瀬文茶のヒートシンクグラフィック
Cooler Master「風神ワイド」
~140mmファンを搭載する大型トップフロー
(2013/1/30 00:00)
今回は、Cooler Masterのトップフロー型CPUクーラー「風神ワイド(型番: RR-G524-16PK-J1)」を紹介する。購入金額は5,980円だった。
日本オリジナル仕様の140mmファン搭載モデル
2012年9月に発売されたCooler Master 風神ワイドは、140mm角20mm厚の大口径ファンを搭載したトップフロー型CPUクーラーだ。この風神ワイドは日本向けのローカライズモデルで、海外では同型のヒートシンクに120mmファンを搭載した「GeminII S524」「GeminII SF524」が販売されている。
風神ワイドのヒートシンクは、銅製のベースユニットと5本の6mm径ヒートパイプ、62枚のアルミ製フィンから成る放熱部で構成されている。Cooler MasterがL字型形状のヒートシンクであると謳っている通り、ベースユニットの位置は放熱部の端に位置している。このベースユニットの位置から張り出している放熱部を、メモリスロットや電源回路の上空に被せることで、これら周辺コンポーネントへの送風を行なうというのが、L字レイアウトの狙いである。
風神ワイドのオリジナル要素である140mmファンは、PWM制御により回転数を600~1,600rpmの範囲で調整できる。140mm角形状のファンで、極低速から中速までの範囲をPWM制御でカバーするというだけでも珍しいファンであるが、フレームの厚みが20mmであるというのも珍しい。この140mm角20mm厚ファンの採用により、風神ワイドはファン搭載時の全高が98.4mmと、100mmを切る高さとなっている。
なお、風神ワイドはファンの固定にねじ止めを採用しているが、付属ファン固定用のねじの他に25mm厚ファンを固定するためのネジも同梱されている。このため、25mm厚のファンであれば、市販の120mm角ファンまたは140mm角ファンを風神ワイドに取り付けることも可能だ。
140mmファンを搭載する大型トップフローCPUクーラーである風神ワイドだが、L字レイアウトの採用もあり、マザーボード上の周辺コンポーネントに対する制約は比較的緩い。
今回、テストに用いたASUS製Intel Z77 Expressチップセット搭載マザーボード「MAXIMUS V GENE」との組み合わせでは、取り付け方向によっては最上段のPCI Expressスロットとの干渉が発生したが、取り付け方向を変更すればこの問題は回避できる。また、放熱ユニットの張り出している部分は、約47mmの高さが確保されているため、ヒートスプレッダを含めた高さが40mm前後のメモリモジュールであれば、ヒートシンクの向きを問わず取り付け可能だった。
冷却性能テスト結果
それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回は標準ファンのPWM制御を無効にしたフル回転時と、PWM制御を20%に設定した際の温度をそれぞれ測定した。
テスト結果を見ていくと、Core i7-2600Kの定格動作クロックである3.4GHz動作時は、20%制御時に72℃、フル回転時には62℃を記録し、CPU付属クーラーより13~22℃低い結果となっている。一方、オーバークロック動作時の温度については、4.4GHz動作時はフル回転時と20%制御時がそれぞれ74℃と90℃という結果を記録しているが、4.6GHz動作時はフル回転時に87℃を記録したのみで、20%制御時は94℃を超えたためテストを中止となっている。
動作音については、スペック上で騒音レベルの下限とされている20dBAという数値から受ける印象に反して、20%制御時(約650rpm)はたいへん静かに動作していたのが好印象だった。フル回転時は140mmファンであることもあって、かなり大きな風切り音が発生していたが、ストレステストのような負荷を掛けない環境であれば、かなりの静音動作が期待できそうだ。
美しい仕上げのートシンクが魅力的
Cooler Masterの風神シリーズとしては初となる、ヒートパイプへのメッキ処理が施された風神ワイドは、なかなか見栄えの良いヒートシンクに仕上がっている。冷却性能面については、62枚の放熱フィンを狭い間隔で並べていることもあってか、低速なファンとの組み合わせで温度が高めになる傾向が少々気になったが、致命的な欠点というほどのものではなさそうだ。
オーバークロック動作向けのCPUクーラーとは言えないが、定格動作や多少のオーバークロック動作程度であれば、風神ワイドが対応するCPUソケットにおいて冷却性能が不足するということはまず無いだろう。チップセットや電源回路などの周辺コンポーネントの冷却をCPUクーラーのエアフローに依存するような環境であれば、広範囲への送風が可能な140mmファン搭載トップフロー型CPUクーラーである風神ワイドの特性が生きてくる。トップフロー型CPUクーラーの特性がマッチする環境なのであれば、風神ワイドを選択肢に加えてみてはいかがだろうか。
Cooler Master「風神ワイド (RR-G524-16PK-J1)」製品スペック | |
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メーカー | Cooler Master |
フロータイプ | トップフロー型 |
ヒートパイプ | 6mm径×5本 |
放熱フィン | 62枚 |
サイズ(ヒートシンクのみ) | 144×140×78mm (幅×奥行き×高さ) |
重量 | 490g (ヒートシンクのみ) |
付属ファン | 140mm角20mm厚ファン ×1 電源:4ピン (PWM制御対応) 回転数:600~1,600rpm±10% 風量:29.84~85.36CFM ノイズ:20~35.08dB サイズ:140×140×20mm |
対応ソケット | Intel:LGA 775/1155/1156/1366 AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1/FM2 |