やじうまミニレビュー

テックウインド「AKRacing Premiumオフィスチェア」

~硬めのクッションが巨重をしっかり支えて長時間のPC作業も快適に!

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
テックウインド「AKRacing Premiumオフィスチェア」59,800円~

 ベッド、靴、タイヤなど「自分と地面の間にあるものには金をかけろ」とよく言われているが、長時間デスクワークやPC作業をするのであれば、やはりそれなりの椅子が必要。快適に長時間座れることも重要だが、無理なく正しい姿勢を続けられることがなによりも大事だ。崩れた姿勢は身体への悪影響が計り知れない。

 ……なんて偉そうに講釈を述べてみたが、椅子のように大きな商品で、そして長時間利用してみないと自分の身体に合うのかわからないものは、なかなか購入できない。

 というわけで、編集部からテックウインドの「AKRacing Premium オフィスチェア」を試してみないかと打診があったときに飛びついた次第だ。

ユーザー組み立てモデルは、撮影しながら35分で完成!

 数日後、AKRacing Premiumオフィスチェアが我が家に到着した。箱のサイズは約87×68×40cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約28.6kg。重さは宅配員さんが「よいしょ!」とかけ声を出しながら運んできたほどだが、箱のサイズは予想以上に小さかった。

 実は、AKRacing Premium オフィスチェアには標準モデルと組み立て済みモデルが用意されており、標準モデルはユーザーが自ら組み立てる仕様となっている。そのぶん箱のサイズが小さく、また価格も標準モデルが59,800円、組み立て済みモデルが69,800円となっている。

 値段が安いのも見逃せないポイントだが、筆者のように一戸建ての2階に椅子を設置する場合にはユーザー組み立てモデルのほうがありがたい。本製品を組み立て後にわかったことだが、完成品は筆者の部屋の扉を通らなかった。標準モデル、組み立てモデル、いずれを購入するにせよ、梱包や本体サイズと自宅の扉や通路幅を事前に確認しておきたい。

 本製品には、カーボンブラック、レイブン、シルバーの3色が用意されており、今回はテックウインドからカーボンブラックモデルを借用した。カーボンブラック、シルバーには「AKRacing」のロゴが大きく刺繍されているので、お堅い職場に導入するのであればロゴがさりげなくエンボス加工で施されている黒一色のレイブンがオススメだ。

 なお、組み立て済みモデルには最後に紹介するフットレスト「GAMING - Low Footrest」が付属する。このフットレストは、4月22日時点では残念ながらオプション販売されていない。また、標準モデルは4月22日から販売が開始されているが、組み立て済みモデルは5月下旬に発売される予定だ。

 さて、本製品の組み立ては当初想像していたよりも簡単だった。箱からすべてのパーツを取り出して、床一面に並べた際はちょっと気圧されてしまったが、付属のマニュアルには、カラー写真でステップごとに組み立て方法が解説されていたので、特に迷うところはなかった。

 実際に組み立てていて感心したのが、3本のネジを除いて、ほとんどのネジが本体側に仮留めされていること。仮留めされているということは、ネジを締めにくいことはないはずだし、取り付ける位置を間違えるおそれもない。組み立て家具を購入すると、ネジが妙に固くて、ネジ山をなめてしまったり、ネジが斜めに入ってしまうことが時折あるが、本製品に限ってはそのような心配はいらない。

 ただし、ちょっと使いにくかったのが付属のレンチ。2種類のレンチのうち、小さいレンチの片側が六角ではなくプラスになっているのだ。床に近い位置のネジを回す際に小さなレンチが必要になるが、レンチの短い側を持ち手に使えないため、椅子を持ち上げてネジを回す必要があった。本製品の組み立てにプラスのネジは使わないので、小さいレンチも両側が六角のほうが組み立てやすいはずだ。

