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IntelのIT部門が社内における自らの重要性を語る

~過去4年で1億8,400万ドルを創出した戦略とは

Ten-I CHIU氏
3月31日 開催

 インテル株式会社は3月31日、都内で記者会見を開催し、Japan and North-APAC Region 地域部長を務めるTen-I CHIU氏が、Intel全体におけるIT部門の取り組みについて解説した。

 まず同社の2013年のIT部門の概要を見ていこう。Intelは全世界に約10万人の社員がいるが、このうち6,300人ほどがIT部門に所属している。社員1人あたりのIT関連費用は年間12,900ドルで、これは当初の目標値に収めた。2013年には14,000台のタッチ対応Ultrabookを導入。マルウェア感染率は1%以下に抑えた。

 データセンターのストレージ容量は2012年の56PB(ペタバイト)から72PBに向上させたが、データセンターの数は2012年の68カ所から64カ所に減らした。データセンターの仮想化も2012年の75%をさらに上回る80%を達成した。

 社内のモバイルデバイスは43,200台に達し、その多くはBYOD(Bring Your Own Device)、つまり社員自身が購入したものである。ノートPCはすべて暗号化済みで、SSDへも移行済みとなっている。また、57個ものモバイルデバイス向けアプリを社内で開発した。

Intel社内のIT利用の現状
クラウドサービスの利用やSSDへの完全移行

SMAC戦略に基づきビジネス価値を高める

 Intelに限らず、一般的な企業においてのIT部門の基本的な役割は、社員の日常業務において最低限に必要なインフラ基盤を構築することである。しかしIntelのIT部門は、その業務に留まらず個々の部門とコラボレーションを強め、個々の部門の業務を改善することで新たなビジネス価値を創出していった。その結果、Intel内においての発言権が強まり、企業全体をリードしていくことができたという。

 同社のIT部門は現在「SMAC」と呼ばれる戦略を展開している。SMACはそれぞれSocial、Mobile、AnalyticsそしてCloudの頭文字を指す。つまり、現在コンシューマでも身近なったソーシャルネットワーク、モバイル端末とアプリ、そしてビッグデータの分析、クラウドサービスという4つのトレンドを、実際に社内のIT基盤に活かし、社内のビジネス価値を高めようとしている。

ITのトレンドの変化
SMAC戦略
IT部門の役割
IT部門の位置づけの変化
SMAC戦略の4つの分野

 ソーシャルネットワークの利用という面では、社員のエキスパートを検索するサービスの提供や、ソフトフォンやビデオ会議、会議スペースの検索システムの導入によって、社員間のコラボレーションシップを推進。これによりグローバル全体で社員間のコラボレーション効率を高めた。

 モビリティという面では、先ほど挙げたUltrabookやタブレットの導入によって社員の作業効率性を向上させた。また社内の地図を表示したり、会議の時間を知らせたりするiOS/Android用アプリ「Virtual Agent」を開発し、社員の行動を補助するようにしたという。

 ビッグデータの分析では、構造化データと非構造化データを分析して、機械的に判断できるシステムを導入。生産ラインの品質管理や、顧客の発注状況などをリアルタイムに反映して判断し、ビジネスにフィードバックしていくことで、販売の最適化、製造コストの削減、SoCなどの検証の加速に繋げて行くことができたという。

 最後のクラウドの利用においては、社員の利用内容に応じてプライベートクラウド、パプリッククラウド、ハイブリッドクラウドの使い分けを行なった。新しいサービスの94%もクラウド上で展開することで、サービスインフラを1時間以内に構築できるようになったとしている。

 これらの取り組みにより、IT部門の試算では2010年からの4年間で1億8,400万ドル(約180億円)規模のコスト削減、および価値の創出を実現できたとしている。

ソーシャルネットワークの利用
モビリティの推進
BYODによるモバイルデバイスや、Ultrabookの導入
モバイルアプリの開発
モバイルアプリの一例「Virtual Agent」
ビッグデータを分析する必要性
構造化データと非構造化データを綜合的に分析し、意思決定に役立てる
クラウドサービスの利用
クラウドサービスの使い分け
2010年からの4年間で1億8,400万ドルの価値を創出
1億8,400万ドルの内訳

最終的なキーワードはやはり「セキュリティ」

 このようにSMAC戦略を展開する同社にとって、IT部門で最も重要視されてきたのがやはりセキュリティだった。クラウドサービスの利用で、サービスがダウン、データが流出した時のことを考慮しなければならない。また、BYODの推進によって、さまざまなデバイスにおいてセキュリティを確保しなければならなくなったといった問題がある。

 そこで同社はプロキシやDNS、DHCP、Active Directroyサーバーに“セキュリティセンサー”を設け、そこから得た情報を解析し、「My Security Portal」と呼ばれる個人のポータルサイトに解析データを提供。例えば複数のコネクションを張るなど問題があるサイトに接続すると、20分以内にMy Security Portalにアラートが表示され、その接続に問題がないかどうか確認画面を表示させる。問題があった場合、IT部門に連絡したりできるようにした。

 もう1つはGPSなどの位置情報を活用し、デバイスごとの5段階の信頼性レベルを設け、利用できるサービスを制限するもの。例えばそのデバイスが社内にある場合、すべてのサービスが利用できるが、社外にあると認識された場合信頼性レベルを引き下げ、利用できるサービスを制限するといった施策である。

 以上のようにIntelのIT部門は、社内におけるIT利用を活性化させることで、新たなビジネス価値を創出している。しかし企業内でIT部門の発言権がそれほど大きくなく、それほど価値を見出してもらえていないところも数多く存在することだろう。それらに対するTen-I氏のアドバイスは「まずはIntelのようにコストを可視化することが重要である」と語る。IT部門によってもたらされる価値を具体的に数字化することで、経営者に理解を得ることができ、新たなビジネス価値の創出に繋がるとした。

セキュリティ面での課題
個人のセキュリティポータブルサイトの提供
位置情報に応じた信頼性レベルの評価

(劉 尭)