西川和久の不定期コラム
ASUS「ZENBOOK Touch UX31A」
~13.3型フルHD IPS液晶でタッチ対応のUltrabook
(2013/2/18 00:00)
ASUSは1月24日、Ultrabook「ZENBOOK Prime UX31A」のWindows 8対応モデルを発表、同月26日から出荷を開始した。前モデルも記事にしており、その違いは気になるところ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
ZENBOOKのタッチ対応モデル
前モデルに当たる「ZENBOOK Prime UX31A」のレポートを改めて読むと、キーボードの品質など、それ以前のZENBOOKシリーズで指摘した部分が改善されていた。今回ご紹介する「ZENBOOK Touch UX31A」は、ネーミングからも分かるように、ほぼスペックをそのままにタッチに対応させ、Windows 8を快適に操作できるUltrabookに進化したモデルだ。
プロセッサやチップセット、SSDの容量、液晶パネルのサイズ/解像度、インターフェイスなどは全く同じ。嬉しい改善点としては、メモリが4GBから8GBになった。Windows 8は7よりメモリ効率が良くなったとは言え、せっかくのパワフルなCore i7プロセッサを搭載しているのだからもう少し欲しかったところだった。8GBあれば仮想PCを起動しても余裕がある。主な仕様は以下の通り。
ASUS「ZENBOOK Touch UX31A」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-3517U(2コア/4スレッド、 1.9GHz/Turbo Boost:3.0GHz、キャッシュ4MB、TDP 17W) |
メモリ | 8GB |
チップセット | Intel HM76 Express |
SSD | 256GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型IPS液晶ディスプレイ(光沢)、 1,920×1,080ドット、5点タッチ対応、 mini-VGA×1(変換アダプタ付属)、Micro HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0、 USB Ethernetアダプタ |
その他 | USB 3.0×2、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、 音声入出力、キーボードバックライト付き |
サイズ/重量 | 325.6×223×3~18.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.4kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約8.5時間(4セル) |
店頭予想価格 | 154,800円前後 |
プロセッサはCore i7-3517U。2コア4スレッドでクロックは1.9GHz。Turbo Boost時に3.0GHzまで上昇する。キャッシュは4MBでTDPは17Wだ。チップセットはIntel HM76 Express。メモリは先に書いたように、従来モデルから倍増され、8GBとなる。SSDは256GBと変わらず。OSは64bit版のWindows 8だ。
ディスプレイは、光沢タイプの13.3型IPS液晶パネルを搭載、解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。5点タッチに対応、非光沢から光沢になったのが前モデルとの違いとなる。オフィスワークなどでは映り込みが気になるため、非光沢から光沢への変更は個人的には残念な点だ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。外部出力は、mini-VGA×1(変換アダプタ付属)、Micro HDMI出力。2系統あるのは嬉しいものの、どちらも標準サイズではないので、運用面で少し面倒な部分ではある。
ネットワークは、有線LANはUSB接続のEthernetアダプタを利用。100BASE-TXまでの対応となる。一方無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0も搭載する。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、92万画素Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力など。キーボードは従来と同じくバックライト付きだ。
サイズは325.6×223×3~18.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.4kg。タッチに対応したため、非対応の前モデルと比較して、全体的に数mm単位で大きくなり、重量は約100gほど増えている。
バッテリは4セルタイプで最大8.5時間。店頭予想価格は、154,800円前後。メモリが増え、タッチ対応になることによって、2.5万円ほどアップした。
雰囲気は少し前に掲載したAMD搭載の「VivoBook U38N」に瓜二つ。しかしサイズが325.6×223×3~18.6mm(同)対325.6×227×5.5~18.6mm(同)と、厚みが約2.5mm薄くなっていることで、よりシャープな印象を受ける。アルミ板1枚から成形されるユニボディで、いかにもUltrabookと言った感じだ。ACアダプタはサイズ約60×60×30mm、重量は180gとコンパクトで持ち運びにも邪魔にならない。
