西川和久の不定期コラム

デル「Latitude 10」

〜13時間もバッテリ駆動可能なWindows 8タブレット

 デルは1月18日、従来法人向けに販売していたWindows 8タブレット「Latitude 10」を個人向けにも発売開始した。10.1型でClover Trailを搭載し、約658gとパーソナル用途としても興味深いスペックだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。

10.1型で約658gのコンパクトなWindows 8タブレット

 プロセッサはAtom Z2760。2コア4スレッドで、クロックは状況に応じて変化し、最大1.8GHz。キャッシュは各コアに対して512KBとなる。Z型番なので、グラフィックスはもちろん、ビデオデコード/エンコードエンジン、カメラ撮影処理エンジン、暗号化エンジン、I/Oなどを装備したSoCタイプのプロセッサだ。

 メモリは仕様上最大2GBとなっている。また64bitには非対応となっており、搭載OSは32bit版のWindows 8となる。フラッシュストレージは64GBだ。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵「Intel Graphics Media Accelerator」。外部出力はMini HDMI出力を搭載。液晶パネルは光沢タイプの10.1型IPS式で、解像度は1,366×768ドット。5点マルチタッチ対応だ。オプションでスタイラスペンにも対応する。

 ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0+LE。有線LANに関しては、後述するドッキングステーション側にポートがある。

 そのほかのインターフェイスは、USB 2.0×1、Micro USB(充電用)、ドックコネクタ、前面200万画素/背面800万画素カメラ(LEDフラッシュ付き)、SDカードスロット、音声入出力。USBが3.0でなく、2.0なのはプロセッサ側の仕様で仕方ない部分だ。

 ACアダプタのコネクタ形状からも分かるように、通常はドックコネクタからの充電となるが、充電用のMicro USBも搭載しているため、市場でよく流通しているさまざまな充電器から充電可能となる。

デル「Latitude 10」の仕様
プロセッサ Atom Z2760(2コア/4スレッド、1.5GHz、
最大1.8GHz、キャッシュ512KB×2)
メモリ 2GB
フラッシュストレージ 64GB
OS Windows 8(32bit)
ディスプレイ IPS方式パネル10.1型液晶ディスプレイ(光沢)、
1,366×768ドット、5点タッチ対応
グラフィックス Intel Graphics Media Accelerator
(PowerVR SGX 545相当)
ネットワーク IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
インターフェイス USB 2.0×1、Micro USB(充電用)、
ドックコネクタ、前面200万画素/背面800万画素カメラ(LEDフラッシュ付き)、
SDカードスロット、音声入出力、Mini HDMI出力
ドック Gigabit Ethernet、USB 2.0×4、HDMI出力
サイズ/重量 274×176.6×10.5mm(幅×奥行き×高さ)/約658g
バッテリ 2セルバッテリ(30Wh)
直販価格 54,980円

 サイズは274×176.6×10.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約658g。9.7型のiPadと比較すると、画面のアスペクト比の違いから、幅は少し大きく、奥行きは若干短い。重量は659g vs 650g(Wi-Fiモデル)でほぼ同じだ。バッテリは着脱式で2セル(30Wh)と、オプションで倍の4セル(60Wh)も選択できる。バッテリ駆動時間は非公開であるが、後半のベンチマークテストで驚くべき結果となった。

 BTOはWindows 8のエディション、2セル(30Wh)か4セル(60Wh)のバッテリ、Microsoft Officeの有無などが選択可能だ。

 また下位モデルとして「Latitude 10 Essentials」も用意され、49,980円と若干安価なものの、その分、スタイラスペン/バッテリ交換が非対応となり、背面カメラのLEDフラッシュやMicro USB、Mini HDMI出力が非装備となる。

