やじうまミニレビュー

Lexar 「Professional 1000x microSDXC UHS-IIカード 128GB」

~業界初のUHS-II対応128GB microSDXCカード

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Lexar 「Professional 1000x microSDXC UHS-IIカード 128GB」

 Micronは、10月15日に発表会を開催し、コンシューマ向けDDR4メモリやメモリカードなどの新製品を発表した。発表会の様子はこちらの記事に詳しいが、本稿では発表会時に公開された、LexarブランドのUHS-II対応microSDカード「Professional 1000x microSDXC UHS-II 128GB」を取り上げる。

 UHS-II対応のSDカード製品は、各社から既に登場済みで、UHS-IIに対応するSDカードスロット搭載のノートPCも徐々に増えつつある。LexarもUHS-II対応SDカードを発売済みで、10月15日の発表会では、業界初となるUHS-II対応で128GBの容量を実現する「Professional 2000x SDXC UHS-IIカード 128GB」を発表するなど、製品ラインナップも充実しつつある。

 それに対しUHS-II対応のmicroSDカード製品は、日本ではまだ製品が発売されていないが、Lexarは、2015年5月より北米で「Professional 1000x microSDHC/SDXC UHS-IIカード」の販売を開始している。容量32GBと64GBの2モデルを先行で販売していたが、発表会では容量128GBの「Professional 1000x microSDXC UHS-IIカード 128GB」を公開するとともに、日本でも発売を予定していると公表した。今回入手したサンプルは日本語パッケージとなっており、発売の準備はほぼ整っていると考えられる。発売時期は年内を予定しており価格は未定だが、国内で販売される初のUHS-II対応microSDカードとなる可能性が高そうだ。

 同製品は、プロ向けとして展開されている「Professional」シリーズに位置付けられている。カード自体のサイズや形状は従来のmicroSDと同じだが、UHS-II対応ということで、背面を見ると端子が8個増えている。ここまで端子が多いと、素手で触るのは少々ためらってしまう。

 アクセス速度は、リードが最大150MB/Sec、ライトが最大45MB/Secと、ライト速度はミドルレンジクラス相当だが、リード速度はUHS-I対応のハイエンド製品を大きく上回っている。スピードクラスは、UHS Speed Class 3に対応。もちろんUHS-Iなどとの互換性も確保されており、UHS-II対応microSDカードスロットを備えない製品でも利用可能。その場合には、最大限の速度こそ発揮されなくなるが、UHS-I対応のハイエンド製品に匹敵する速度が発揮されるという。

Professional 1000x microSDXC UHS-IIカード 128GB本体。サイズや形状は、もちろん従来のmicroSDと同じだ
UHS-II対応ということで、裏面には端子が2段並んでいる
右がUHS-I対応のmicroSDカード。UHS-II対応のrofessional 1000x microSDXC UHS-IIカードでは端子が8個増えている
パッケージは日本語化が完了しており、2015年中の発売を予定している

 製品パッケージには、microSDカード本体と、USB 3.0対応のmicroSDカードリーダが同梱されている。microSDカードリーダは全長が32mm(実測)ほどと非常にコンパクトで、持ち運びもかさばることがない。PCのUSB 3.0ポートに装着することで、カードの性能を最大限に引き出せる。なお、UHS-II対応のSDカード変換アダプタは付属しないため、UHS-II対応SDカードスロットで速度を最大限に引き出しつつ利用することは不可能。Lexarによると、来年にはUHS-II対応SDカード変換アダプタを用意したいとのことだ。

パッケージには、microSDカードリーダーを同梱。全長32mmほどとかなりコンパクトだ
microSDカードスロットは、もちろんUHS-IIに対応している
USB 3.0に対応しており、高速なデータ転送が可能となっている

 では、実際の性能をチェックしていこう。テストは、NECのノートPC「LaVie Direct HZ Hybrid Zero PC-GN246W3G4」のUSB 3.0ポートに、Professional 1000x microSDXC UHS-IIカード 128GBを装着した付属のmicroSDカードリーダを取り付けて行なった。

 まずCrystalDiskMark 5.0.2 x64の結果を見ると、シーケンシャルリードは133.4MB/Sec、シーケンシャルライトは57.45MB/Secを記録した。シーケンシャルリードは公称値の150MB/Secを下回っているのに対し、シーケンシャルライトは公称値の45MB/Secを上回っている。それに対し、ランダムアクセス速度はかなり遅いが、基本的にランダムアクセスが頻発する用途で利用することはほぼないため、大きな問題とはならないだろう。少なくとも、シーケンシャルアクセスでこれだけの速度を発揮するなら、プロ向けのハイエンドクラス製品として見ても十分に納得できる範囲内だ。

付属のmicroSDカードリーダーを利用した場合の結果

 次に、UHS-II非対応機器で利用した場合を想定し、UHS-II非対応のSDカード変換アダプタに装着して、ノートPCのSDカードスロットに取り付けて検証してみた。結果は、シーケンシャルリードが89.96MB/Sec、シーケンシャルライトが48.23MB/Secとなった。それでもこの速度は十分に高速と言えるもので、デジタルカメラやウェアラブルカメラなどで4K動画を撮影する場合でも、このライト速度なら十分対応できるはずだ。

SDカード変換アダプタを利用し、PCのSDカードスロットで計測した結果

 最後に、カード内のデータをPCに転送する場合の速度を計測してみた。今回は、デジタルカメラで撮影した写真データ135枚、合計約1GBのデータをPCの内蔵SSDに転送する時間をストップウォッチで計測。付属のmicroSDカードリーダを利用して転送した場合と、SDカード変換アダプタを利用しPCのSDカードスロットに装着して転送した場合の双方で計測した。

 結果を見ると、付属のmicroSDカードリーダー利用時の方が、SDカード変換アダプタ利用時に比べて3割近く高速に転送できた。これだけ速くデータを転送できるなら、大容量となる4K動画データの転送時などには大きな差となって現れるはずで、既存のmicroSDカードに対する優位点になりそうだ。

【写真データ約1GBの転送時間】
UHS-II対応USB 3.0 microSDカードリーダ利用時約9.84秒
UHS-II非対応SDカード変換アダプタ利用時約13.97秒

 テストから、速度はハイエンド製品として十分に満足できるものと確認できた。しかし、この製品には1つ大きな問題がある。それは、現時点でUHS-II対応microSDカードスロットを備えるデジタルカメラやウェアラブルカメラなどの機器が存在しないという点だ。つまり、付属のmicroSDカードリーダを利用する以外には、実質UHS-I以下のmicroSDとしてしか利用できない。

 そこはLexarも認識しており、UHS-I環境でも十分に高速な速度が発揮されることと、PCへのデータ転送が高速に行なえるという点を、この製品のメリットとして挙げている。実際の検証でも、PCへのデータ転送が大幅に高速化されることを確認したが、確かにこのメリットはかなり大きいと感じる。

 現時点で日本での販売価格は未定だが、北米での実売価格は、32GBモデルが31.95ドル、64GBモデルが59.93ドル(いずれもAmazon.comの販売価格)と、競合のハイエンドmicroSDカードと比較しても、ほぼ同等レベルの価格だ。それでいて、より高速なデータ転送が可能になることを考えると、競合製品に対して優位性のある製品と言えそうだ。ウェアラブルカメラで4K動画や長時間のフルHD動画を撮影する機会が多いという人に、特にお勧めしたい。

(平澤 寿康)