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デルのOEM事業は“インダストリアルIoT”の推進を目指す

~同社初の産業用PCはその布石に

 デル株式会社は11日、同社でOEM事業を担う、OEMソリューションズ部門についての記者説明会を開催した。

 記者説明会には同社OEMソリューションズ カントリー・マネージャー兼営業本部長の小山実氏らが登壇。同社のOEM事業や、IIoT(Industrial Internet of Things)への取り組みなどについて解説を行なった。

 登壇した小山氏は、OEMソリューションズの概要と戦略について解説。

デル株式会社 OEMソリューションズ カントリー・マネージャー兼営業本部長 小山実氏

 デルのOEMビジネスは、創業者のマイケル・デル氏が1999年に立ち上げた事業で、小山氏は、デルの全部門の中で唯一立ち上げから成長を継続している部門で、25%~30%の年成長率を遂げていると述べた。日本でもAPJ(日本とアジア太平洋地区)の1つとして、6年前から事業を開始しているという。

 事業内容としては、リブランディングを含むカスタマイズ製品の提供、組み込み用途としての提供(Embedded)、顧客システムのコンポーネントとしての提供、アプライアンスプラットフォームとしての提供、ソリューションパッケージとしての提供、エンドサービス用のクラウドプラットフォームとしての提供などとなる。

マイケル・デル
基本的なビジネススコープ
特徴
提供形態

 主にフォーカスしている分野としては、PACSソリューションやイメージビューワなどの“メディカル/ヘルスケア”、ラインコントローラや監視システム、各種計測制御などの“FA/IA/計測器”、“POS/キオスク”、ネットワーク関連やストレージサーバーなどの“アプライアンス”、SNSやデジタルサイネージ、ゲーム機器などの“インタラクティブソリューション”、DCパワーサーバーやVoIPソリューション、企業内モバイル端末など“テレコム/モバイル”の6つを挙げ、日本ではメディカル/ヘルスケア分野で高いシェアを獲得していると説明。ワールドワイドでは今、本格的に参入できていなかったテレコム/モバイルに注力しているという。

 同社のOEM事業では、設計/テスト、カスタムBIOSなどのエンジニアリング、OSイメージのロード、サプライヤ管理、カスタムラベルと直接出荷、フィールドサポートなど、エンドツーエンドで一貫して対応していると述べ、日本に工場を持たない外資系企業としては類を見ない、工場との直接やり取りを行なっており、労力は掛かっているが、その分評価を得られているとした。なお、工場でWindows Embeddedをロードできるのは世界でもDell OEMソリューションズだけだという。

フォーカス分野
提供できる価値
デルOEM
主力製品

 小山氏は、OEMソリューションズは、事業立ち上げの経緯から、マイケル・デル氏直轄の部門となっており、デルの中でも独立しているユニークな組織で、金融/教育/医療といった分野、中規模/大規模/グローバルなど規模に関わらず、顧客セグメントに対して横断的であり、ダイレクトに顧客をサポートしていると述べた。また、各国にサポート網を持っており、グローバルでのサポート体制に自信を覗かせた。

 小山氏は、OEMソリューションズでは、今回新たなビジネス戦略として、IoT分野への更なる注力を行なうとして、Intelを始めとしたベンダーとの連携強化、標準化団体への参加、IoT Lab開設、日本でのDell IoTソリューションパートナープログラム立ち上げと共に、IoTソリューション向けコンポーネントとしての産業用組み込み向けPCへの参入を行なうと述べた。

新たなビジネス戦略
ビジネスフォーカス
IoTソリューション・ケーパビリティ
新主力製品

 投入される産業用PCについては、同社OEMソリューションズ ソリューション・アーキテクトの高橋忠志氏が解説を行なった。

 製品の詳細については掲載済みの別記事を参照頂きたいが、一般的な産業用組み込み向けPCと比較して高いコストパフォーマンスと、民生向けPCと同じく2~3週間で納品するという短納期体制、1台からでも購入可能という点が特徴であると述べた。

 また、ファンレスのため、発熱するパーツはヒートパイプで熱を移動させ、放熱はケースで行なう構造を採用しているという。

 製品の提供は5年間とのことで、保証期間については、5年間は当然ながら、延長保証として7年や8年、10年以上の保証を提供していきたいと述べ、元々同社は民生用PCをベースに仕様に手を加えた“準産業用PC”を販売しており、そちらでは10年保証を既に実現していることから、初の産業用PCである同製品についても、同一以上のサポートを提供したいという意気込みを見せた。

同社 OEMソリューションズ ソリューション・アーキテクト 高橋忠志氏
特徴
発売済みのゲートウェイ「Dell Edge Gateway 5000」シリーズと組み合わせて工場内ネットワークを形成
ゲートウェイのアクセサリ
ゲートウェイもOSが選択できる

 最後に登壇したDell IoTソリューショングループのChristine Frank氏は、デルの推進するIIoTについての解説を行なった。

Dell IoTソリューショングループ Christine Frank氏

 Frank氏は、IIoTとは、最新技術を駆使することで、エンタープライズと工場に架け橋をかけることで、機械やアクチュエータ同士だけでなく、モノや人も繋げていくことで全体でより優れたパフォーマンスを実現するというものであると説明。

 IIoTおよび「Industrial 4.0」の画期的な点は、Ethernetにより機械同士が接続された「Industrial 3.0」から、末端機器の処理能力向上やクラウドなどにより、複雑なタスクでも自動化が可能となった所にあると述べ、IIoTにより、ダウンタイムの削減、アップタイムの最大化、保守費用の削減、システムの完全な可視化、どこからでもアクセス可能なアクセス性を得られるとした。

 その結果として、53%のイノベーション促進、50%の競合優位性向上、50%のトータルコスト削減が可能だという。

工業の歴史
IIoTの利点

 具体的なユースケースとしては、予防型メンテナンス、自動化プロセス/品質管理、向上の最適化、コンプライアンスと文章作成などとなる。

 例えば製造工場であれば、IIoTを導入しProduct Data Management(PDM: 製品情報管理)を行なうことで、故障に繋がる特性を故障発生前に検知する(予防型メンテナンス)ことで、13%のメンテナンスコスト削減、3.5%のダウンタイム削減、89%の機器の全体効率改善により、24%のROA最大化に繋がるという。

ユースケース
IIoTを後押しする要素
工場内で接続されるもの
PDMによるROA最大化

 PDMにおいては、PLCやDCS、機器の制御データといったリアルタイムデータ、在庫レベルやコストなどデータベース系の構造化ビッグデータ、テキストデータやログといったRAWデータのような非構造化ビッグデータの3つのデータが収集される。そのため、PDMソリューションの導入には、データの収集、データの分析を行なう場所の決定、データを統合分析し正確な洞察の入手が必要となると述べ、Edge Gatewayを使用することで、センサーデータの収集からクラウドへの分析の処理分散が行なえるとした。

収集するデータの種別
PDMの実装
ダウンタイムを防止
PDMソリューションの例