フロント。中央上に200万画素カメラ。IPSパネルで視野角は広く発色も良い
背面。中央上に800万画素カメラとLEDフラッシュ。下両サイドのメッシュはスピーカー
左側面。ボリューム
右側面。Mini HDMI出力、USB 2.0、音声入出力
上部。回転ロックボタン、電源スイッチ、SDカードスロット
底面。ドックコネクタ、充電用Micro USB
バッテリは取り外し可能で、容量は2セル(30Wh)
重量は実測で696g
iPadとの比較。液晶パネルのアスペクト比が違うため、幅は長いものの、奥行きは短い
ACアダプタは約86×24×36mm。コネクタはミッキータイプ
縦表示。Webなどはこちらの方が見やすいかもしれない

 まず第1印象は、10.1型パネル搭載ということもあり、一般的なWindows用タブレットより、かなり小さく薄く、そして軽く感じる。実際持ち上げた時の感触はiPadと大差無い。若干、液晶のフチが広いのが残念なところか。

 左サイドにボリューム、右サイドにMini HDMI出力、USB 2.0、音声入出力。上サイドに回転ロックボタン、電源スイッチ、SDカードスロット、下サイドにドックコネクタ、充電用Micro USBがある。ACアダプタのサイズは約8.6×2.4×3.6cm。

 IPS式液晶パネルのクオリティは抜群だ。最近では安価なiPadやAndroid機の方が高クオリティのパネルを搭載しているため、安価なWindowsタブレットはどうしても見劣りする部分だった。しかしLatitude 10は、発色はもちろん、視野角、コントラスト、明るさも十分対抗できる内容になっている。唯一残念なのは、いわゆる「Retina」相当の解像度では無いこと。この点は、本機に限らずWindowsマシン全体の今後の課題と言えるだろう。

 タブレットとして珍しいのは、バッテリ交換が可能になっていることだ。詳しくは後述するが、ほぼ半日動作できてしまうため、交換の必要性が低いかもしれない。

 タッチは5点とは言え、非常にスムーズでWindows 8を快適に操作できる。振動、ノイズ、発熱に関しては全く問題ないレベルだ。サウンドはサイズを考えると頑張っているものの、最大出力にすると、ソースによっては音が若干歪む。カメラに関してはまだiPadの画質レベルにはなっておらず、今後に期待と言ったところ。

 今回は同時に「Dell モバイル・ドッキングステーション」も試す機会を得たので、紹介したい。価格は12,980円だ。なお、下位モデルの「Latitude 10 Essentials」のBTOでは、項目自体が無く、選択できないので注意が必要だ。

 フロントにUSB 2.0×1、音声入出力。リアに電源入力(ドックコネクタ)、USB 2.0×3、Gigabit Ethernet、HDMI出力を装備。Gigabit Ethernetに関しては内部でUSB接続のモジュールを使用している。重量は実測で822g。Latitude 10を装着しても適度に安定感がある。またドックコネクタの部分は手前に傾き、着脱時により簡単に操作ができるようになっている。

 この状態で充電可能なのはもちろんだが、USBもしくはBluetoothを使い、マウスとキーボードを接続すると、小型デスクトップPCに変身する。

 Windows 8の場合、主にWindowsストアアプリを使おうとしても、少し込み入った操作をした途端、デスクトップ環境に戻され、この場合、タッチだけで操作するのはかなり厳しい。できれば揃えたいオプションだ。

ドックの前面。USB 2.0×1、音声入出力。中央のドックコネクタは前に傾く
背面。電源入力(ドックコネクタ)、USB 2.0×3、Gigabit Ethernet、HDMI出力
合体したところ。接点がドックコネクタのみでガッチリ固定するわけではないが、実用上問題無いレベル
支えている部分が固定なので角度は変更できない
左はスマートでなかなかカッコいい
ドックコネクタの部分が手前に傾きタブレットを外しやすいようになっている
重量は実測で822gと、それなりの重量で安定して設置できそうだ
マウスとキーボードを接続したところ。USBポートやBluetoothを使い接続すればコンパクトなデスクトップPCへ
【動画】ドックとの合体など

驚きのバッテリ駆動12時間越え!

