Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ

ルック&フィールに手が入り始めた新ビルド14328

 Windows 10 Insider PreviewのBuild 14328が公開され、Fast ring向けの更新が始まった(関連記事)。今回の更新は、GUIまわりに大きく手が入っているのに加え、新機能も盛りだくさんの内容だ。

目玉機能に成長するWindows Ink

 前のビルドからたった1週間で登場した新ビルドBuild 14328だが、手元ではとりあえずPC 10台をアップデートしてみたところ特に大きな問題はないように見える。ただし、結構な頻度でブルースクリーンに見舞われるので、それは覚悟しておいたほうがいいかもしれない。

 このビルドは、なんといってもWindows Inkが初めてお披露目されている点に注目したい。ペン対応のデバイスを使っているときに役に立つ機能で、今夏提供予定のWindows 10 Anniversary Updateの目玉でもある。

 そのために、Windows Ink Workspaceと呼ばれるGUIが用意された。タスクバーを右クリックすると、ショートカットメニューの中に「Show Windows Ink Workspace button」が見つかる。それをオンにすると、タスクバーの通知領域に手描きをイメージさせるボタンが表示される。また、Surfaceペンなど、ボタンを持つデバイスなら、ボールペンをノックするようにボタンを押せば、Ink Workspaceが開くようにも設定できる。

タスクバーを右クリックすると、Windows Ink Workplace表示をオン/ オフできる
表示すると手描きのイメージのボタンが表示されるようになる

 Workspaceには、付箋、スケッチパッド、画面スケッチ、最近使用したもの、Suggestedという5つのカテゴリに分類されたペインが出現する。

これがWindows Ink Workplace。 5つのカテゴリに素早くアクセスできる

 それぞれの役割について見ていこう。

付箋

付箋。手描きもテキストも記入できる。閉じればそれでおしまいの簡易的なもの

 タップすることでテキストをタイプ入力できる付箋が画面の上にオーバーレイして表示される。テキストをタイプすればそれが入力されるし、ペンで文字や図形を手描きすることもできる。デフォルトでは黄色だが、他の色も選択できる。標準の付箋と同じで書き込んだ内容を保存することはできない。

スケッチパッド

スケッチパッド。デスクトップ全体をパッドにして自由に手描きイメージを書き込める。定規は斜め、縦などに回転させて、それにそって線を引くと、直線を描画できる

 画面全体を使った大きなパッドにペンや指で図形を書き込める。書き込んだ内容はPNGファイルとして保存できる。新規に新しいパッドを作成できるようだが、現時点ではうまく動いていないようだ。定規を使って直線が引けるのが便利。

画面スケッチ

画面スケッチは現在のデスクトップの内容を下敷きにして、その上に手描きイメージを書き込める

 現在のデスクトップがキャプチャされ、そこに自由に手描きができる。共有ボタンでメールやメッセージとして書き込み結果を送ることができる。基本的な使い方はスケッチパッドと同じ。

 今のところはこれだけしかできないので、拍子抜けな印象があるが、今後EdgeやOfficeとの統合が進められていく予定になっているので、まだまだできることは増えていきそうだ。

スタートメニューの使い勝手も高まる

 Windows 7ユーザーが待ち望んだスタートメニューに大きな手が入ったのもこのビルドの見所だ。まず、アカウント、個人用フォルダ、エクスプローラ、設定、電源が独立したボタンとして左側に縦に並ぶ。それに伴い、タスクバーにピン留めされていたエクスプローラはピン留めが解除された。また、デザインも変更されている。このシステムボタンは何を表示するかを選択することができる。「設定-個人用設定-スタート-スタート画面に表示するフォルダーを選ぶ」で、表示させたいフォルダをオンにすればいい。ドキュメントやダウンロード、ミュージック、ピクチャといったシステムフォルダを選択することもできる。

 ただし、これらのボタンはモノクロだ。どうせならカラーのボタンを選択できるようになっていればよかったと想う。

 なお、その右側には「よく使うプログラム」と「すべてのプログラム」が合体されて一覧表示されている。これまではすべてのプログラムにアクセスするためには、もう1アクションが必要だったが、それがいらなくなって、よりスピーディに目指すプログラムを探し出すことができる。

