭載した。

ゲーム内でのインスタントリプレイが可能

 また、ReLiveには、動画プラットフォームへの配信だけでなく、ローカルでの他のデバイスへのストリーミング機能も実装された。PCにインストールしたゲームを、AMD Linkをインストールしたスマートフォン/タブレットへとストリーミングし、モバイル端末でのプレイが可能に。ゲームコントローラを再現したオーバーレイによって、タッチ操作でPCゲームをプレイできる。

 他のデバイスへのローカルストリーミングでは遅延が問題になるが、競合のサービスより最大44%高速だという。ゲームをプレイした後は、モバイルデバイスからPCの電源を切ることもできる。

 この機能は、PC側のデスクトップ全体をモバイルデバイスに転送もできるので、ゲームだけでなくオフィスソフトなどで利用することもできる。

PCゲームをローカルストリーミングにより、スマートフォンなどでプレイ可能
スマートフォン側にBluetoothでコントローラを接続することも可能

 さらに、「ReLive for VR」機能も搭載。これは、VIVEなどに向けたPC用VRゲームの画面を、Google DaydreamやVIVE Focusといった単体型のワイヤレスVR HMDに転送するものだ。

 単体型HMDは、ケーブルなく利用できるのが手軽だが、GPUが貧弱なため、品質に劣る。ReLive for VRを使うと、PC向けの高品質なVRコンテンツを単体型HMDで体験できるようになる。単体型HMD向けのコントローラによる操作にも対応する。

【12月19日追記】初出時に、Oculus用PCゲームに対応としておりましたが、後日AMDより、Oculus対応は見送ったとのアップデートが入りました。

PC用VRゲームを単独型HMDにストリーミングする機能も搭載された

 CPUやメモリなどPCの構成からRadeon自体の最適な設定を推奨する「Settings Advisor」機能、ユーザーのPCのスペックが特定のゲームにとって不足している場合は、お勧めのパーツを紹介する「Upgrade Advisor」機能も搭載する。

 既存の「WattMan」機能は、1クリックでGPUのオーバークロックや、逆に性能に余裕がある場合は降圧したり、ファン回転数を制御する機能などを追加。「Radeon Chill」機能は省電力効率を向上。「FreeSync 2 HDR」機能は、自動トーンマッピングの品質を上げた。