 試用機のOSは32bit版Windows 8 Pro。標準ではWindows 8だが、BTOでエディションの選択が可能だ。メモリはAtom Z2760の仕様上最大の2GBを搭載済みだ。

 ストレージはデバイスマネージャによると「MMC Memory Card」とあるだけで、詳細は不明だ。C:ドライブのみの1パーティションで約53.4GB割当てられ、空き40.1GB(ただしWindows Updateがかかってしまったため、若干異なる可能性がある)。このクラスで扱うデータを考えると何とかなるだろう。またクラウドやSDカードにデータを逃がす方法もある。

 初期起動時のスタート画面は、1画面+α。「新しいDellにWindows8入門」と「Skype」が追加されている。デスクトップはごみ箱のみ。

 Wi-Fiモジュールは「Broadcom 802.11abgn Wireless SDIO Adpter」。またリストに表示されている「LAN7500 USB 2.0 to Ethernet 10/100/1000 Adapter」はドッキングステーション側のものだ。

スタート画面1。Windows 8標準のアプリケーションなどが表示されている
最後の「新しいDellにWindows8入門」と「Skype」だけ、追加されている格好
デスクトップはごみ箱のみと非常にシンプル
ストレージは「MMC Memory Card」。Wi-Fiモジュールは「Broadcom 802.11abgn Wireless SDIO Adpter」。「LAN7500 USB 2.0 to Ethernet 10/100/1000 Adapter」はドッキングステーション側
フラッシュストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約53.4GB割当てられている

 プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Dell Windows 8をお使いになる前に」、「Skype」だけだ。ストレージの容量を考慮してか非常に少ない。

アプリ画面1
アプリ画面2
Dell Windows 8をお使いになる前に
Dell Backup and Recovery

 デスクトップアプリは、「Dell Backup and Recovery」と「Windows Essentials 2012」。Dell Backup and Recoveryは、一見、Windowsストアアプリに見えるが、UIを似せたデスクトップアプリだった。

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 3.3。プロセッサ 3.4、メモリ 4.7、グラフィックス 3.7、ゲーム用グラフィックス 3.3、プライマリハードディスク 5.8。PCMark 7は1268 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 12043、FPU 9392、MEM 9593、HDD 9672、GDI 2039、D2D 488、OGL 7843。

 以前レポートしたClover Trail搭載、日本HP「ENVY x2 11-g005TU スタンダードモデル」に近い結果となっている。Atomプロセッサなので全体的に低いスコア(ALU/FPU/MEMはCore i7-3517Uの4分の1程度)となっているものの、Windowsストアアプリはストレス無く使え、デスクトップ環境も軽めの作業であれば普通に操作できる。またOpenGLだけはIntel HD Graphics 4000より速いようである。

 BBenchは、バックライト最小+1(最小にするとバックライトOFFになる)、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残3%で47,819秒/約13.3時間だった。

 つまり、驚くことに12時間を軽く越えたことになる。先述のとおり、タブレットとしては珍しくバッテリ交換も可能なため、Windowsが動くPCとしては、桁違いに長時間バッテリ駆動が可能なモデルだ。これまでいろいろなPCを試用して来たが、これだけ長時間動くのは初めてだ。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)。総合 3.3。プロセッサ 3.4、メモリ 4.7、グラフィックス 3.7、ゲーム用グラフィックス 3.3、プライマリハードディスク 5.8
PCMark 7は1268 PCMarks
BBench。バックライト最小+1、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残3%で47,819秒/13.3時間だった
CrystalMark。ALU 12043、FPU 9392、MEM 9593、HDD 9672、GDI 2039、D2D 488、OGL 7843

 以上のように、デル「Latitude 10」は、Atom Z2760を搭載し、重量が約658gと、スペック上では比較的平凡なWindows 8タブレットだが、標準の2セル(30Wh)のバッテリで、何と13.3時間動いてしまう長時間バッテリ駆動なタブレットだ。ユーザーにとってこのバッテリ駆動時間は最大の魅力となるだろう。

 プロセッサがAtomなので処理速度は大きく期待できないものの、IPS液晶はキレイで、価格も直販で54,980円と安価だ。ある意味、ディスプレイの解像度以外iPadと大差ないともいえる。長時間駆動が可能なので、外出先などでコンテンツを大量に消費するユーザーにとって、最適な1台と言えるだろう。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/