ニュース
もしかしてこの会議、無駄? AIで働き方に“気付き”を与えるOffice 365の「MyAnalytics」
2017年2月16日 17:08
日本マイクロソフト株式会社は16日、「働き方改革を支援するOffice 365のMyAnalytics」と題された記者説明会を都内で開催した。
MyAnalyticsは、同社のクラウドサービスOffice 365で利用できるサービスの一種。2015年末より提供されている。最上位の「Office 365 Enterprise E5」契約では無料でこの機能が利用できるが、E3およびE1では別途月額440円/ユーザーでアドインとしてこの機能が追加できる。
MyAnalyticsは、これまでユーザーが行なったメールのやりとり(Exchange経由)、およびカレンダーに登録された会議などの情報を集計。数値化してユーザー自身に見せるとともに、AIが自動的に分析し、気付きを与えてくれるようなちょっとした“アドバイス”をしてくれるので、自らの働き方について見直すきっかけになる。
自分がチーム全員に宛てたメールが、どのぐらい既読となったのか、既読になるまでどのぐらい時間がかかったのかといった情報も集計してくれるので、例えば自分の残業時間に送信したメールを読むのに受信者が費やした時間が約3時間かかっているとすれば、「緊急性のないメッセージは翌朝まで保存しておきましょう」と言った簡単なヒントを提示してくれるわけだ。
会議の状況についても集計してくれる。例えば定例会議が多くて、その定例会議中に内職をしてしまっている時間の方が多くなっているのなら、それもMyAnalytics上で表示してくれるので、定例会議のあり方を再検討したり、自分を会議のメンバーから外してもらうなどの対策が取れる、というわけだ。
もちろん、これは業種や業務によって大幅に異なるし、このヒントやアドバイスが本当にその人にとって有益かどうかというのは分からない。MyAnalyticsの提案は、あくまでもこれまでMicrosoftが集計してきたデータを統計的に分析したものにしか過ぎない。また、MyAnalyticsでは気付きを与えてくれるものの、業務そのものの改善は自らの努力のみならず、上司や他者との相談や連携も必要になってくる。それでも気づいた方が気付かないよりはいい、というのが日本マイクロソフトの提案だ。
さて、日本マイクロソフトは日本政府が推進する「働き方改革」に賛同し、技術で貢献を行なっているが、当然、その日本マイクロソフト自身も働き方の改革に取り組んでいる。同社は2011年2月に本社を新宿から品川に移転させ、その際にテレワークを強く推進してきたのだが、2017年からはMyAnalyticsを活用し、「働き方改革 第2章」に向け進化させているという。つまり、AIの活用で、自らの働き方について気付きを与え、業務の改善に取り組んでいるわけだ。
具体的な成果は既に上がってきている。例えば、会議時間を削減してアイデアを練る時間を創出したり、メールの送受信だけでなく、対面会議やSkype会議、SNS(Yammer)などを使い分けることで相互理解を深めたり、部外とのコミュニケーションの強化で企画の新規性やクオリティを向上させたりできたという(日本マイクロソフト株式会社 Officeマーケティング本部 冨士野光則氏)。
ちなみにMyAnalyticsの目的は、自分自身の働き方の改革の啓蒙なので、MyAnalyticsのデータは自分自身でしか見ることができない。例えば、会議中に自分が内職していることが上司に知られることはない。しかし例えば上司と働き方について見直す際に、数値化しているデータなどを“証拠”として見せることができるので、働き方の改善について共に考えていくきっかけになるわけだ。
日本マイクロソフトは週一で上司と部下の1対1ミーティングが必ずあるのだが、その際にMyAnalyticsのデータを用いて働き方を見直している。これが先ほど述べた具体的な成果として上がって来ている要因の1つだ。
この機能は2017年春頃のアップデートで、チーム単位での時間の使い方と、コラボレーション状況を可視化するグループ分析機能を加える予定。また、カスタマイズされた組織横断の分析を行なう「Workplace Analytics」も、有償の早期導入特別プログラムにて2017年夏に提供予定としている。