西川和久の不定期コラム

Celeron SU2300搭載でゴッキュッパ! ASUS「UL20A」



UL20A

 前回に引き続き、今回もASUSの超低電圧版/CULV(Consumer Ultra Low Voltage)CPUを搭載したノートPC「UL20A」をご紹介する。

 最大の特徴は何と言っても12.1型のLEDバックライト液晶パネル、そしてWindows 7 Home Premiumで、価格はネットブックもビックリの59,800円! いったいどうなっているのか非常に興味があるところだ。
●何処も削っていないCULV CPU搭載ノートPC

 前回、UL20Aの上位モデルとも言える、UL80AGの記事を書いたばかりなので、スペックはおおよそ頭の中に残っている。その状態で仕様をピックアップして行くと、驚くことに大部分が同じ構成なのだ。違いだけ並べると、CPUはCore 2 Duo SU9400からCeleron SU2300へ。このCPUは、キャッシュが2MB減り1MB、クロックも0.2GHzダウンして1.2GHzとなるものの、Intel VTにも対応し、デュアルコアのCPUだ。次に液晶パネルのサイズが14型から12.1型へ。解像度は同じ1,366×768ドット、そしてLEDバックライトと、単にサイズだけの差となる。

 これ以外で無くなったものは、光学ドライブ、Gigabit Ethernet、そしてHDMI出力だけ。逆に液晶パネルのサイズが小さくなった関係で、ボディは296×210×12.1~25.9mm(幅×奥行き×高さ)と小型化、重量も約1.56kgになっている。バッテリ駆動時間は最大約7.4時間だ。これだけの差なのに価格はグンと下がり59,800円。上位機種と比較してももちろんであるが、同クラスの競合他社と比較しても、コストダウンのため削ったと思われる部分は無い。これには正直ビックリ! 本文と重複する部分もあるが、仕様は以下の通りとなる。

UL20A
CPU:Celeron SU2300(1.2GHz/cache 1MB)
チップセット:Intel GS45 Express
メモリ:2GB/DDR2-2GB×1(2スロット/空き1)
HDD:320GB
OS:Windows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ:12.1型ワイドTFTカラー液晶LEDバックライト、1,366×768ドット、内蔵GMA 4500MHD、アナログRGB出力
ネットワーク:Ethernet(100BASE-TX/10BASE-T)、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth(V2.1+EDR)
その他:USB 2.0×3、Webカメラ、SDメモリーカード/メモリースティック対応カードリーダー、音声入出力
サイズ/重量:296×210×12.1~25.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.56kg
バッテリ/駆動時間:標準バッテリ/約7.4時間

 まず、14型の液晶パネルを搭載したUL80AGと比較して、二周りほどコンパクトになっているが、デザインや作りなどはそのままスケールダウンした形で全く変わらない。瓜ふたつだ。安価なモデルだからと言って仕上げが雑になっているなどと言う部分は無い。

 無くなった部分で筆者的に残念なのは、HDMI出力とGigabit Ethernet、この2点。どちらもコストダウンのためだと思われる。前者に関してはスペース的に頑張れば入りそうだ。拡張性と言う意味ではHDMI出力の有無は大きい。また以前「LOOX C」の記事でご迷惑をおかけした、「12型前後のCULVノートPCで、Gigabit Ethernet対応機種が少ない件」、数機種は対応しているものの、やはりこのUL20Aでは非対応だ。今時、EthernetかGigabit Ethernetかでコスト的にかなりの差が出るとは考え難く、NAS使用時などにぜひ欲しい。今後対応機種が増えることを望みたい。

ソリッドなアルミニウムボディだ。指紋も目立ち難い正面。側面にステレオスピーカー。中央にHDDアクセスLEDなどが並ぶ本体底面。大きなパネル1枚外すと、メモリやHDDにアクセスできる
左側面。ロックポート、USB 2.0×2、音声入出力キータッチも含めUL80AGのがそのままスケールダウンした感じだ。ただ面積が狭い分、たわみは少なくなっている。タッチパッドはパームレストと一体化している右側面。電源入力、Ethernet、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0×1、メモリカードリーダ
キーピッチは約18mmバッテリ、ACアダプタ。ACアダプタは小型で一緒に持ち歩くにも邪魔にならないサイズだ重量は実測1,518g。スペックより若干軽い

 このサイズと重量は、普段持ち歩くには軽過ぎず重過ぎずと言ったところ。厚みが比較的薄いのでカバンの中にもかさばらずに入る。また、パネル部分は約6mmとLEDバックライトの特徴が出ている。天板のアルミニウムは比較的指紋跡が目立たない。

 12.1型の液晶パネルは光沢タイプだ。明るさコントラストとも非常に良好で、コンテンツ再生には映える画面。ただし、デフォルトの色温度が高めなので、後述する「ASUS Splendid」を使い、色温度を6500K程度にした方が落ち着くだろう。文字系の処理が多い場合は、明るさを-3程度した方がまぶしくない。

 キーボードはアイソレーションタイプになっている。UL80AGより面積が小さいのでたわみも少ない。筆者の場合、手が小さいことも関係すると思うが、ノートPCで文字を入力するには、このサイズの方が扱いやすい。キー配置、キータッチなどもUL80AGをそのままスケールダウンした感じで、[BS][Enter]キーは大き目、さすがに[Space]キーは少し短いものの十分。[PageUp/PageDown]キーが[矢印]キー+[Fn]キーとのコンビネーションなのも同じだ。キートップにゴム系の何かがコーディングされているので、滑ったり冷たいと言う感覚も無い。