中央がカーボンブラック、右がレイブン、左がシルバーモデル。今回借用したのはカーボンブラックだが、AKRacingのロゴすらも浮いてしまうようなお堅いオフィスであればレイブンモデルを選ぶと良い ※テックウインドの製品情報ページより
箱のサイズは約87×68×40cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約28.6kg(どちらも実測)。箱は比較的コンパクトなので、1階から2階へ特に無理なく搬入できた
箱の中には、背もたれ部、座部、5本足ベース、シリンダー固定台、ランバーサポート、ヘッドレスト、ガスシリンダー、ガスシリンダーカバー、組み立てマニュアル・保証書、ストッパー付きPUキャスター、プラスチックカバー、サイドカバー、ヘッドレスト固定クリップ、ネジ(黒3個)、レンチ(大小各1個)、軍手が収納されている
組み立て方法はカラー写真でステップごとに解説されている。重要な箇所は赤丸などで明示されているので、取り外すネジの位置などで迷うことはない
まず、背もたれ部の両脇から仮留めされている4本のネジを取り外し、背もたれ部と座部を合体させてから、4本のネジで取り付ける。4本のネジは、いったん手である程度回してすべて仮留めしてから、レンチで本締めすると良い。なお今回は写真を撮影するため素手で作業したが、皆さんが組み立てる際には怪我防止のために付属の軍手を使ってほしい
つぎに背もたれ部の両サイドにサイドカバーを取り付ける。ネジはネジは黒2個を使用する。ネジを締めすぎるとサイドカバーが割れてしまうので、力は加減しよう。椅子の構造に関わるパーツではないので、無理に強く締める必要はない
今度は座部の左側にプラスチックカバーを取り付ける。このネジの締め付けには小さいレンチを使用するが、長い方がプラスとなっているので、短い方しか差し込めない。そのため、座部を床に置いたままだとレンチを回せないので、台や足の上に乗せて作業しよう
座部裏面に仮留めされている4本のネジをはずしてから、シリンダー固定台を取り付け、4本のネジを締め直す。ここでもネジはいったん仮留めしてから左右の平行などを微調整し、その後に本締めしよう
ガスシリンダーにシリンダーカバーをかぶせて、細い方を座部側の穴に差し込む
五本足ベースにストッパー付きPUキャスターをすべて取り付けたら、ガスシリンダーの太い方を差し込む
あとはヘッドレストを取り付けて……
ランバーサポートを装着すれば……
AKRacing Premium オフィスチェアの完成だ。今回は記事用の写真を撮影しながら組み立てて、所要時間は約35分となった。組み立てに専念すれば20分ぐらいで完成するだろう
組み立て風景を動画でも撮影しておいた。約35分を42秒に縮めた早回し動画だが、組み立て手順の参考にご覧いただきたい

良い意味で固い座り心地、イメージ的には病院の診察台に近い?

 本製品は同ブランドのハイエンドモデルだけに、調整機構が非常に充実している。フルフラットまで倒せるリクライニング機能、硬さを調整できてロックも可能な座面チルト機能、前後・回転・昇降による位置調整が可能なアームレスト、そして36~43cmで無段階に昇降できる座面高調整機能により、体格に合わせて細かなセッティングが可能だ。

座部左側のレバーを上げると座面チルト機能のロックが解除される。もしこのレバーを上げても座面が傾かない場合は、座部の底面にあるロッキング調整ノズルを反時計方向に回して、硬さを調整しよう
中央の大きなレバーがリクライニング用、下のレバーが座面高調節用のレバー。どちらも上に引くとロックが解除されて調節が可能になる
背もたれはフルフラットに倒せる。休息時間に重宝しそうな機能だ。ただ、座高のある筆者は後ろに倒れそうでちょっと怖かった
座面チルト機能をオンにすれば、背もたれと座面を同時に傾けられる。もちろん傾けた場所で固定可能だ
アームレストは前後・回転・昇降調整が可能。もし不要ならアームレストは取り外せる
左が座面高36cm、右が43cm。座面高を一番上げると、身長185cmの筆者でも足が届かなくなる

