■西川和久の不定期コラム■
6月1日、日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は、23型フルHD、25型フルHD、20型1,600×900ドットという、コンシューマ向けの液晶ディスプレイ3機種を発表した。今回はその中から23型フルHD「x2301」の試用レポートをお届けする。
●最薄部1cmを切る液晶ディスプレイ今回発表された3機種はそれぞれ特徴があるが、この「x2301」の最大の特徴は何と言っても「最薄部1cmを切る」ことだ。ただし以前掲載した「Elite 21.5インチワイドUltra SlimモニターL2201x」 はディスプレイ全体の厚みが10mmだったが、このx2301は「最薄部」の話であり、写真や表記からも分かるように、もっと厚みのある部分もある。主な仕様は以下の通り。
推奨最大解像度 | 1,920×1,080ドット(フルHD) |
スクリーンサイズ | 23型ワイド |
色度域 | NTSC比72% |
視野角 | 上下160度/左右170度 |
輝度 | 250cd/平方m |
コントラスト比 | 1,000:1(最大8百万:1) |
応答速度 | 3ms |
入力信号/端子 | ミニD-Sub15ピン×1、DVI-D(HDCP対応)×1、HDMI入力×1 |
最大消費電力 | 30w(LEDバックライト採用) |
サイズ/重量 | 522×139×400mm(幅×奥行き×高さ)/3.5kg |
店頭予想価格 | 35,910円前後 |
スクリーンサイズは23型ワイド、解像度は1,920×1,080ドットのフルHDだ。バックライトはLEDを採用。色度域はNTSC比72%をカバーし、視野角は上下160度/左右170度、輝度は250cd/平方mとなる。パネルはグレア(光沢)タイプだが、同社の「BrightView Technology」によって、映り込みは低減されている。確かに、光沢感はあるものの、鏡のように映り込む一般的な光沢パネルほどは気にならないレベルだ。
コントラスト比は1,000:1。OSDの設定でDCRをONにすると、ダイナミックコントラスト比が800万:1となる。入力は、ミニD-Sub15ピン×1、DVI-D(HDCP対応)×1、HDMI入力×1の3系統。これだけあれば十分だろう。ただしスピーカーを搭載していないのが惜しいところだ。
特徴的なのはそのデザイン。パネルの部分の厚みが10mmを切るスーパースリム、そしてアルミニウムによるアクセントで高級感もある。横からの写真を見れば分かると思うが、薄さは驚異的だ。
パネル部分にはコネクタや操作ボタンなどは一切無く、台座の部分に配置されている。この配置は意外と使いやすく、ボタンを押すとパネルがふらつくことが解消され、ケーブルの取り回しが手間といったことも軽減される。
同社によるとこの台座は「美しいカリブの青い海を思い起こさせるアクアマリン・ブルーをアクセントに採用」しているこのこと。確かに電源ONにすると浮き上がるアクアマリン・ブルーが綺麗で、ガラステーブルに置くと似合いそうだ。
パネルのチルト調整は-5度から+20度。パネル自体が軽いため、簡単に調整可能。ただし高さ調整や回転、VESAマウンタには対応していない。
店頭予想価格は35,910円前後。スペックとルックス、そしてこの質感であればなかなかお買い得の価格と言えよう。
届いた時の第一印象は、パッケージから取り出すとき「壊れないかな?」と思うほど、パネルが薄いことだ。もちろん取り出す程度で壊れることはないのだが、かなりインパクトのある薄さだった。
-5から+20度に設定できるチルトは、軽々調整でき、しっかり止まる。ただ全体的に軽いので、イマイチ安定感(ズッシリ感)が無いものの、実用上は問題無いだろう。
付属品は、ACアダプタと電源ケーブルに加え、HDMI、DVI-D、ミニD-Sub15ピンケーブルが全て入っているため、別途購入する必要はない。またWeb上の仕様では、ソフトウェア・ドキュメントCD(マニュアル一式、ディスプレイドライバ、Adobe Reader)も含まれている。今回届いたパッケージには入ってなかっただが、おそらくPDF化されたマニュアル、プロファイルなどが入っていると思われる。
映り自体は先もに書いた通り、グレア(光沢)タイプとしては映り込みが少なく好印象だ。正面から見る限り発色も良く、コントラストも高い。特筆すべき点は無いものの、癖のない素直な映りだ。視野角に関してはトップの製品写真や約45度からの映りを見れば分かるように、角度を付けると徐々にコントラストは浅く、色は黄色っぽくなって行く。従って、プレゼンなど複数人が観るディスプレイとしては向かないが、主に正面で使う1人用としては問題ない。
OSDはMain Menuは「Brightness」、「Contrast」、「Color」、「Image Control」、「OSD Control」、「Management」、「Language」、「Information」、「Factory Reset」、「Source Control」の項目がある。もちろん「Language」で「日本語」の設定も可能だが、明朝体で線が細く、あまり見栄えが良くない。
「Color」は「Warm(5000K)」、「Standard(6500K)」、「Cool(9300K)」、「Custom」、「Quick View」。Quick Viewは「Movie」、「Photo」、「Gaming」、「Text」に最適化されたプリセットが設定されている。CustomはRGBそれぞれ個別に調整可能だ。また台座の[-]ボタンと[+]ボタンは、Quick ViewとSource Controlに割当てられ、Main Menuを経由せず即座に呼び出すことができる。
Managementは、「Power Saver」、「Power-On Recall」(再開時に電源ON)、「Mode Display」、「Monitor Status」、「DDC/CI Support」、「Bezel Power LED」、「Sleep Timer」の設定が可能だ。
その他はOSDとして一般的な項目なので特に説明の必要はないと思われるが、「Image Control」では「OD(Video OverDrive)」と「DCR(Dynamic Contrast Ratio)」のON/OFFができるが、先の「Quick View」で例えば「Movie」を設定しても、この部分の設定は影響されない。
Main Menu | Color | Image Control |
以上のように「x2301」は、23型ワイドでフルHD解像度、3系統の入力、そしてスリムなパネルにスタイリッシュなデザインなど、「ウケ」の良さそうな仕上がりの液晶ディスプレイだ。台座に集中しているボタンやコネクタなども意外と使いやすい。店頭予想価格が35,910円前後という価格帯も購入しやすい。省エネも含め、そろそろディスプレイを替え時かな、と考えているユーザーにとって候補となりえる1台と言えよう。