 タッチパッドは、パームレスト部と一体化し、細かい凹凸がある。パームレストでタッチバッドの間に段差があった方が扱い易いかどうかは、人それぞれだろう。ボディサイズが小さい分、面積的には狭くなっているものの、必要十分の大きさだ。ボタンに関しては、シーソータイプで、左右に分離せず、1本のバーを共有する形になっている。浅めでクリック感があるものの、若干硬い感じだ。

 ノイズと発熱に関しては、通常使用において、左側のスリットに耳を当ててもファンの音がほとんど聞こえず、タッチパッドの周囲がほんのり暖かくなる程度と良好だ。

 Altec Lansing Technologies製のステレオスピーカーが、正面に斜め下に向く形で付けられている。UL80AGと比較すると特筆するような音質ではなく、と言って酷い音質でもない。普通程度となっている。最大音量も、もう少し欲しいところ。

●ソフトウェアも上位機種とほぼ同じ構成

 このUL20AもOSは、Windows 7 Home Premium 64bit版だ。32bit版と比較して、速度やバッテリ駆動時間の差など、どちらが良いのかはデータが無いので分からないものの、メモリを4GB搭載した時は、明らかに64bit版の方が有利。HDDはUL80AGと同じ容量の320GBであるが、ドライブは異なり「HTS545032B9A300」となっている。パーティションはCドライブ約74GB、Dドライブ約208GB。Dドライブ側には何も入っていない。この辺りは同じ。

 構成で1つ違う部分は、タッチパッドのドライバだ。UL80AGでは「Elan Smart-Pad」が使われジャスチャー機能付きとなっていたが、このUL20Aには一般的な「Synaptics TouchPad」となっている。従って、Elan Smart-PadのUL80AGよりは、ボタンを操作する頻度は高くなる。

起動時のデスクトップ。UL80AGとデスクトップ上にあるショートカットが一部違うデバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはHTS545032B9A300が使われているHDDのパーテーション。Cドライブ約74GB、Dドライブ約208GB

 プリインストールされているアプリケーションやユーティリティは、ASUS Power4Gear Hybrid 、SRS Premium Sound 、ASUS AI Recovery 、ASUS FancyStart、ASUS Wireless Console 3、ASUS LifeFrame3、ASUS Live Update、ASUS Splendid、ASUS SmartLogon、CyberLink Power2Go、i-フィルター5.0 30日間対応版、Trend Micro ウイルスバスター 2010 60日期間限定版/OEM版など。上位機種のUL80AGと同じものが入っている。画面キャプチャは、前回のUL80AGとなるべく重複しないようにしているので、合わせてご覧頂きたい。

 中でも筆者的に興味を覚えたのは「ASUS Splendid」だ。このユーティリティは、画面のガンマや色温度を設定できる。内蔵GMA 4500MHDのプロパティでも似たような設定が出来るものの、こちらの方がより具体的に扱える。デフォルトでは色温度が7000K以上と高いので(青が強い)、できれば6500Kあたりに設定した方がより自然に見えるだろう。

ASUS Power4Gear HybridASUS SplendidASUS SmartLogon
ASUS LifeFrame3SRS Premium SoundSynaptics TouchPad

 Windows エクスペリエンス インデックスは3.3。プロセッサ3.9、メモリ4.7、グラフィックス3.5、ゲーム用グラフィックス3.3、プライマリハードディスク5.4。Core 2 Duo SU9400を搭載したUL80AGは、順に4.5、4.9、3.5、4.0、5.6と、チップセットやGPUが同じにも関わらず、CPUの違いだけで、全てのスコアに影響が出ているのが分かる。同様に、CrystalMarkも少しずつ値がマイナスになっている。ただ実際操作した感じは、あまり速度的な違いを感じなかった。用途にもよるだろうが、この程度の差しかないのなら、筆者の場合Celeron SU2300を搭載した安価なモデルを選ぶだろう。

 バッテリベンチマークのBBenchの結果は、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONで計測して、バッテリ残6%で休止状態。この間3.2時間。どうも先の条件で計測した場合、スペック上の約半分の時間となるようだ。バッテリ駆動3時間と言うのは、用途によって意見が別れるのではないだろうか。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合3.3。プロセッサ3.9、メモリ4.7、グラフィックス3.5、ゲーム用グラフィックス3.3、プライマリハードディスク5.4CrystalMark。UL80AGと比較して、CPUの違いだけで全体的に値が落ち込んでいるBBench。バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果。バッテリの残6%で11641秒(3.2時間)だった

 なお冒頭に書いたように、XP Modeに必要なIntel VTは、Celeron SU2300でも対応している。BIOSは、はじめから有効になっていた(ただし、VTの拡張仕様であるVT-d/Intel Virtualization for Directed I/Oは無効)。

 UL20Aは、12型液晶パネルを搭載したCULVノートPCとして、特に何か削られた部分も無く、しかもゴッキュッパと非常に購入しやすい価格になっている。サイズ/重量ともに、普段カバンへ入れ持ち歩くにも問題無く、OSはWindows 7。ネットブック以上の性能を持ちながら、ネットブック並みの驚くべきコストパフォーマンスを誇る。一台目のPCとして、そして持ち歩き用のノートPCとして、何にでも使える一台だ。