■西川和久の不定期コラム■
デルは6月26日、Ivy BridgeなノートPC、14型「XPS 14」と15.6型「XPS 15」を発表した。編集部から両機種送られて来たので、まずは前者の「XPS 14」からご紹介したい。14型で少し大きめだが規格上はUltrabookとなる。
もともと同社のXPSシリーズは、プレミアムノートシリーズの位置づけだったが、今年3月23日に「XPS 13」が発表され、薄型ノートPC用のブランドへ変更された。この「XPS 13」は13.3型の液晶パネルを搭載し、厚さ6~18mmと、まさにUltrabook。第2世代Core iプロセッサを搭載しチップセットは6シリーズと、アーキテクチャ的にはSandy Bridgeだったが、その後すぐにIvy Bridgeが発表され、1カ月ほどで1世代古くなってしまったのが残念なところだ。
そして今回発表された「XPS 14」は、もちろんIvy Bridgeとなった。スタンダードモデルとプレミアムモデルと2種類あり、今回届いたのは後者となる。主な仕様は以下の通り。
デル「XPS14」(プレミアムモデル)の仕様 | |
CPU | Intel Core i7-3517U(2コア/4スレッド、1.9GHz/TB3.0GHz、キャッシュ4MB、TDP17W) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 8GB |
HDD | 500GB+キャッシュSSD 32GB |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit)SP1 |
ディスプレイ | 14型液晶ディスプレイ(光沢)、1,600×900ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、GeForce GT 630M(1GB)、HDMI出力、Mini DisplayPort |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Gigabit Ethernet、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2(内1つがpowered)、SDカードスロット、音声入出力、130万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 335.8×233×20.7mm(幅×奥行き×高さ)/約2.1kg |
バッテリ | 69Whrバッテリ/8セルリチウムポリマー(ビルトイン)/最大約11.5時間 |
価格 | 129,980円 |
プロセッサはIntel Core i7-3517U。2コア4スレッドでクロックは1.9GHz。Turbo Boost時3.0GHzまで上昇する。キャッシュは4MB、TDPは17WでUltrabookではお馴染みのSKUだ。チップセットはIntel HM77 Express。メモリは8GB搭載済み。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000に加え、GeForce GT 630M(1GB)を搭載。NVIDIA Optimusによりシームレスに切替えることが可能だ。出力はHDMIとMini DisplayPortの2系統。
液晶ディスプレイは14型1,600×900ドットの光沢タイプを搭載。IPSでは無いものの、Gorilla Glassを採用し、高輝度400cd/平方mと明るいのが特徴だ。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。そしてBluetooth 4.0にも対応する。
ストレージは5,400rpmで500GBのHDDと、Intel SRT用の32GB SSDを搭載。合わせてRAIDで構成され、後者はキャッシュとして機能する。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×2(内1つがpowered)、SDカードスロット、音声入出力、130万画素Webカメラ。全てのコネクタはシュリンクされず標準サイズだ。
サイズは335.8×233×20.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.1kg。Ultrabookの定義で、液晶パネルが14型以上の場合は、厚み21mm以下なので条件を満たしている。バッテリは8セルリチウムポリマーを内蔵し(交換不可)、最大約11.5時間。価格は129,980円。
なおスタンダードモデルは、上記の構成からプロセッサがCore i5-3317U(2コア/4スレッド、1.7GHz/TB 2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)へ、メモリ4GB、GeForce GT 630M無しで価格は99,980円となる。
まずパッケージから取出した第一印象は「カッコイイ!」だ。今年同じ印象だったのは、HP「ENVY 15-3000」とApple「MacBook Air」だろうか。削り出しのアルミ素材のボディと、マットブラックのパームレストやキーボードなど、飾りは一切無くシンプルでしかも高級感がある。文句無しのデザインと質感だ。
