Windows 10カウントダウン

迷いと試行錯誤のはざまで

~Windows 10の設定関連を見る

 Windows 10ではPC設定に大きな手が入るようだ。これまでのチャームは廃止され、スタートメニューからセッティングを呼び出す形になっている。今回は、Windows 10の設定関連について見ていくことにしよう。

PC設定のGUIがユニバーサルに

 セッティングのユーザー体験については、まだまだ試行錯誤が続いているように思われる。ちなみに、スタートメニューに項目としてあるのはセッティングのみで、コントロールパネルはない。コントロールパネルは、スタートメニューの右クリックやエクスプローラーから開くことになる。

 セッティングは、ウインドウ表示され、次の9つのカテゴリに分類されている。

・システム
・デバイス
・ネットワークとインターネット
・パーソナル設定
・アカウント
・時刻と言語
・簡単操作
・プライバシー
・保守と管理

 ウインドウをリサイズして縦長にすると、それに合わせてアイコンサイズなどカテゴリ表示の表示様式も変わる。カテゴリの中から任意の項目を開くと、そのサブカテゴリが一覧できるようになっている。この場合も、ウインドウサイズによってペインの数が変わり、容易にほかのカテゴリにアクセスできる。画面サイズやその方向などによって柔軟にレイアウトが変わる様子は、いわゆるユニバーサルWindowsアプリの将来が垣間見える。

 ここで、例えば「ネットワークとインターネット」を開くと、まだ、英語のままの部分も多く、試行錯誤が続いていることが分かる。そして、項目によっては、このセッティングウインドウでは完結せず、コントロールパネルの特定項目に遷移するものも少なくない。

スタートメニューの中にSettingsはあるが、コントロールパネルは見つからない
Settingsはウインドウとして開き、カテゴリごとにアイコン表示されるようになった
ウインドウのサイズを変えると、ウインドウ内の表示形式も変わる
さらにウインドウを大きくすると2ペインの表示になる
ネットワーク設定には英語のままの項目がたくさん残っている

ネットワーク接続の迷路

 Wi-Fi接続については現行同様に通知領域にアイコンが表示され、電波の強度が表示される。このアイコンをクリックすると、これまではデスクトップの右側にチャームが表示されて、ほかのアクセスポイントを一覧できたが、Technical Previewではセッティングの「ネットワークとインターネット」が開くようになっている。この一覧にあるアクセスポイントを右クリックしても何の反応もなく、一覧下部にある「Show available connections」をクリックすることで、従来と同様のチャーム風一覧が表示される。ここでは接続先を右クリックして、

・概算データ使用量の表示
・従量制課金接続として設定
・このネットワークを削除

という3つの項目で構成されたショートカットメニューを表示させ、それぞれの設定ができる。使い勝手としてはまとまり感がなく今ひとつだ。だからこそ、このUXはこれから大きく変わっていくにちがいない。

 また、ネットワーク全般については、たまたま評価に使っているLet'snote SX1がWiMAX内蔵機だったので、こちらについても試してみた。

 Windows 10で、WiMAXに接続するためには、WiMAX接続ユーティリティが必要なのは従来通りで、さらにその実行には .NET Frameworkのインストールが必要な点なども従来と同様だ。

 内蔵されているWiMAXモジュールは、Intel Centrino WiMAX 6250だが、Windows 10にとってはEthernetでも、Wi-Fiでもない、単なる「ローカルエリア接続」として認識されていて、未接続時は「ネットワークケーブルが接続されていません」と表示される。WiMAXの扱いとしては宙ぶらりん状態を否めず、今後も、大きな手は入らないものと思われるが、引き続き観察していきたい。

チャーム風の一覧はShow available connectionsから呼び出す。この一覧内では接続先を右クリックしてショートカットメニューを出せる
WiMAX接続ユーティリティは問題なく使えて、接続についても不具合はなさそうだ。ただし、ネットワーク的に何につながっているのかよく分からない
コントロールパネルでアダプタの一覧を確認すると、ローカルエリア接続として接続されていることが分かる

