Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ

Creators Update見参

 Windows 10は、次の大きなマイルストーンがCreators Updateと呼ばれるものであることが明らかになった。2015年秋のNovember Update、2016年夏のAnniversary Updateに続く3度目の大規模アップデートとなる。ほぼ半年ごとの更新だ。Insider Previewも来年初頭のリリースに向けて、着々とアップデートが繰り返されている。

相次ぐ発表の中で発表された新Windows

 10月26日にニューヨークで開催されたプレスイベントで、新型Surfaceである一体型PCのSurface Studioと共に紹介されたCreators Update、当初は、その週にもアップデートがあるはずだった。その前日に、ビルド14955が降りてきたばかりだったが、

というツイートもあったので心待ちにしていた。だが、待てどくらせど新ビルドが降ってこない。さらには、Windows Insider ProgramのチーフであるDona Sarkar氏によって、Creators Updateは、これから数週間、数カ月をかけてロールアウトされる予定で、最初のステップは、新しい3D対応ペイントアプリPaint3Dの紹介からだということが明らかになった。

 結局、最新のビルド14959が配信されたのは、日本では11/4の午前2時過ぎだった。

 この新ビルド公開の数時間前には、前週と同じニューヨークで、Microsoftによるプレスイベントが開催され、Officeの最新アプリとして、Microsoft Teamsが新登場した。このタイミングに合わせたとしか思えない。

 とにかくCreators Updateの発表から始まり、Surface Studioの発表、そして、週が明けて、Microsoft Teamsの発表、また、重なるようにAdobeが自社イベントAdobe MAXを開催し、Creative Cloudの刷新が紹介されている。

 最新のビルド14959の配信開始の背景は、こうした状況だった。クリエイター御用達のAdobeのイベントにタイミングを合わせたのにも恣意的なものがあったにちがいない。

まずはPaint 3D Previewから

 最新のビルド14959に更新して最初に気がついたのは、これまで新しいビルドが出るたびに、リセットされていたレジストリがそのままだったことだ。手元の環境では、キーアサイン変更のレジストリを登録しており、新しいBuildに更新するたびに再登録が必要だったのだが、今回初めて更新後もそのままだった。これはちょっと嬉しい。

 ともあれ、目玉のPaint3Dだ。

 さて、さっそく試そうとストアを開いて、Paint 3Dを探そうとするのだが検索にひっかからない。だが、一時的に設定の「時刻と言語」-「地域と言語」-「国または地域」を「米国」に切り替えて、このリンクを開くと、ブラウザを介してストアが開き、無事にアプリを入手してインストールすることができた。インストールしてしまえば、国または地域を元の日本に戻しても大丈夫だ。

 Paint 3D Previewを開くと、紹介ビデオを開くタイルが用意されている。このビデオに全般的な機能が駆け足で紹介されている。見てみると、これはもう標準アプリとは思えないほどの楽しそうなアプリであることが分かる。あまりにも駆け足すぎるので繰り返し再生してみることをおすすめしたいくらいだ。

ストアでpaint3dを検索してもPaint 3Dは見つからない
設定アプリで国または地域を米国に切り替える
Paint 3DのURLをブラウザで開くと「アプリをゲット」ボタンがある
ストアが開いてPaint 3D Previewが見つかり、インストールができる

 新しくファイルを作成するには「New」のタイルをタップすればいい。多くの機能はすでに実装済みだが、コミュニティに登録しないと使えない機能がたくさんある。コミュニティへの参加は、現時点では、アカウントそのものが米国でないと使えないようだ。

 基本的な使い方としては、キャンバスの上にオブジェクトを置いていくというもので、2Dのオブジェクトの場合は3D化が可能だ。できあがったら好みの視点で3Dの出来映えを確かめるといった具合だ。いろいろ遊んでみると、アッというまに時間が経ってしまうくらいにおもしろい。

アプリを開くとビデオのタイルがあるので最初に見ておこう
盛りだくさんの内容があわただしく紹介されている
直感で操作できるようではあるがさすがに3Dで奥が深い
簡単に3Dアートが作れる

来年初頭に向けて進むビルド

 Creator Updateのリリースは、来年初頭とされている。そのスローガンは「3D for Everyone」だ。「地球上のすべての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というのが、現在のMicrosoftのビジョンだが、今回のCreators Updateがターゲットとしては、Windowsを使ってビジュアル的に創造的な作業をするアートクリエイターといったところなのだろうか。

 ただ、最新ビルド発表時のブログを読むと、次世代のコンピューティングにグーテンベルクの活版印刷的なインパクトを与えることを目指し、3Dのクリエイティビティや、HoloLensのミックスドリアリティ、また、eSports、ゲーム関連の機能拡張を実装するとある。

 人はみなそれぞれがクリエイターであるとし、「クリエイター」という表現を強調するものの、徹底したコンシューマ路線のアップデートであることが想像できる。

 ブログの表現を借りれば、Windowsは氷山のようなもので、見えている部分はほんの一部に過ぎない。実際、前週にリリースされたビルド14955から既にCreators Updateであったという。これから、また、どんどん水中に隠れている部分が明らかになっていくということだ。

 あまり気が付かないうちに、Insider Preview以外の環境でも、各種アプリが更新されている。ストアの更新履歴を見ると、どのアプリがどう変わっているかを確認できる。

 例えば、UWPアプリのお手本的存在として目を離せないメールとカレンダーだが、新たにマルチウィンドウに対応している。これまでは1つのウィンドウに完結していたが、ビルド14955からは、任意のメールや、新規作成を別ウィンドウとして表示できるようになった。これまではメールの返事を書く時に、元のメールはもちろん、別のメールを参照したりするのが大変だったが、マルチウィンドウに対応したことでそれが容易になっている。ウィンドウ間でドラッグ&ドロップなどがサポートされたわけではないが、これでもかなり使いやすくなった。

メールアプリはマルチウィンドウに対応している

 新SurfaceとしてのSurface Studioは、A4縦サイズの書類2ページ分を実物大で見開き表示できるだけの画面サイズを持っているが、そんな環境でも使いやすいUWPとはどういうものかということを探るサンプルアプリになっているといえる。

 また、Insider Previewに限定されるわけではないが、Skype Previewも刷新されている。ようやくまともにUWPを名乗れるようになったという印象だ。このことでわかるように、少なくともMicrosoftが提供するUWPアプリが着々とまともなものになりつつある。

 ちなみに、バージョン1607ではスタートボタンを右クリックした時のコンテキストメニューに表示される「コントロールパネル」は、現在のInsider Buildではなくなってしまっている。設定アプリの該当コマンドリンクを開いた時に呼び出されるだけとなっている。おそらくはCreators Updateでもなくなってしまうのだろう。

 まだまだコントロールパネルアプレットを使ってしかできないことが残っているので、これはちょっと困る。「ファイル名を指定して実行」で、controlと入力して実行すれば、コントロールパネルが開くので、必要なアプレット、あるいは、コントロールパネルそのものを、どこかのフォルダにショートカットとして置いておくといいだろう。ショートカットの作成は、各アプレットアイコン、または、アドレスバーのコントロールパネルアイコンのドラッグ&ドロップでできる。

コントロールパネルの呼び出しは、ファイル名を指定してcontrolコマンドを実行よく使うアプレットやコントロールパネルそのものを、どこかのフォルダにドラッグしていつでも使えるようにしておこう