14型の液晶パネルはGorilla Glassを採用し、最大輝度も高く、高コントラストで発色も鮮やか。IPSではないものの、そこそこ視野角は広い。1,600×900ドットの解像度もパネルサイズにマッチしており非常に見やすい。また輝度を最小にしても作業に困らない程度明るく、バッテリ駆動時に役に立ちそう。
左側には、電源コネクタ、Gigabit Ethernet、HDMI出力、Mini DisplayPort、USB 3.0×2。USBに関しては手前が常時給電のpowered USBとなる。各ディスプレイ出力が中央より後ろ側にあるため、ケーブルが邪魔になることも少ないだろう。右側にはロックポート、SDメモリカードスロット、音声入出力。厚さが20.7mmあるため、全てのコネクタが標準サイズで扱いやすい。
パームレストはソフトタッチペイント仕上げのマグネシウム製。キートップも同様な仕上げで独特な感触。ガラスプレートのタッチパッドは物理的なボタンが無く、手前が左右に傾くタイプだ。キーボードはアイソレーションタイプで3段階のキーボードバックライト付き。たわむこと無く安定して入力できる。ただ個体差かも知れないが、気になったのは、右上の[\]と[BackSpace]キーのバックライトが他のキーより光の漏れている量が多く妙に明るい点だ。
振動、ノイズ、発熱に関しては試した範囲では問題無し。サウンドは、HDオーディオとWaves MaxxAudio 4で出力は2W×2W。十分なパワーがあり、ちょっとこもり気味だが全体のバランスは良い。音楽も映像も楽しめる。
●1,600×900ドットのデスクトップとCore i7で快適な環境OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。メモリは8GBなので動きにも余裕がある。初期起動時のデスクトップは何とゴミ箱のみといたってシンプル。この割切り方は玄人受けしそうな雰囲気だ。
HDDは5,400rpmで500GBの「HTS545050A7E380」。SSDは「SAMSUNG PM830 mSATA 32GB」。Intel SRTでSSDをキャッシュとしたRAIDボリュームとして構成される。C:ドライブ1パーティションで約455GB割当てられ初期起動時417GBの空きエリアがある。
Wi-FiとBluetoothモジュールは「Intel Centrino Advanced-N 6235 802.11 a/g/n + Bluetooth 4.0」を内蔵する。
インストール済みのソフトウェアは、アプリケーション的なものとしては「マカフィーセキュリティセンター」と「Skype」のみ。他は「DELL Audio」、「Dell DataSafe Local Backup」、「Dell WebCam Central」など、同社のツールやMicrosoftの再配布可能モジュール、Intelなどデバイス系のドライバ及びツール類となり、かなり素のWindowsに近い。
DELL Audio | インテル ラピッド・ストレージテクノロジー | Dell DataSafe Local Backup ベーシックエディション |
Dell WebCam Central | DELL ポインティングデバイス | NVIDIA コントロールパネル |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 7.1、メモリ 7.1、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.7、プライマリハードディスク 5.9。プライマリハードディスク 5.9は普通の2.5型5,400rpmのHDD並みであるが、実際操作するとIntel SRTは確実に利いており、良く使うDLLなどがキャッシュされ動きがスムーズ。フルSSDまでとは言えないが結構近い感覚で操作できる。
CrystalMarkは、ALU 44150、FPU 42430、MEM 24964、HDD 19267、GDI 13393、D2D n/a、OGL 27287。NVIDIA Optimusドライバの関係でD2Dはブラックアウトしているので正確な値は測れていない。2コア4スレッドのCore i7とは言え、さすがにALUとFPUはかなりのスコアとなっている。普段使いで3D性能にこだわらないのであれば、GeForce GT 630M無しでプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000で十分だと思われる。
BBenchは、省電力、バックライト最小(キーボード込み)、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果。バッテリの残3%で16,651秒/約4.6時間。公称の最大約11.5時間には全く届かなかったが、それでも4時間を超えた。また先に書いたように、液晶パネルのバックライトを最小でもそれなりに見えるため、省エネ作動にも期待できる。
以上のようにデル「XPS 14」は、発色そして明るさが抜群の解像度1,600×900ドット14型液晶パネルを搭載し、厚さ20.7mmのUltrabookだ。質感やキーボードバックライトも文句無しの仕上がり。非常に良くできたノートPCと言えよう。
重量が約2kgなので、普段の持ち歩き用としては微妙であるが、メインマシンとしても使えるUltrabookを探しているユーザーのお勧めの1台だ。