やじうまミニレビュー
テックウインド「AKRacing Premiumオフィスチェア」
~硬めのクッションが巨重をしっかり支えて長時間のPC作業も快適に!
2017年5月10日 06:00
ベッド、靴、タイヤなど「自分と地面の間にあるものには金をかけろ」とよく言われているが、長時間デスクワークやPC作業をするのであれば、やはりそれなりの椅子が必要。快適に長時間座れることも重要だが、無理なく正しい姿勢を続けられることがなによりも大事だ。崩れた姿勢は身体への悪影響が計り知れない。
……なんて偉そうに講釈を述べてみたが、椅子のように大きな商品で、そして長時間利用してみないと自分の身体に合うのかわからないものは、なかなか購入できない。
というわけで、編集部からテックウインドの「AKRacing Premium オフィスチェア」を試してみないかと打診があったときに飛びついた次第だ。
ユーザー組み立てモデルは、撮影しながら35分で完成!
数日後、AKRacing Premiumオフィスチェアが我が家に到着した。箱のサイズは約87×68×40cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約28.6kg。重さは宅配員さんが「よいしょ!」とかけ声を出しながら運んできたほどだが、箱のサイズは予想以上に小さかった。
実は、AKRacing Premium オフィスチェアには標準モデルと組み立て済みモデルが用意されており、標準モデルはユーザーが自ら組み立てる仕様となっている。そのぶん箱のサイズが小さく、また価格も標準モデルが59,800円、組み立て済みモデルが69,800円となっている。
値段が安いのも見逃せないポイントだが、筆者のように一戸建ての2階に椅子を設置する場合にはユーザー組み立てモデルのほうがありがたい。本製品を組み立て後にわかったことだが、完成品は筆者の部屋の扉を通らなかった。標準モデル、組み立てモデル、いずれを購入するにせよ、梱包や本体サイズと自宅の扉や通路幅を事前に確認しておきたい。
本製品には、カーボンブラック、レイブン、シルバーの3色が用意されており、今回はテックウインドからカーボンブラックモデルを借用した。カーボンブラック、シルバーには「AKRacing」のロゴが大きく刺繍されているので、お堅い職場に導入するのであればロゴがさりげなくエンボス加工で施されている黒一色のレイブンがオススメだ。
なお、組み立て済みモデルには最後に紹介するフットレスト「GAMING - Low Footrest」が付属する。このフットレストは、4月22日時点では残念ながらオプション販売されていない。また、標準モデルは4月22日から販売が開始されているが、組み立て済みモデルは5月下旬に発売される予定だ。
さて、本製品の組み立ては当初想像していたよりも簡単だった。箱からすべてのパーツを取り出して、床一面に並べた際はちょっと気圧されてしまったが、付属のマニュアルには、カラー写真でステップごとに組み立て方法が解説されていたので、特に迷うところはなかった。
実際に組み立てていて感心したのが、3本のネジを除いて、ほとんどのネジが本体側に仮留めされていること。仮留めされているということは、ネジを締めにくいことはないはずだし、取り付ける位置を間違えるおそれもない。組み立て家具を購入すると、ネジが妙に固くて、ネジ山をなめてしまったり、ネジが斜めに入ってしまうことが時折あるが、本製品に限ってはそのような心配はいらない。
ただし、ちょっと使いにくかったのが付属のレンチ。2種類のレンチのうち、小さいレンチの片側が六角ではなくプラスになっているのだ。床に近い位置のネジを回す際に小さなレンチが必要になるが、レンチの短い側を持ち手に使えないため、椅子を持ち上げてネジを回す必要があった。本製品の組み立てにプラスのネジは使わないので、小さいレンチも両側が六角のほうが組み立てやすいはずだ。
良い意味で固い座り心地、イメージ的には病院の診察台に近い?
本製品は同ブランドのハイエンドモデルだけに、調整機構が非常に充実している。フルフラットまで倒せるリクライニング機能、硬さを調整できてロックも可能な座面チルト機能、前後・回転・昇降による位置調整が可能なアームレスト、そして36~43cmで無段階に昇降できる座面高調整機能により、体格に合わせて細かなセッティングが可能だ。
筆者は長年のデスクワークで慢性的な腰の凝りに悩まされているが、標準同梱されるランバーサポートは嬉しいオプションだ。このランバーサポートはゴムベルトで装着されるので、体格に合わせて高さを自由に調整できる。
一方、ヘッドレストについては、筆者は背もたれを垂直にして座るのであまり必要としなかったが、背もたれを倒して座る方には重宝するだろう。
さて、肝心の座り心地だが、良い意味で固い感触が心地良い。イメージ的には診察台の感触に近いように感じられた。クッションの硬さの好みは人それぞれだが、体重100kgを超える筆者は硬めが好みだ。
沈み込むように柔らかいクッションは短時間であれば心地よいが、どうしても姿勢が崩れがちだ。長時間座るのであれば、AKRacingならではのレーシングシートのような形状と、固いクッションでしっかりと身体を支えてくれるほうが良い。最大荷重150kgのガスシリンダーが採用されている点も、体重100kgを超える筆者には心強い。
サイズ感についても筆者の体格で特に問題は感じなかった。最初に座ったときは座面両脇のサポートが窮屈な印象があったが、このサポートのおかげで膝を閉じ、自然に正しい姿勢を取れるようだ。
また、肩口にはAKRacing最大量の極厚シートクッションが採用されているとのことだが、こちらは特に狭く感じることもなかった。シート奥行きが550mmと少し小振りになっている点も、筆者の体格的にはジャストサイズ。筆者以上に大柄でなければ、ヘッドレストとランバーサポートを活用すれば、幅広い体格・体型に対応できるだろう。
高級オフィスチェアとも比較しておこう。以前筆者は勤め先で旧型の「アーロンチェア」を利用しており多彩な調整機能を活用していたが、「AKRacing Premium オフィスチェア」の調整機構に特に不満はない。フルフラットまで倒せるリクライニング機能については「アーロンチェア」に勝っていると言ってもいいだろう。
今回借用したカーボンブラックの質感は高級オフィスチェアにふさわしいものだ。要所に入ったカーボン柄も精悍な印象を与えている。ただヘッドレストとランバーサポートは機能的ではあるが、ゴムバンドで留めるという点に少々チープさを感じる。できれば次期モデルでは高級スポーツカーのシートと同様に、ランバーサポートの厚みや位置を調整する機構を内蔵してほしいものだ。
今回は短期間の試用だったため年単位で利用した際の耐久性については正直未知数だ。しかし、1日じっくり座ってみて、これまで使っていた某社製オフィスチェア(約3万円前後)より疲労が少ないのは実感できた。
これまでのAKRacingシリーズの座り心地は気に入っていたものの、いかにもゲーミングチェア然としたデザインから敬遠していた方には、オフィス向けのカラーリングのAKRacing Premium オフィスチェアは待ちに待った1台と言えるだろう。
製作協力: テックウインド