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SDカードがSATA 6Gbpsより高速な転送速度624MB/sのUHS-IIIに進化

~全二重通信の採用でUHS-IIから2倍に高速化

UHS-III SDカードのイメージ

 SDカードの規格策定団体であるSD Associationは22日、SDカードの新たなバスインターフェイス「UHS-III」の規格化を発表した。

 より高速な転送速度を実現することで、8Kビデオ記録や360度カメラ/ドローン、3Dカメラ、高速無線通信(5G)といった高いアプリケーション要求性能に応えられるとしている。

 UHS-IIIは、UHS-IIと互換性を持ち、3つの差動信号ペア(RCLK/D0/D1)を用いる。通常状態(全二重方式)では、D0レーンはホストからカードに、D1レーンはカードからホストに向かって、コマンド/レスポンス/データや、各種パケット/シンボルを転送する。

UHS-III インターフェイス(全二重モード)

 UHS-IIIでは、最大転送速度がUHS-II (312MB/s)の2倍となる、624MB/sへ引き上げられた。

 具体的には、UHS-IIはRange AとBの2つの速度レンジをサポートしており、半二重方式(D0レーンとD1レーンを同方向にして倍速転送する転送モード)により、それぞれ156MB/s、312MB/sまでの転送が可能だったが、UHS-IIIは、Range A/Bに加えて、Range C/Dの2つの速度レンジを追加。Range C/Dはそれぞれ312MB/s、624MB/sまでの転送が可能となっているほか、レーン方向の切り替えが不要な全二重方式を採用する。

 さらにUHS-IIIでは、「エンファシス」技術の採用により信号品質を改善できるとしている。

速度レンジRCLK 周波数ビットレート/レーン最大パス転送速度カードタイプ
Range A26-52MHz0.39-0.78Gbps156MB/s (半二重)UHS-II/IIIカード
Range B2.88-3.12Gbps312MB/s (半二重)
Range C48-52MHz5.76-6.24Gbps312MB/s (全二重)UHS-IIIカード
Range D0.78-1.56Gbps624MB/s (全二重)
バスモード拡張によるバスインターフェース性能の向上

 転送速度の高速化だけでなく、UHS-IIIでは待機時から動作状態への復帰時間にも改善が図られている。

 UHS-IIでは、パワーセービング状態(Dormant)から動作状態(Active)に復帰する時に「Dormant→Wakeup→Config→Active」というプロセスを経るため、復帰に時間がかかっていたのに対し、UHS-IIIでは、「Dormant→Active」へ直接遷移する「QR(Quick Recovery) Dormant」機能を追加し、復帰時間を短縮する実装を可能にしたという。

 これにより、例えばPHYをディープスリープ状態にし、かつ高速復帰を実装することで、効率の良い電力制御による低消費電力化が実現できるとしている。

UHS-IIIの基本状態遷移