新しいスタートメニュー。左端に縦に並ぶシステムフォルダボタンが新しい。よく使うアプリとすべてのプログラムが統合されていることが分かる

タブレットモードがより没頭型に

 タブレットモードにも手が入った。タブレットモードに切り替わると、基本的にフルスクリーンでの利用になり、スタートメニューが全画面で表示される。このスタートメニューはピン留めしたタイルと全てのアプリをボタンでトグル切り替えするUIだ。

 タスクバーは自動的に隠すモードがサポートされ、より没入感を高めることができるようになった。また、タブレットモードのタスクバーではピン留めしたタスクバーボタンを表示できるようにもなっている。これらについては「設定-システム-タブレットモード」で決めておくことができる。タブレットモードではデスクトップモードの便利なところがスポイルされていて、あまり積極的に使おうとは思わなかったが、これならちょっとは使ってみようという気になる。

タスクバー設定ページ
タブレットモード時のタスクバーについてはこちらで設定

時刻表示が定番位置を譲り渡す

 せっかく慣れてきたWindows 10の外観だが、ちょっと違和感を感じるかもしれないのが、アクションセンターボタンがタスクバーの右端に移動されたことだ。つまり時刻表示の右側だ。そこにアクションセンター内の未読通知について、その数がバッジとして表示されるようになっている。

 アクションセンターにはクイックアクションボタンが並んでいて、それぞれのボタンを押すことでさまざまなアクションを起こせるのは従来と同様だが、どのクイックアクションボタンを表示するかの選択や並び順はカスタマイズできるようにもなっている。

 また、クイックアクションの「Wi-Fi」ボタンは、これまでWi-Fiのオンオフを切り替えるためのものだったが、ボタンの機能が変わり、利用できるネットワークの一覧表示に遷移するように仕様が変わっている……と、説明されてはいるのだが、手元の環境ではあいかわらず、ON/OFFしかできない。

 さらにタスクバー右側の時計は、そのクリックで、カレンダーを表示し、直近の予定を表示するようになった。

 ちなみに、マルチディスプレイ環境では、それぞれのディスプレイのタスクバーに時刻表示がされるようになっている。

新しいページ「このPCへのプロジェクションを実行しています」では謎の設定ができるようだが、その振る舞いはまだ分からない
クイックアクションはそこに表示するボタンや並び順を自由に設定できるようになった。

バッジ表示で通知が変わる

 UWPアプリについては、それぞれのアプリがタスクバーボタンとして表示されているときに、新着メッセージなどの数がバッジ表示されるようになった。メールなら新着メールの数、アラームなら有効なアラームの数などがその場でわかる。なお、タスクバーのカスタマイズは、設定-システム-タスクバーに移動されている。

 タスクバーカスタマイズページの引っ越しのほか、設定アプリの中ではいろいろと整理が行なわれている。たとえば、Windows Updateの中にあったInsider Programについての設定は、ページとして独立している。

 このほか、ロック画面におけるメディアコントロールやUACダイアログのデザイン変更など、Anniversary Updateに向けて、新しさのイメージがどんどん追加されているようだ。

 UWP関連でも、直前のビルドでは、UWPどころか、設定画面などでも、日本語キーボードを繋いでいるにもかかわらず、USレイアウトになってしまう不具合があったが、それも解消されている。ただし、一部のアプリの中国語フォントについてはまだ改善されていないようだ。

 前回のBuildで話題になったMiracastの受信機能も、接続アプリを開いて待機状態にしなくてもWindowsがリクエストを受けた時点で自動的に開くことができるようになっている。これについては設定にページが新設されている。具体的には「常にオフ」、「常にオン」、「Windowsによる設定の管理を可能にする」という3つの選択肢が用意されているが、最後のWindowsによる設定の管理とはどういうことなのかはよくわからない。

 Network statusでスピードテストができるようになりそうだったりといった変更点があったり、このほか、Cortana関連、そして日本語IME関連にも大きな手が入っている。これらについては、次回以降でさらに詳細に紹介することにしたい。

(山田 祥平)