瀬文茶のヒートシンクグラフィック

CRYORIG「R1 Universal」

〜高い完成度とハイエンドメモリとの互換性が魅力のハイエンド製品

 R1 Ultimateで鮮烈なデビューを飾ったCRYORIGより、製品サンプルの提供があったため、同ブランドのCPUクーラー第2弾「R1 Universal」を紹介する。筆者が購入した際の価格は13,650円だった。

メモリとの互換性を向上させた「R1」

 R1 Universalは、CRYORIGブランド初のCPUクーラー「R1 Ultimate」の設計をベースに、メモリとの互換性を向上させた製品だ。対応TDPは250W+から240W+へと引き下げられている。

 R1 Universalのヒートシンクは、2ブロックの放熱ユニットを備え、その中心に冷却ファンを配するミッドシップレイアウトのサイドフロー型。放熱ユニットには、放熱フィンの枚数が異なるフィンブロックでヒートパイプを挟み込むCRYORIG独自の「Jet Fin Acceleration System」を採用。純銅(C1100)製のベースプレートを採用した受熱ユニットから、放熱ユニットへの熱輸送は、7本の6mm径ヒートパイプが担う。

 放熱フィンの枚数やヒートパイプの本数など、スペック的にはR1 Ultimateとほぼ同等と言えるR1 Universalのヒートシンクだが、メモリとの互換性を高めるため、メモリスロット側に位置する放熱ユニットの位置を、R1 Ultimateより4.5mmベースユニット側へオフセットした。このレイアウト変更に加え、メモリスロット側に搭載する冷却ファンを、25.4mm厚のXF140から、13mm厚のXT140に変更することで、大型ヒートシンクを搭載したメモリとの互換性を向上させている。

 R1 Universalは標準状態で2基の140mmファンを搭載しており、メモリスロット側に13mm厚の薄型140mm径ファンXT140、ヒートシンク中心部には、25.4mm厚の140mm径ファンXF140を備える。どちらのファンもPWM制御に対応しており、700〜1,300rpmの範囲で回転数を調整可能。ファンのヒートシンクへの取り付けは、樹脂製のブラケットを介し、金属製のクリップで取り付ける。R1 Universalには、XT140とXF140用のファンクリップが各1セットずつ標準ファン用とは別に用意されており、いずれかのファンを別途購入することで、トリプルファンでの運用も可能だ。

R1 Universal
リテンションキットと追加ファン用金具
R1 Universal本体正面
R1 Universal本体側面。メモリスロットとの干渉を回避するため、放熱ユニットを大きくオフセットしている
2対のフィンブロックでヒートパイプを挟み込む「Jet Fin Acceleration System」。銀色のフィンは42枚(フィンピッチ2.4mm)、黒色のフィンは53枚(フィンピッチ1.8mm)
標準ファン。左が25.4mm厚140mm径ファン「XF140」で、右が13mm厚140mm径ファン「XT140」
ファン固定ブラケット。CRYORIGによると、単なるファンブラケットでは無く、ファンの風を整流する役割も担っているとのこと
メモリとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 メモリとの干渉ゼロを謳うだけあって、テストに用いたASUS MAXIMUS V GENEとの組み合わせでは、メモリスロットとの干渉は発生しなかった。ヒートシンクのオフセットと、13mm厚という薄型ファンXT140の採用が功を奏した結果であり、R1 Ultimateの搭載ファンをXT140に交換しても、R1 Universalのようにメモリスロットとの干渉を完全に回避することは出来ない。

 拡張スロットとの干渉についても、R1 Ultimate同様、ギリギリながら回避している。140mm径ファン向けに最適化されたミッドシップレイアウト採用の大型サイドフローCPUクーラーとしては、マザーボード上に配置するパーツとの干渉を上手く回避している製品と言えるだろう。ただし、全高が168.3mmとかなり背の高いヒートシンクなので、ケースとの互換性には注意を要する。

冷却性能のテスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

 なお、グラフ中の回転数については、「XT140/XF140」(メモリスロット側/ヒートシンク中央)の順で記載している。

 冷却性能テストの結果を見てみると、3.4GHz動作時のCPU温度は51〜54℃となっており、CPU付属クーラーより31〜34℃低い、良好な結果となっている。R1 Universalのパフォーマンスは、CPUの発熱が増すオーバークロック動作時も良好で、4.4GHz動作時は65〜71℃、4.6GHz動作時も75〜82℃となった。同じ条件で測定したR1 Ultimateの結果と比べると僅かに劣るが、空冷CPUクーラーとしてはかなり優秀な結果である。

 動作音については、PWM制御20%設定時は静音と言って差し支えない程度の動作音に留まるが、50%設定時になると風切り音が気になるようになり、フル回転時ははっきりと煩い。回転数の割には静かに動作している印象はあるが、静かに動作させるなら、ファンの回転数は1,000rpm以下に抑えたい。

高い完成度と、ハイエンドメモリとの互換性が魅力のハイエンドCPUクーラー

 R1 Ultimateをベースに、メモリとの互換性を向上させたR1 Universalは、R1 Ultimateの高い完成度を維持しながら、使い勝手をさらに高めることに成功している。対応TDP値が250W+から240W+に引き下げられたものの、冷却性能の低下は深刻なレベルではない。CPUソケットとメモリスロットの位置が近い、IntelのLGA115x系プラットフォームや、AMDプラットフォームでは、R1 Ultimate以上に魅力的な製品となり得る。

 ここ最近、1万円を超える超ハイエンドCPUクーラーは珍しくなくなってきたが、CPUクーラーとしての完成度でR1シリーズを超える製品は思い浮かばない。ヒートシンクだけのクオリティなら、R1シリーズと並ぶ製品は存在するが、非常に優秀かつ相性の良いリテンションキットを持つR1シリーズが、一歩リードしている印象だ。加えて、R1 Universalには、メモリを妥協せず選べるというメリットもある。価格は高いが、それに見合う価値は十分にある製品だ。

CRYORIG「R1 Universal」製品スペック
メーカー CRYORIG
フロータイプ サイドフロー
ヒートパイプ 6mm径7本
放熱フィン 190枚 [(42枚+53枚)×2ブロック]
サイズ 140×128.5×168.3mm (幅×奥行き×高さ)
重量 1181g
付属ファン 140mm径ファン XT140
電源:4ピン
回転数:700〜1,300rpm±10%
風量:65CFM
ノイズ:21〜24dBA
サイズ:140×140×13mm
140mm径ファン XF140
電源:4ピン
回転数:700〜1,300rpm±10%
風量:76CFM
ノイズ:19〜23dBA
サイズ:140×140×25.4mm
対応ソケット Intel:LGA 1150/1155/1156/2011/1366/775
AMD:Socket AM2/AM3/FM1

(瀬文茶)