西川和久の不定期コラム

2013年を振り返る

〜タッチ対応が大幅に増えた1年

 2013年の終わりもいよいよカウントダウン。そこで、2013年に掲載した記事や筆者の体験談などから、この1年を振り返ってみたい。2012年までとは少し傾向が変わってきているのが分かる。

キーワードは「タッチ対応」

 2012年にも同じ内容の記事を書いたので、この原稿を書きはじめる前にざっと読んだところ明らかに2013年とは違う傾向だった。そのキーワードは「タッチ対応」。2012年はWindows 8関連でサラっと触れているものの、あまり重要視されていなかった。

 今年掲載した記事の内訳を見ると、デスクトップPC×9本、All-in-Oneでタッチ対応×4本、Ultrabook×3本、タッチ対応Ultrabook×8本、ノートPC×8本、タッチ対応ノートPC×5本、2-in-1も含むWindows 8.xタブレット×10本、Android搭載機×7本、iOS搭載機×1本となっていた。デスクトップPCを除くと、タッチ非対応は11本。iOSやAndroid搭載デバイスを含めタッチ対応は31本で、約3倍もの開きがある。中でも「2-in-1」は今年から頻繁に使い出したキーワードだ。

レノボ・ジャパン「Miix 2 8」

 少し前にも書いたが、最近、ノートPCでWebブラウザを開いていると、ついつい画面をタッチしてしまう癖が付いてしまった。理由は単純で、身の回りでタッチ非対応なのが、メインで使っているデスクトップ環境のみだからだ。ほかはスマートフォン、タブレット、2-in-1などなどタッチ対応デバイスの山となっている。さすがにデスクトップ用の外付け液晶ディスプレイをタッチすることは“まだ”ないものの、手に持てるデバイスに関してはタッチが当たり前になってしまったのだ。

 残念ながらレビューはしていないが、この12月はWindows 8.1とBay Trail-Tを搭載した8型タブレットが一斉に発売となった。価格は5万円前後で購入しやすく、多くはMicrosoft Officeを搭載、Bay Trail-TはClover Trailと比較して性能も向上しているので結構実用的で魅力的なデバイスとして仕上がっている。Windowsマシンでタッチを使うのはこれが初めてと言うユーザーも増えるのではないだろうか。

 WindowsストアアプリはまだまだiOSやAndroidに及ばないものの、FacebookやFlipboardなどメジャーどころが対応し始めている。デスクトップ環境に加え、これらのタッチを前提としたアプリが使えるようになるとWindows 8.1の魅力が加速する。2014年はさらなる大物アプリが増えることを期待したい。


 2012年に「PC(Windows 8)でもRetinaディスプレイになるのか注目したい。」と書いた件については、シャープの「Mebius Pad」や、富士通の「ARROWS Tab QH55/M」などが2,560×1,600ドット/300ppiに対応しているが、全体的には皆無に近いと言える状況が続いている。

 コストの問題もあるだろうが、実際にものを触ると何故そうならないのか理由も分かってくる。それは、Windowsであまりにppiを高くすると、Windowsストアアプリはジャギーもなく綺麗で良いのだが、デスクトップアプリはスケーリングを大(L)/150%にしても色々なパーツや文字が小さ過ぎて、逆に使いにくくなる場合もあるからだろう。これは過去の豊富な資産が足を引っ張っている形となる。Windowsストアアプリがデスクトップアプリを逆転するのはかなりの時間が必要で(いつまで経ってもならない可能性すらある)、iOSやAndroid搭載デバイスがRetinaディスプレイで先行するのは当面続きそうな感じだ。

シャープ「Mebius Pad」
富士通「ARROWS Tab QH55/M」
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 一方、デスクトップPCに関しては9本記事を書いている。内容はゲーミングPCなどハイエンドか、超小型かと二極化しているのが印象的だ。この間に位置する製品の多くは、ノートPCに置き換わっているのだと思われる。加えて2012年の後半から今年前半にかけて多数登場したUltrabookは、2013年後半でタッチに対応した上、変形するコンパーチブルや2-in-1に進化し、すでにUltrabookかどうかは重要でなくなって来た。

