ニュース
IntelではノートPCが壊れても、昼食に行っている間に同じ環境が復元
~Intel自身によるIntel製品の利活用についてIT部門担当者が解説
2017年9月29日 18:29
10万6千人の従業員を抱え、約22万台のデジタル端末を管理するIntelは、自社製品の最大のユーザーのひとりでもある。そのIntelが、どのようにITを駆使し、業務の改善や事業の変革を行なっているのか? 29日に年次の説明会が開催された。
説明を行なったのは、インテル株式会社情報システム部所属で、IT@IntelのAPACディレクターを務める邱天意氏。IT@Intelとは、IntelのIT利用活性化やビジネススピード加速などをサポートすることなどを目的とした同社IT部門主導のプログラムである。
先ほどの22万台のデジタル端末の内訳は、モバイルPCが151,900台、スマートフォンが53,780台、デスクトップPCが14,500台、タブレットが500台となっている。PC/スマートフォンに比べ、タブレットの割合が極めて少ないのは、2in1 PCでタブレットとしての使い方ができ、小さい端末が必要なさいはスマートフォンを利用するのがほとんどだからだという。
また、ユーザーデータや、アプリケーション、設定などは、サーバー管理されており、デバイスをノートPCからタブレットやスマートフォンに持ち替えてもデバイスをまたいでユーザーに追従できるため、Intel社員は場所や端末を問わず生産性を維持できる。
あるいは、使っているノートPCが急に故障したり、新しいPCに変えた場合でも、IT部門からハードウェアが支給され、アプリ/データ/環境が30分程度で復元されるため、昼食に出かけて戻ってくる頃には、同じ環境が再現されるという。
同社従業員は、3年おきにクライアント端末を更新している。基本的な調達ポリシーは、グローバルで調達/サポートが可能なものとなっており、とくにブランド/メーカーは固定されておらず、社員は3~5つのPCから好みのものを選べる。
一方、データセンターについては、これまで4年おきにハードウェアを更新していた。しかし、Intelは2年おきに新しいアーキテクチャのCPUを投入しており、これでは最新プラットフォームによる恩恵をすぐに受けられない。
そこで同社は、CPUなどが載るコンピューティング部分と、I/Oモジュール部分とが独立した「ディスアグリゲーテッドサーバー」と呼ばれるモジュール型サーバーを開発し、自社で導入した。
ディスアグリゲーテッドサーバーでは、サーバーのI/O部分と、CPU部分とがライザカードのようなコネクタで接続されており、それぞれを独立して取り替えられる。CPU部分に比べ、I/O部分は更新期間が長い(技術革新が少ない)ため、I/O部分はそのままにして、CPU部分だけを新しいアーキテクチャに更新できるメリットがある。
これによりIntelでは、更新にかかるコストが44%削減され、今後65%まで削減できると見込んでいる。モジュール式となっているため、交換は「電球を取り替えるのと同じくらい簡単」と言い、運用コストについても、年間100万ドルを削減できる見込みという。
さらに、独自のラック開発でサーバーの高密度化を図るなどし、全世界にあるIntelのデータセンターの合計に匹敵する能力を持つ新データセンターの設立に成功した。
IT@Intelでは、ソフトウェア開発も行なっている。今回の説明会は、インテル社内の会議室で行なわれ、プレゼンターのノートPCの画面や音声をワイヤレスでプロジェクターに転送する電子会議システムが使われたが、これはIntelが開発したもの。もともとはリモート会議のために開発されたもので、2016年には同社施設の2,800室に設置し、従業員の会議時間を約5万時間削減。2017年中旬には4,000室にまで拡大し、約18万時間を削減予定という。「Intel Uniteソリューション」と呼ばれる同システムは、Intel製システムを導入するユーザーも無償で利用できる。
こういった幅広い取り組みにより、2016~2017年にかけIntel IT部門は、5億ドル以上の収益を同社にもたらし、製品の市場投入までの時間は最大で39週間短縮し、6億5,600万ドルのビジネス価値を創出した。
取り組みの詳細については、同社のサイトで情報が公開されている。