 筆者は長年のデスクワークで慢性的な腰の凝りに悩まされているが、標準同梱されるランバーサポートは嬉しいオプションだ。このランバーサポートはゴムベルトで装着されるので、体格に合わせて高さを自由に調整できる。

 一方、ヘッドレストについては、筆者は背もたれを垂直にして座るのであまり必要としなかったが、背もたれを倒して座る方には重宝するだろう。

ランバーサポートは縦方向の2本のゴムベルトで装着されており、高さを自由に調整可能。どのような体格でも背筋を伸ばした姿勢を維持できる
ヘッドレストは、背もたれの穴にゴムベルトを通してクリップで固定する方法と、背もたれ上部に巻いて固定する方法のふた通りで装着できる。後者であれば高さを大幅に調整可能だ
「AKRacing Premium オフィスチェア」のキャスターは、ナイロン製でははく、ストッパー付きのPU製キャスター。PU製はナイロン製に比べてフローリングに傷をつけにくいので、マットを敷いていない床の上でも安心して利用可能だ。またストッパーも何気に便利。5個のうち2個をロックすればしっかりと固定される

 さて、肝心の座り心地だが、良い意味で固い感触が心地良い。イメージ的には診察台の感触に近いように感じられた。クッションの硬さの好みは人それぞれだが、体重100kgを超える筆者は硬めが好みだ。

 沈み込むように柔らかいクッションは短時間であれば心地よいが、どうしても姿勢が崩れがちだ。長時間座るのであれば、AKRacingならではのレーシングシートのような形状と、固いクッションでしっかりと身体を支えてくれるほうが良い。最大荷重150kgのガスシリンダーが採用されている点も、体重100kgを超える筆者には心強い。

 サイズ感についても筆者の体格で特に問題は感じなかった。最初に座ったときは座面両脇のサポートが窮屈な印象があったが、このサポートのおかげで膝を閉じ、自然に正しい姿勢を取れるようだ。

 また、肩口にはAKRacing最大量の極厚シートクッションが採用されているとのことだが、こちらは特に狭く感じることもなかった。シート奥行きが550mmと少し小振りになっている点も、筆者の体格的にはジャストサイズ。筆者以上に大柄でなければ、ヘッドレストとランバーサポートを活用すれば、幅広い体格・体型に対応できるだろう。

 高級オフィスチェアとも比較しておこう。以前筆者は勤め先で旧型の「アーロンチェア」を利用しており多彩な調整機能を活用していたが、「AKRacing Premium オフィスチェア」の調整機構に特に不満はない。フルフラットまで倒せるリクライニング機能については「アーロンチェア」に勝っていると言ってもいいだろう。

 今回借用したカーボンブラックの質感は高級オフィスチェアにふさわしいものだ。要所に入ったカーボン柄も精悍な印象を与えている。ただヘッドレストとランバーサポートは機能的ではあるが、ゴムバンドで留めるという点に少々チープさを感じる。できれば次期モデルでは高級スポーツカーのシートと同様に、ランバーサポートの厚みや位置を調整する機構を内蔵してほしいものだ。

 今回は短期間の試用だったため年単位で利用した際の耐久性については正直未知数だ。しかし、1日じっくり座ってみて、これまで使っていた某社製オフィスチェア(約3万円前後)より疲労が少ないのは実感できた。

 これまでのAKRacingシリーズの座り心地は気に入っていたものの、いかにもゲーミングチェア然としたデザインから敬遠していた方には、オフィス向けのカラーリングのAKRacing Premium オフィスチェアは待ちに待った1台と言えるだろう。

組み立て済みモデルの初回出荷500台限定に付属するGAMING - Low Footrestは小柄なユーザー向け。体格を理由にAKRacingを購入できなかった方は、組み立て済みモデルを狙おう
筆者の体格でも、座面を傾けると座面高が一番低くても足が浮いてしまった。GAMING - Low Footrestは4月22日時点で単品販売されていないのが残念。できればオプション販売してほしいアイテムだ
製作協力: テックウインド