瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Thermalright「Venomous X RT Rev.SB-E」

〜ヒットモデルの流れを汲む正統派ハイエンドサイドフロー

 今回は120mmファンを搭載するサイドフロー型CPUクーラーThermalright「Venomous X RT Rev.SB-E」を紹介する。購入金額は6,400円だった。

Ultra-120 eXtremeシリーズの流れを汲むVenomous X シリーズ

 2012年に発売されたThermalright「Venomous X RT Rev.SB-E」は、IntelのCore 2時代に人気を博した「Ultra-120 eXtreme」シリーズの流れを汲む製品として、2010年に発売された「Venomous X」の派生モデルの1つだ。製品名に付与された「SB-E」からも想像できるように、付属のリテンションキットがLGA2011(Sandy Bridge-E)に対応している。

 Venomous X RT Rev.SB-Eのヒートシンクは、6本の6mm径ヒートパイプと、ベースプレートに純銅板(C1100)を採用するベースユニット、0.5mm厚のアルミニウム製放熱フィン46枚から成る放熱ユニットによって構成されている。ベースユニットとヒートパイプの接続部にはろう付けが施され、ヒートシンク表面はニッケルめっき処理によって仕上げられている。めっきのクオリティ自体はまずまずと言ったところだが、下位ブランドのTRUE Spiritシリーズのような安っぽさは軽減されている印象を受ける。

 ベースユニットや放熱フィン同士の接続部については、従来のVenomous Xシリーズと比べて廉価な仕様に変更されているものの、他のブランドであればフラッグシップ製品として十分通用するレベルのヒートシンクである。

 Venomous X RT Rev.SB-Eには、標準でThermalrightブランドの120mm角25mm厚ファン「TY-120」が同梱されている。PWM制御に対応するこの120mmファンは、700〜1,500rpmの範囲で回転数を調整できる。ヒートシンクへの取り付けには、専用の樹脂製ブラケットを用いる。このファン固定用ブラケットは、120mm角25mm厚ファンであれば市販のケースファンも取り付けられる。

 ヒートシンクが120mmファンに最適化されたオーソドックスなサイドフローレイアウトを採用しているため、最近の140mmファン向け超大型ヒートシンクに比べれば、周辺パーツとの干渉などの物理的な制約は少ない。

 とはいえ、極端に薄型の放熱ユニットを採用しているわけでもなければ、以前紹介したサイズ「阿修羅」のようにベース位置をオフセットしたデザインを採用しているわけでもないため、CPUソケットとメモリスロットの位置が近いASUS「MAXIMUS V GENE」では、もっともCPUソケットに近いメモリスロットの上空にファン固定用ブラケットが被ってしまった。

 また、MAXIMUS V GENEとの組み合わせでは、PCI Expressスロットとのクリアランスもかなり少なかったが、こちらは拡張カードの裏面に大きな実装部品がなければ問題ない程度だった。仮にファン固定用ブラケットと拡張カードが接触した場合でも、ブラケット自体は樹脂製なので、電気的な問題は起こらないだろう。

冷却性能テスト結果

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。

 なお、今回からファンのPWM制御設定に50%設定時のデータを追加した。超低速から高速までをカバーするようなワイドレンジPWMファンを採用した製品の場合、20%制御と100%制御ではいささか極端な制御であるという判断によるものだ。

 各設定時のCPU温度を確認してみると、3.4GHz動作時のCPU温度は59〜72℃を記録しており、CPU付属クーラーの85℃より13〜26℃低い結果となった。PWM制御20%設定時の温度が72℃と高いが、120mmファンのシングルファン構成で、回転数が約550rpmまで落ちていることを考えれば、まずまずの結果であると言えよう。

 オーバークロックにより発熱が増した、4.4GHz動作時のCPU温度は70〜88℃を記録した。この設定ではPWM制御20%設定でも、かろうじて温度データを取得することができたのだが、さらに電圧とクロックを高めた4.6GHz動作時は、CPU温度が94℃を超えたためテストを中止している。そのため、4.6GHz動作時に取得できたCPU温度は、100%設定時の80℃と50%設定時の86℃のみであった。

 動作音については、PWM制御100%設定時であっても風切り音は少なかったのだが、筆者が入手した2個体はいずれも「TY-120」の軸音が大きく、20%設定まで絞っても無音と感じられるほどの静音動作は実現できなかった。回転数全域において風切り音の少ない動作であっただけに、軸音の発生が惜しい。

Thermalrightブランドの中堅ヒートシンク

 シングルファン搭載のサイドフロー型CPUクーラーとしては、Venomous X RT Rev.SB-Eの冷却性能はなかなかの結果であると言えるが、本連載でも紹介した「Silver Arrow SB-E」や「Archon SB-E」と比較すると、付属ファンのクオリティや冷却性能、めっき処理の出来栄えなどで見劣りする感は否めない。上位製品との間に価格差なりの差が存在しているのは確かだ。

 冷却性能以外に目を向ければ、120mmファンに最適化されたオーソドックスなサイドフローレイアウトの採用による物理的制約の少なさなど、Thermalrightブランドの上級製品に対してもアドバンテージになり得る要素を備えている。ヒートシンク性能自体は決して悪くないので、購入の際には付属ファンの交換を前提としてみても良いだろう。

 120mmファン仕様の正統派サイドフローCPUクーラーを求めるのであれば、Venomous X RT Rev.SB-Eはぜひ検討してみてほしいヒートシンクの1つである。

Thermalright「Venomous X RT Rev.SB-E」製品スペック
メーカー Thermalright
フロータイプ サイドフロー型
ヒートパイプ 6mm径×6本
放熱フィン 46枚
サイズ(ヒートシンクのみ) 127×60×160mm(幅×奥行き×高さ)
重量 705g (ヒートシンクのみ)
付属ファン 120mm径25mm厚ファン「TY-120」×1
電源:4ピン (PWM制御対応)
回転数:700〜1,500rpm
風量:24.8〜53.3CFM
ノイズ:17.0〜28.5dB
サイズ:120×120×25mm
対応ソケット Intel:LGA 775/1155/1156/1366/2011
AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1

(瀬文茶)