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GLOBALFOUNDRIES、7nm FinFETと12nm FD-SOIプロセスの製造を2018年末に開始

GLOBALFOUNDRIESでCMOS事業部門担当シニアバイスプレジデントをつとめるGregg Bartlett氏

 シリコンファウンダリ(半導体製造請け負いサービス)大手のGLOBALFOUNDRIESは5月31日に東京で報道機関およびアナリスト向けの説明会を開催。GLOBALFOUNDRIESでCMOS事業部門担当シニアバイスプレジデントをつとめるGregg Bartlett氏が、同社の製造技術ロードマップを主に説明した。

 なおBarlett氏の講演スライドは英文であり、説明会の出席者に配布された講演スライドのハードコピーは日本語訳だった。以下の図面は両者が混在しているので、あらかじめご了承されたい。

Gregg Bartlett氏の略歴。Freescale Semiconductorから、2009年にGLOBALFOUNDRIESに移籍した

 Bartlett氏は始めに、GLOBALFOUNDRIESが重要だと見ている応用分野を説明した。すなわち、モバイルコンピューティング、パーベイシブコンピューティング(エッジコンピューティング)、インテリジェントコンピューティング(人工知能)、それからAR/VR(人工現実感/仮想現実感)である。これらの市場の多様な要求に応えるには、単一のCMOSロジック製造技術では不足だとした。

GLOBALFOUNDRIESが重要だと考えている応用分野
GLOBALFOUNDRIESが重要だと考えている応用分野(続き)
GLOBALFOUNDRIESが重要だと考えている応用分野(続きの日本語版)

FinFET技術とFD-SOI技術のそれぞれを微細化

 そこでGLOBALFOUNDRIESは、主に2つのCMOS製造技術に絞って微細化を進めている。これを「デュアルトラック」と呼んでいた。

 1つのトラックは、高性能コンピューティング向けの製造技術で、具体的にはFinFET(フィンフェット)プロセスである。もう1つのトラックはモバイルと無線のコンピューティングに向けた製造技術で、具体的にはFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)プロセスである。

 なおFinFETプロセスはバルクシリコン、FD-SOIプロセスはプレーナFETを採用している。製造コストでは、FinFETが高コスト、FD-SOIが低コストという位置づけである。FD-SOIプロセスは「FDX」と呼称している。

CMOSロジック製造技術のロードマップ。左がFinFET技術、右がFD-SOI技術である

14nm世代の次は7nm世代であることを再確認

 はじめにFinFET技術のロードマップを説明した。現在の最先端量産技術は14nm世代のプロセスで、「14LPP FinFETプラットフォーム」と呼んでいる。3年ほど前から量産を始めた。20社を超える顧客に対して数十種類の製品を生産しているという。

14nm世代のFinFETプロセス「14LPP FinFETプラットフォーム」の概要
14LPP FinFETの現状と今後。2018年上半期中に、生産能力を現在から20%増強する予定である
代表的な顧客であるAMDに向けて製造している製品の例。左からRadeon(GPU)、EPYC(CPU)、Ryzen(CPU)

 14nm世代の次は、7nm世代である。2年前に発表したときと変わらず、10nm世代は手がけない。14nm世代と10nm世代を比較すると、開発投資に対して性能向上の比率があまり高くない、というのが10nm世代をスキップする理由である。

プレーナFETプロセス(28nmまで)とFinFETプロセス(14nm以降)の開発ロードマップ。世代間の空きがかなりあることがわかる

 7nm世代のFinFETプロセスは、当初はArF液浸のマルチパターニング・リソグラフィで製造を始め、途中からはEUVリソグラフィに切り換える。最初の製品は、2018年下半期にテープアウトする予定である。EUVリソグラフィへの切り換え時期は明らかにしなかった。EUVリソグラフィの開発は加工線幅の粗さ(ラインエッジ・ラフネス)とマスク、光源出力に課題が残っており、いつごろ成熟するかによって切り換えの時期が決まるとする。

7nm FinFETプロセスの概要

低消費と高周波、低コストでFD-SOIに強み

 続いてBartlett氏は、FD-SOI技術のロードマップを説明した。自動車用マイクロコントローラ(マイコン)、IoT(Internet of Things)端末、ミリ波レーダ、ADAS(先進運転システム)、5G/ミリ波のトランシーバ、ミドルレンジからローエンドのモバイル機器などに適しているという。

FD-SOI技術(FDX技術)の適用分野

 FDX技術の最先端量産技術は、22nm世代である。「22FDXプラットフォーム」と呼んでいる。0.4Vと極めて低い電源電圧で回路が動作するとともに、トランジスタのリーク電流が1pA/μmと非常に少ないことが特徴である。また28nmのバルク基板プレーナFETプロセスに比べ、同一規模の集積回路のシリコンダイ面積が20%ほど小さくなるという。

 また今年(2017年)2月に発表済みだが、FD-SOI技術による半導体の生産拠点を説明した。従来からの生産拠点であるドイツのドレスデン工場では、最先端製品の開発と量産を担う。そして第2の生産拠点として中国の成都市に、成都市人民政府との協業によって新しい工場を建設する。

22nm世代のFD-SOI技術「22FDXプラットフォーム」の概要
FD-SOI技術による半導体の生産拠点

12nmの次世代FD-SOI技術を2018年末には量産へ

 22nmの次に来るのは、12nm世代のFD-SOI技術「12FDX」である。トランジスタはプレーナFETのままであり、リソグラフィにArF液浸のダブルパターニング技術を使う。バルクFinFETだとトリプルパターニングあるいはクワッドパターニングが必要となるのに対し、12FDXではダブルパターニングで済むので製造コストを低く維持できる。12FDXは2018年末までには顧客によるテープアウトが完了する予定である。

12nm世代のFD-SOI技術「12FDX」の概要
CMOSロジック製造技術のロードマップ(まとめ)