左側面には、USB 3.0×1、音声入出力、SDカードスロット。右サイドは、電源入力、USB 3.0×1、mini-VGA×1、Micro HDMI出力×1を搭載。裏側にメモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無い。またUSB→Micro USBのケーブルが入っていた。これは以前無かったケーブルで、スマートフォンなどの充電用だろうか。
IPS式13.3型フルHDの液晶パネルは、視野角も広く、発色やコントラストも良好。また輝度を最小にしても十分に内容を確認できる。5点タッチも非常にスムーズだ。ただフチも含め光沢タイプなので、それなりに映り込みがある。
キーボードはアイソレーションタイプで4段階のバックライト付き。薄くするためキーストロークは浅めだが、たわむことなく、ガッチリした感じで個人的には好み。パームレストとタッチパッドは十分広く、快適に操作することが出来る。
振動やノイズ、発熱に関しては特に気にならず。サウンドは「Bang & Olufsen ICEpower」の認定を受けているだけあって、このクラスとしては良好だ。
全体的によくまとまっており、Windows 8を搭載したUltrabookとして非常に魅力的な製品に仕上がっている。あえて気になる点をあげれば、先に書いたように、薄さを優先した結果、ディスプレイ出力のコネクタがスタンダードなサイズになっていないこと、そして有線LANがGigabit Ethernet非対応なこと程度である。
Core i7でさすがのパフォーマンス
OSは64bit版Windows 8。メモリを8GB搭載していることもあり、動きに余裕がある。スタート画面とアプリ画面はフルHDということもあり、1画面内に収まっている。ディスクトップは、ごみ箱のみとシンプル。
SSDは「ADATA XM11 256GB-V3」が使われ、C:ドライブ約95.4GB、D:ドライブ約113.8GBの2パーティション。初期起動時C:ドライブの空きは68.1GB。これだけの容量があれば大容量のデータを扱わない限り、通常は十分だろう。室内での使用時はUSB 3.0があるので大容量のHDDを接続することも可能。
Wi-FiとBluetoothはIntel製、またデバイスマネージャにある「ASIX AX88772B USB 2.0 to Fast Ethernet Addapter」は、付属のUSB Ethernetアダプタだ。
プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、ASUS Calculator、ASUS Converter、世界の時計、Fresh Paint、Microsoft Solitaire Collection、Skype、Wordamentなど。このあたりはVivoBook U38Nと同じだ。
デスクトップアプリは、ASUS InstantOn、ASUS Live Update、ASUS Tutor、eManual、LifeFrame、Power4Gear Hybrid、Splendid Utility、USB Charger Plus、Kingsoft Office 2012に加え、Intel AT ServiceやIntel WiDiなど、Intel系のツールが入っている。この点がAMD系のASUS「U38N」との違いとなるだろうか。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.6。プロセッサ 7.1、メモリ 7.4、グラフィックス 5.6、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 8.1。PCMark 7は5131 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 44517、FPU 42199、MEM 42146、HDD 43639、GDI 15904、D2D 1894、OGL 5400。PCMarksとSSDのスコアがかなり高い。
参考までにASUS「U38N」は、ALU 29309、FPU 22147、MEM 18926、HDD 10275、GDI 5957、D2D 2042、OGL 12121。プロセッサとメモリはCore i7が圧倒的だが、グラフィックス系はAMD A10-4655M内蔵のRadeon HD 7620Gの方が優れている。この点がCore i7のバランスが悪いところとも言える。
BBenchはBattery Saving mode、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で28,974秒/8.0時間。仕様上約8.5時間なので、ほぼ近い結果となった。先に書いたように、液晶パネルの輝度を最小にしても十分運用可能な明るさなので、これだけ動けば(頻度にもよるが)ほぼ1日外で操作しても大丈夫だと思われる。
以上にようにASUS「ZENBOOK Touch UX31A」は、Core i7、そしてタッチ対応IPS式13.3型フルHDパネルを搭載したUltrabookだ。旧モデルと比較して若干価格はアップしているものの、その分、タッチに加えメモリは倍の8GB。安易に増設できない分、この差は大きい。
ディスプレイ系の出力が標準サイズでないのは気になるが、ルックスはもちろん、非常にパワフル。性能的とデザインバランスが取れており、魅力的なUltrabookを探しているユーザーにお勧めの1台と言えよう。