Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ
バグの洗い出しに協力しよう
(2016/5/11 06:00)
ゴールデンウィーク直前にリリースされたBuild 14332。前ビルドからわずか4日目でのリリースだ。いよいよ間近に迫っているAnniversary Updateのために、「Bug Bash」が始まり、Windows 10の新機能を気軽に試し、潜在する不具合などのあぶり出しに参加できる。
クエストを試してみよう
Feedbackアプリを開き、メニューからQuestsを選ぶと、クエストがいくつか表示される。「ドラゴンクエスト」の「クエスト」と意味は同じだと考えていい。いわば「お題」だが、与えられたシナリオをその通りに操作し、システムがクラッシュするか、うまく最後まで操作できるかなどを自分の環境で検証し、うまくできれば「Done」を押して、完了をレポートする。うまくいかなければ、何がうまくいかないのかをフィードバックする。
クエストには次の2種類がある。
・LIMITED TIME Quests
24時間で無効になるクエストで、完了すれば、次のクエストが表示される。
・ADVANCED Quests
システム設定を変更するような操作を伴い、状態を元に戻せるスキルが求められる拡張クエスト。
これらのクエストが、毎週定期的にいくつか提示され、まさに、Windows 10 Insider Previewを旅していけるわけだ。アドベンチャーゲームのようにOSの中を探検していけるという趣向だ。
日本語のクエストもいくつか提示されている。前回のビルドでは日本語IMEに多少の手が入ったため、
・IMEのプライベートモードを使ってみましょう
・IMEで日付や時刻を入力してみましょう
・改善されたIMEのクラウド候補機能をお使いください
といったクエストが見つかる。英語のクエストもたくさんあるのでとっつきにくさを感じるかもしれないが、せっかくInsider Previewを試しているのなら、日本語のものはちょっと試してみてもいいかもしれない。
レジストリをいじるクエストもある
見かけたクエストの中には、Insider Previewのインストール後の振る舞いをチューニングするものもあった。Insider Previewでビルドが上がるたびにWindows Updateからインストールを行なうわけだが、これは多少時間がかかったとしても、放置しておけば済む。だが、インストールが終わった時点で、ロックスクリーンが表示され、そこでユーザーがサインインしたところでインストールが引き続き行なわれ完了の作業が行なわれる。これにもけっこうな時間がかかる。何より、放置してPCの前に戻ってきたところでサインインするとインストールの続きが始まるというのがわずらわしい。
そこで、管理者モードでコマンドプロンプトを開き、
REG ADD "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon" /v ARSOUserConsent /t REG_DWORD /d 0x00000001 /f
という、2行に渡る長いコマンドラインだが、これをワンラインで実行する。見れば分かるように、レジストリーキーを新たに追加するコマンドラインだ。
これでアップデートインストールの完了後、サインイン操作をしなくても、画面をロックした状態でインストールが進行し、次のログオンですぐにデスクトップが表示されるという。残念ながらまだアップデートがないので結果が分からないのだが、次のアップデートに備えておまじないとして入力しておくことにしよう。
がんばれCortana
Cortanaについては少しずつ、進化の兆しが感じられる。ちょっと前までは箸にも棒にもひっかからないような印象だったが「育成中」の効果が現れ始めているようだ。とは言え、分からないことがあるとすぐにBingに丸投げする性癖は以前のままだ。
日本語版ではiOS用のCortanaもリリースされているが、Windowsデバイスとの連携が薄くほとんど意味がない。1つのデバイスでアラームをセットしたら、そのアラームが全デバイスで有効になって、1つで止めれば、全部で止まるくらいのことはやって欲しいものだ。
ただ、まだ英語のままだが設定項目がずいぶん増えている。とは言え、どれもまだエラーが起きて使いものにならない。例えば、Cortanaを使うためにマイクを使うように設定すると、「Cortanaさん」と呼びかけることで音声による対話ができるようになる。これはロックスクリーンのときにも有効で、学習させることで他人の声には反応しないようにしておける。これらもまだ試せない。手元の環境ではSurfaceですらまともに動いてくれない。
歌を唄わせたり、ジョークを言わせたりといったお遊び的な要素に特筆すべき点はないが、ようやく「明日の朝8時に起こして」と言えばアラームを8時にセットするくらいのことはできるようになっている。
手元の環境ではどうにも不安定で、今の時点ではSurfaceを含め、どの環境でもまともに期待通りの動きをしてくれるものがほとんどない。Microsoftは先日のBuildカンファレンスで、「プラットフォームとしての会話」というコンセプトを大々的にアピールしていたが、それを具体的なソリューションとして提示するのがCortanaだ。今回は、Office 365との接続などもサポートされ、「Cortanaノートブック」を通して、検索などができるようになっている。もう少し、将来の姿を予感させて欲しいとは思う。
ちなみに、これまでは人間が何かをしたいと思った時に、そのためのアプリの名前を思い出したり、ファイルをどこに保存したかを思い出してフォルダツリーを辿ったり、過去のメールにあった特定のキーワードをもとに予定をセットしたりといったことをしてきた。でも、Cortanaが介在し、これらを任せることができるようになれば、コンピュータが少しは人に優しくなれるというわけだ。
ちょうど、呪文を覚えなければ何もできなかったCUI(コマンドラインキャラクターUI)が、GUI(グラフィカルUI)の登場によって、目の前に見えるものをつついたり、ひっぱったりすることで操作ができるようになったのを経て、今度は、やりたいことを自然言語で伝えるだけで、思い通りのことができるようになるのが成長したCortanaの姿だと思う。
旅行に出かけるために、航空機はANAで、ホテルはBooking.comで、行った先のアクティビティはTripAdvisorでといったお気に入りのEコマースサイトが決まっていれば、それをCortanaが学習し、日常のTwitterやFacebookでいいねをした実績、前後の予定などと照らし合わせながら、最適なスケジュールを会話の中で決めていってくれるというところまでいくはずだ。さらには、その会話の中に、コマーシャルベースで新たなブッキングサービスが紹介されるといったことにも繋がっていく。
と、そこまでいくには、まだ数年かかるのではないか。いずれにしても、許可を与えて自分のデータを洗いざらいCortanaに見せて情報を収集させ、パーソナルビッグデータを蓄積してもらわないことには何も始まらない。
バーチャルWi-Fiの可能性
今回のビルドで気がついたが、話題のMiracast受信機能に興味深い機能が実装されているようだ。
MiracastはWi-Fi Directの機能を使い、個々のデバイスがインターネット接続に使っているWi-Fi接続とは別に、もう1つのダイレクトセッションを張ることでピア・ツー・ピアのストリーム受信を可能にする技術だ。
Windows 10の接続アプリを開くと自動的に「ローカルエリア接続★n」というネットワークデバイスが追加される。この★が一時的なものを意味するらしい。続く「n」は数値だ。そして、接続アプリを閉じるとネットワークデバイスは消滅する。その実体は、「Microsoft Wi-Fi Direct Virtual Adapter」デバイスで、Wi-Fiアダプタを仮想的に用意することで、有線LAN経由でもMiracastの受信ができるようになるというもののようだ。
待ち受け側に割り当てられたIPアドレスは、そのネットワークとは異なるネットワークになっていて通信は分離されるようだ。これによって、Wi-Fiが安定しない環境や、セキュリティ的に禁じられた環境などでも、Miracast相当の機能が使えるようになる可能性がある。
最終的な仕様がどうなるのか、果たして有線LANでMiracast相当の機能を可能にしたものをMiracastと呼んでいいのかどうかなど、議論はあると思うが、今後の展開が気になるところだ。