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日立、動画撮影後に容易にピント調整できる“レンズレス”カメラ技術

~カメラの小型化と処理の軽量化を実現

 株式会社日立製作所は15日、レンズに代わり、同心円パターンを印刷したフィルムを画像センサーの前に置き、動画撮影後に容易にピント調整ができるという「レンズレスカメラ技術」を実現した。

 近年、搭載場所に制限がないカメラの薄型軽量化と高性能化の両立が求められており、さらに撮影後に画像処理を行なうことを前提としたコンピュテーショナルフォトグラフィ技術への高まっている。光線の位置と方向を同時に記録し、撮影後にピント調整を可能にしたライトフィールドカメラは存在するが、レンズユニットの大きさが課題だった。一方、薄型軽量化を実現レンズレスカメラ技術も開発されているが、画像処理に多くの計算が必要であり、性能に課題があった。

 そこで日立は、同心円パターンを印刷したフィルムを、画像センサーの前に置き、入射する光線が作る影に、画像処理内で同じ同心円パターンを重ね合わせると光線の入射角に対応した間隔のモアレ縞が生じることに着目。このモアレ縞を利用し、フーリエ変換と呼ばれる広く普及した簡単な画像処理で撮影画像を得る技術を確立した。画像処理の計算量は300分の1までに減ったという。

 さらに、フィルムを通じて画像センサー上に作る影に重ねる同心円パターンの倍率を変えることで、ピント位置を移動させられる技術も開発。これにより、撮影後も同心円パターンの重ね合わせによる画像処理で自由にピントを調整できるという。

 今回開発した性能を測定するために、1cm角の画像センサーと、1mm離した位置に同心円パターンのフィルムを配置して実証実験を行なった結果、標準的なノートPCで毎秒30fpsの動画撮影ができることを確認した。

 この技術によりレンズを不要としたことで、モバイル機器やロボットのデザインを損ねることなく自由な位置にカメラを設置できる。今後はモバイル機器や車、ロボットなどさまざまな分野に応用できるとしている。