 液晶ディスプレイに関しては3本書いているが、2014年注目は、今月いきなり来た「デルの4K対応23.8型ディスプレイが10万円切りでAmazonに登場」を筆頭とする4K対応製品だろう。3,840×2,160ドットをWindowsでそのまま使うと広過ぎる感じもするが、スナップインで画面分割すれば、使い勝手も良さそうだ。当初からこの価格帯だとあるタイミングで一気に下がる可能性もある。

モバイルOSの行方

 もう1つのトピックとして、Android系の記事が増えたことが挙げられる。OS関連で2本、デバイス関連で7本。逆にiOS関連は減り、OS/デバイスともに1本のみ。これは世界的なシェアと同じようような傾向で、IDCが発表した2013年第3四半期のモバイル向けOSの世界シェアによると、Androidは81%、iOSは12.9%。日本国内では圧倒的に強いiOS搭載デバイスも、実はこのような状況にある。

 これと連動しているわけではないのだが、個人的な関心もiOS関連から離れてしまった。もともとはiPhone 3G/3GS/4/4S、iPad/iPad 2/iPad 3と、結構早いタイミングから熱心に使っていたのに、iPhone 5はスキップ、5sはアプリの検証用のみで購入、iPad miniやiPad AirはAppleストアで実機を確認したものの手つかず。日常でもほとんど使っていない。

 もちろんほかと比較した場合、クラウドまで含めたトータルな環境としては優秀だと思われるが、期待のiOS 7は、見た目こそ若返ったものの、画面にアイコンが並ぶだけで何も情報を発していないと言う根本的な部分は変わらず、64bit化されたとは言え、正直なところ飽きてしまった。

 逆にAndroidは4.2以降、随分と良くなった。マルチユーザー対応によって、リビングに1台タブレットを置き、家族みんなで使い分ける用途にもマッチする。また、デザインがバラバラで美しくはないもののウィジェットを置けばホーム画面だけでも情報を発信できる。これらはiOSにはないアドバンテージだ。

 SoCに関してもSnapdragon S4以降は性能もバッテリ駆動時間も実用的に使えるようになった。iOS 7に先を越されてしまった64bit化も2014年は対応しそうな雰囲気。新しいランタイムのARTにも期待は高まる。

 3番目のモバイルOSとしては、Windows Phone 8が挙げられる。ただこれに関しては国内は未上陸。主要3キャリアが全てiPhoneを扱い始めたので今後も難しい状況だろう。先のIDCの調査ではシェア3.6%とまだまだ少ない(とは言えiOSの約4分の1もあると考えれば多いかも知れない)。注目すべきは年間成長率156%という点で、軌道に乗ってきた雰囲気がある。アプリの数も今月20万本を突破した。

 MicrosoftがNokiaを買収したので(これは今年1番驚いたニュース)、2014年に同社がNokiaの「Lumia」を“Surface Phone”と改名し、GoogleのNexus 5のようにSIMロックフリー機で販売しないかと密かに期待しているのだが……。

 1年後、またこのような記事を書く時にどうなっているのか。いろいろな意味で今から楽しみにしている。

個人的なベストデバイス・オブ・ザ・イヤーは

 仕事柄、毎年数多くのデバイスを試用しているが、今年は例年にないちょっと変わった行動を取った。普段のパターンでは、個人的に欲しいものに関しては早いタイミングで購入し記事を書いている。しかし、あるものをレビューしたら俄然欲しくなってしまい、機材を返却後、すぐに購入したデバイスがあるのだ。

