瀬文茶のヒートシンクグラフィック

DEEPCOOL「Lucifer V2」

〜4,000円以下とは思えない豪華な仕様のヒートシンク

 今回は、DEEPCOOLの大型サイドフローCPUクーラー「Lucifer V2」を紹介する。購入金額は3,780円だった。

ファンレスデザイン採用の大型ヒートシンク

 Lucifer V2は、DEEPCOOLのゲーマー向けブランド「GAMER STORM」に属する製品で、ファンレス動作向けに設計されたヒートシンクを特徴とする、静粛性重視のCPUクーラーである。冷却ファンの搭載も可能であり、標準で同梱されている140mm径ファンを利用すれば、300Wの発熱に対応可能とされている。

 ちなみに、製品名の「V2」が示す通り、DEEPCOOLで「Lucifer」の名を冠するCPUクーラーとしては2代目の製品となるのだが、初代からの仕様変更は、ファンの静粛性が向上した程度のマイナーチェンジに留まる。

 ヒートシンクの設計については、放熱フィンの枚数を抑えて(=フィンピッチを広くとって)風が抜けやすくしつつ、放熱フィン1枚当たりの面積を増やして放熱面積を稼ぐという、典型的な静粛性志向のデザインを採用。銅製のベースプレートを備えるベースユニット、6本の6mm径ヒートパイプ、36枚のアルミニウムフィンを備えた放熱ユニットで構成されている。ヒートシンクは全面に、鈍い金属光沢を放つ銀色のニッケルめっきが施されており、4,000円以下という価格を感じさせない高品位な外観を実現した。

 標準で付属する140mm径ファンは、DEEPCOOLブランドオリジナルのラバーフレームを採用したPWM制御対応品。カバーする回転数域は300(±150)〜1,400rpm(±10%)で、初代Lucifer付属ファンの700(±200)〜1,400rpm(±10%)よりも低速での動作が可能となった。

 Lucifer V2では、ファンの固定に専用の金属製ファンクリップを利用する。このファンクリップは、同梱されている140mm径ファンのほか、120mm角ファンとねじ穴位置の互換性があり、リブ無しタイプのフレームを備えた120mm角ファンまたは140mm径ファンの取り付けが可能。標準で2組4本のファンクリップが同梱されており、デュアルファンでの運用に対応する。

Lucifer V2本体
リテンションキット
ヒートシンク本体。フィンピッチを広くとったサイドフロー型レイアウトを採用している。
同梱の140mm径ファン。ゴム状の素材を用いたラバーフレームを採用している
ファン固定用のクリップ。Lucifer V2には、2基の冷却ファンを搭載可能
冷却ファン取り付け時。ファンクリップはリブ無しファンにのみ対応する
同梱のグリスと、GAMER STORMブランドのエンブレムシール
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 CPUソケット周辺パーツとの干渉具合については、今回テストに用いたASUS MAXIMUS V GENEでは、拡張スロット、メモリスロットともヒートシンク本体は干渉しなかった。ただし、メモリスロット上空に冷却ファン、拡張スロットにはファンクリップがそれぞれ被っている。冷却ファンをメモリスロット側に搭載する場合、メモリモジュールの高さと拡張カードのサイズに注意が必要だ。

 ヒートシンクをマザーボードに固定するリテンションキットには、Intel/AMD共用バックプレートを用いるブリッジ式を採用。リテンションキットの質は良く、ヒートシンク側もネジ止め箇所の上空に放熱フィンが被らないよう設計されているため、長めのプラスドライバーがあれば簡単に取り付けられる。なお、LGA2011/LGA2011-v3への固定に用いるスタッドナットは、ソケットの金具に差し込む部分のねじ長が約3.5mmであり、Intelのガイドラインに沿って設計されたLGA2011-v3マザーボードにも搭載できる。

冷却性能テスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定。それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

【グラフ】テスト結果

 CPU温度を確認してみると、3.4GHz動作時にLucifer V2は54〜69℃を記録している。ファン回転数が極めて低い20%制御時の温度は69℃と高めだが、それでもCPU付属クーラーより16℃低い。CPU付属クーラーからアップグレード用としての意義は十分に果たしていると言える。

 発熱が大きくなるオーバークロック動作時は、4.4GHz時71〜77℃、4.6GHz時82〜90℃を記録。なお、20%制御時については、どちらのクロックでもCPU温度が94℃を超えたためテストを中止した。ファンの回転数が著しく低い20%制御時にCPUを冷やしきれないことは予想できたことだが、50%制御時と100%制御時の性能については、ヒートシンクのスペックや外観からすると、やや物足りないもののように感じられる。

 動作音については、ファンの最低回転数付近での動作となった20%制御時(約330rpm)はほとんど聞き取れず、50%制御時(約750rpm)も大変静かに動作していた。100%制御時(約1,370rpm)になると、ファンそのものが発する風切り音が大きくなってくるが、ヒートシンクと共振してビビリ音が発生するようなことは無く、静粛性に優れているという印象を受けた。

価格以上の見た目と使い勝手が魅力のCPUクーラー

 Lucifer V2のスペックやルックス、リテンションキットの扱いやすさは、とても3,780円のCPUクーラーとは思えないほどハイレベルなものだ。冷却性能については、やや物足りないという印象を受けたが、それはほかの要素が価格以上の出来であるからこそ感じた物足りなさであり、価格なりの性能は持っている。

 何を基準にCPUクーラーを選択するのかは人それぞれだが、大幅にオーバークロックしたCPUを常用するためでなければ、Lucifer V2の冷却性能は十分なものだ。極低速回転をサポートしている付属ファンは、静粛性を求めるユーザーの期待に応えられるし、安っぽさの無い仕上がりのヒートシンクは、ケースの側面にアクリル製の窓を備えたケースと組み合わせても鑑賞に耐えられる。

 コストを抑えつつ、CPU付属クーラーからのステップアップを図りたいユーザーにとって、Lucifer V2は好適なCPUクーラーであると言えるだろう。

DEEPCOOL「LUCIFER V2」製品スペック
メーカー DEEPCOOL
フロータイプ サイドフロー
ヒートパイプ 6mm径×6本
放熱フィン 36枚
サイズ(ファン搭載時) 140×136×168mm (幅×奥行き×高さ)
重量(ファン搭載時) 1,079g
付属ファン 140mm径ファン×1
電源:4ピン(PWM制御対応)
回転数:300(±150)〜1,400rpm(±10%)
風量:最大81.33CFM
ノイズ:12.6〜31.1dBA
サイズ:140×140×26mm
対応ソケット Intel:LGA 775/115x/1366/2011/2011-v3
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2

(瀬文茶)