山田祥平のWindows 7 ユーザーズ・ワークベンチ

複数台のPCを同時多発的に使う



 2台以上のデバイスがあれば、それを用途に応じて使い分けることができるので便利だ。そんなことはわかりきったことだが、PCとスマートフォンの組み合わせで便利なことが、PC2台ではうまくいかないことも多い。それをなんとかしようというのが今回のテーマだ。

●複数のデバイスを同じに保ちたい

 スマートフォンは2台目を所有したときにこそ、その便利さを痛感する。日常的に使っている1台目に加えて、追加のもう1台を入手したとき、おそらくは、設定をはじめてから、ものの数十分で、すべての情報が同期され、1台目と2台目が同じ状態になるからだ。

 ところがPCは、それがなかなかうまくいかない。だから、普段からPCを持ち歩いているユーザーの多くは、デスクに向かっているときにも持ち歩き用のノートPCを使う。情報を一元化したほうが圧倒的にラクだということを経験的に感じているからだ。

 ただ、世の中にはクラウドを利用したさまざまな同期サービスがある。EvernoteやDropboxなど、スマートフォンデバイス用にもアプリが提供され、さまざまな便宜を得ることができている。もちろんPCでも、これらのサービスを利用すれば、複数台のPCで、情報を同じに保つことができる。

Dropboxは単一のフォルダを同期するシンプルなソリューション
Evernoteは専用クライアントもあり柔軟な運用ができる

 これらのサービスの多くは、フリーミアムモデルに基づくビジネスで、ちょっと徹底した使い方をしようとしたとたんに有料サービスの壁が待っている。それはもっともで、これらのサービスはクラウドにマスターを置き、各デバイスはクラウド側とデータを同期するというアーキテクチャで運用されているため、どうしても、クラウド側にストレージが必要になるからだ。

●Windows標準のオフラインファイルを活用しよう

 これを、クラウドは通り過ぎるだけのものにして、基本的にはデバイス間だけでの同期にしてしまえば、無料で利用できるサービスはたくさんある。そして、Windows 7にも、Professional以上なら、標準でオフラインファイルという機能が用意されている。

 オフラインファイルは、本来ならネットワークストレージに存在するファイルを、ネットワークから切断された状態でも読み書きできるようにする機能だ。ファイルに変更を加えた場合、ネットワークとの接続が再開された時点で同期され、古いファイルが新しいファイルに置き換わり、同一に保たれる。両方で異なる変更を加えた場合は、双方が保持されるのでトラブルも起こらない。

何の制限もなく自在にファイルを同期できるWindows標準のオフラインフォルダ。共有フォルダをオフラインで使用するように指定するだけだ

 使い方は簡単だ。1台目のPCからネットワーク経由で見える共有フォルダやファイル、フォルダを右クリックし、「常にオフラインで使用する」にチェックをするだけでいい。個人的にはこの方法で、手元のすべてのPCでデータを同期しているので、複数台あるノートPCのうち、その日の用事に応じて持ち出すPCが違ったとしても、必要なファイルがある、ないで困ることはない。

 オフラインファイルの機能を使うことで、データファイルに関する問題は解決する。もしも、使っているWindowsがProfessional未満の場合は、Windows Live meshサービスを使えば同じことができる。このサービスもデバイス間でのピア・ツー・ピアでデータの同期が行なわれるため、すべてのデバイスで特定のフォルダ内容を同一に保つことができる。実用的にも容量の制限はないに等しい。

ファイルの同期ならWindows Live Meshの自由度が高い

●メールやスケジュールの同期はWindows Liveが便利

 困るのは、メールやスケジュールのデータだろう。このPCで返事を書いたら、あちらのPCではその返事を見失う。あのPCで既読にしたのに、こちらのPCでは未読のまま。あいていると思ってスケジュールを入れたのに、実は別件が入っていてダブルブッキングといったことが頻繁に起こる。だから、情報は一元化したほうがいいという都市伝説がまことしやかにささやかれるのだ。

 情報の一元化は危険だ。万が一のデバイス故障などの際には、すべてを失うことになる。それを回避するために、バックアップ等にいそしまなければならないわけだ。でも、情報を多元化しておけば、1つのデバイスにトラブルが発生しても、それと同じものが、別のデバイスにも存在するので困ることがない。

 だから、メールやスケジュールこそ、クラウド側においておけば、どのPCからでも同じものを読み書きできる。ただ、過去のメールを確認したり、メールに返信したり、あるいは、スケジュールを確認するときに、PCがインターネットに接続されているとは限らない。地下鉄での移動中で、あらゆる通信手段が使えないときだってあるわけだ。

 メールとスケジュールを複数のPCで同期させるためには、今のところ、Windows Liveが便利だ。Windows Live Essentialsに含まれるメールクライアントを各PCにインストールすれば、ウェブ上のLiveメールと同期が行なわれ、それぞれのPCでオンラインでもオフラインでも同じ環境を維持することができる。また、Windows Live Essentialsに含まれているOutlook Connectorを使えば、OfficeファミリーのOutlookで、メールやスケジュールを扱うことができるようになる。さらに、Liveのサービスは、機構として、Exchange ActiveSyncを使っているので、iPhoneやAndroid携帯とも親和性が高い。Exchangeであると設定することで、各種のスマートフォンとも簡単に同期ができる。

 おそらくは、メールサービスとしてGmailを使っている方も少なからずいるはずだ。その場合も、Windows Liveメールクライアントを使ってIMAP経由で読み書きができる。

Windows Liveメールクライアントを使ってWindows Live HotmailやGmailを各PCで同期しよう。これらのメールサービスはスマートフォントの親和性も高い

 こうした方法を組み合わせ、手元にあるすべてのPCのデータを同期し、さらにスマートフォンでも同期させれば、メールとスケジュールは、どのデバイス上でも同一に保たれる。オンラインでもオフラインでもだ。

 どのデバイスを手にとっても、その中には自分の日常がある。この便利さをいったん知ってしまったら、もう、特定のデバイスやキャリアにしばられる携帯電話メールにこだわることが、どれだけばかばかしいことかを実感できるだろう。ただ、残念ながら、この日本という国に生きている限り、携帯メールアドレスがなければ享受できないサービスが少なからずあるのも事実だ。コンサートの予約ができなかったり、ショップやレストランでの優待サービスが受けられないといった不便が発生することがある。でも、そういう時代も、そろそろ終わりではないのかなと思うのだ。特定の1台のデバイスだけで完結する世界が、いかに不便なのかをわかってほしい。