「Surface 2」と「Type Cover 2」

 それは「Surface 2」+「Type Cover 2」だ。もともと初代のSurface(RT)+Touch Cover/Type Coverを持っていたのでスキップするつもりだったが、レビューでSurface Pro 2とSurface 2を試用し、処理速度の大幅アップ、10.6型フルHDの快適さ、2段式になったキックスタンド、そして美しく光るバックライトが印象的なType Cover 2と、借りてる間にすっかり気に入ってしまったのだ。

 OSがWindows RTなので豊富なデスクトップアプリを使えないのが最大のウィークポイントとなるものの、Microsoft Officeが使え、(筆者が日頃使う)主なWindowsストアアプリはほとんど揃っているため、「ATOK」や「秀丸」などが動かないことさえ割り切ってしまえば、ライブタイルで情報発信、軽くてカッコよくて、スナップインで画面分割でき、しかも32GBの本体だけなら約45,000円。これほどコストパフォーマンスの高いデバイスはほかにない。実際ショップなどでも、Surface 2は初代Surfaceよりもはるかに人気があるようだ。

 用途は外出時の打ち合わせとノマド用。もともとノートPCは、撮影時のデータバックアップ用と、外出時の打ち合わせとノマド用で使っていたが、前者に関してはメディアの大容量化に伴い不要となり、後者だけならより軽装備のiPad+Bluetoothキーボードでも十分と思って一時期使っていた。

 しかしIMEを利用するのにタッチを併用する必要があり、ポインティングデバイスも使えない。画面に1つのアプリしか表示できず、何かを参照しながら作業することもできず不便だった。さらに仕事関連のドキュメントは100%、Microsoft Officeファイル。参照だけならまだいいが、iWorkなどで編集すると、途端にレイアウトが崩れるなど、結局、積極的には利用していなかった。

 そこで初代Surfaceを購入したが、処理速度や画面解像度などに満足できず、惜しいと思っていたところに、Surface 2は主要国とほぼ同時に国内販売開始。レビュー用で編集部から届き、以降は先に書いた通り。

 もちろん本音は“デスクトップアプリも使えればベスト”(笑)。2014年に出るであろう“Surface 3”は、Bay Trail-Tの次、Cherry Trail搭載機となると嬉しいのだが……(もしくはSurfaceとSurface Proの間に“Surface Std”のようなものを追加するのでもOK)。

 そういう意味では、8型のWindows 8.1搭載タブレットにも興味はあるのだが、Surface 2での使い方を考えると画面が小さく、またNexus 7(2013)と用途が被るので、今のところ購入には至っていない。


 このほか、今年購入した主なデバイスは、「iPhone 5s(16G)」、「Xperia A SO-04E」、「Nexus 7(2013)」など。ちょっと変わったところで「ThinkPad トラックポイント・キーボード」。

 メインで使っているMac miniはSandy Bridge版でHaswell版が出れば欲しいのだが未だ発表されず。結果的にIntelプロセッサを搭載したPCは1台も含まれていない。今となっては常用しているマウスは1つだけ。いかにタッチ対応デバイスが多いのかが、これからも分かる。

 筆者のような立場でもこういった状況だ。一般的にPC離れが起こっているのも頷ける。先に書いたWindows 8.1搭載8型タブレットやSurfaceを代表する2-in-1などが起爆剤となって、2014年はまた盛り上がって欲しいところだ。

iPhone 5s
Xperia A SO-04E
Nexus 7(2013)
ThinkPad トラックポイント・キーボード

 以上、2013年を振り返って掲載した記事を参考にしつつ思うままに書いてみた。数年前までは、仕事部屋にタッチ対応デバイスは数えるほどしかなかったのに、今やタッチ非対応のPCは2台あるだけで逆転してしまった。

 OS関連は一段落したが、2014年はさらにノートPCの2-in-1化が進むとともに、モバイルOSの64bit化とSoCのハイパワー化も進み、モバイルのハイエンドとPCのローエンドの性能があまり変わらなくなるはず。ディスプレイ4K対応も含め、面白くなりそうな1年だ。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/