ジオフェンスをサポートか

 セッティングの各項目を見ていくと、プライバシーの「位置情報」において、ジオフェンスがサポートされることになっているのが分かる。

 だが、ここで分かるのはジオフェンスの監視状態だけで、ジオフェンスを監視していないことが表示されているにすぎない。ジオフェンスというのは、コンピュータの位置情報を監視し、あるエリアに入ったり、出たりしたことを検出し、それをトリガーにして、アプリにそれを知らせ、なんらかの処理を行なわせる仕組みだ。多くの場合は企業の社屋内と外部でプロファイル等を切り替え、できることを変更するなど、セキュリティのために使われている。ところが、コントロールパネルには、これまであった「位置情報」という項目がなく、ジオフェンスに関する設定をする方法がまだ用意されていない。

プライバシーの位置情報ではジオフェンスがサポートされそうなことが分かるが詳細は不明だ

エクスプローラーに新設されたクイックアクセス

 コントロールパネル内ではこれまでの「フォルダオプション」が「エクスプローラーのオプション」という名前に変わっている。できることは大きく違わないが、インサイダーからの要望が多かったそうで、最初に開く対象を、

・PC
・クイックアクセス

のどちらかから選べるようになっている。これまでのビルドでは有無を言わさずクイックアクセスが開いていた。クイックアクセスは、最近使ったファイルやよく使うフォルダをまとめて表示する仮想フォルダだ。これについては表示の有無や、履歴消去などが、ここで設定できるようになっている。

 クイックアクセスは、これまでの「お気に入り」に相当するもので、ファイルエクスプローラーの左ペインに表示されるのだが、「お気に入り」には任意のフォルダをドラッグすることでピン留めすることができていたが、クイックアクセスに任意のフォルダをピン留めするには、そのフォルダを右クリックしてショートカットメニュー経由でピン留めしなければならない。これはちょっと面倒だ。

 「お気に入り」と「クイックアクセス」の違いは、インテリジェントに項目が追加されていくかどうかだといえる。これまでも「最近表示した場所」という仮想フォルダが「お気に入り」の中にあったが、それが昇格したものだと考えればいいだろう。

エクスプローラーの左ペインには、クイックアクセスという項目が用意され、よく使用するフォルダやファイルを一覧できる
エクスプローラーのオプションでは、最初に開く場所が指定できる。また、最近使ったファイルやよく使うフォルダの表示をするかどうかといった設定もここから

イマーシブにもなりたい気分

 今回のビルドは、クラッシックデスクトップを使う限り、完成度は高く、実運用しても特に不自由は感じない。ストアアプリについてもウインドウ表示されることで、デスクトップアプリとの親和性も高く、共存がうまくいっているように感じられる。

 その反面、Windows 8.xに慣れきってしまっている立場としては、ちょっと寂しい感じもある。その典型は、イマーシブモードのInternet Explorerがなくなってしまっていることだ。これは意外に大きな喪失感がある。タスクバーも表示されず、上部のタブなども表示されず、コンテンツに専念できるイマーシブモードのIntenet Explorerは、特に、タッチ対応のタブレットで使うときには悪くない体験を提供してきたように思う。もっとも、Intenet Explorerをキオスクモードで使えば、これまでのイマーシブモードとほぼ同等になるのだが、そのためにはファンクションキーのF11を押すためにキーボードが必要になる。メニューからの遷移では階層が深すぎて不便だ。

 現時点では、新設されたタブレットモードもうまく機能しているとはいえない。Windows 10をタブレットで使うときの体験については、2月にリリースされるというWindows 10 for phones and tabletsでどうなるかに注目すべきだろう。

 Windowsにとってのタブレットはあくまでもスモールスクリーンのピュアタブレットであり、2-in-1 PCにおいては、少なくとも現時点では中途半端に感じるContinuumモードが洗練されたものになることを期待するしかないのかどうか。気になることは山積みだ。

(山田 祥平)