西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Prime Erdes Pad NT1」
〜TDP 5.9WのAMD Z-01を搭載したタブレットPC



 2011年11月に行なわれた「ドスパラPC」ブランド発表会で予告され、12月1日に発売開始となった10.1型のタブレットPC「Prime Erdes Pad NT1」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けする。


●AMD Z-01を搭載したタブレットPC

 「ドスパラPC」ブランドとは、PCの利用歴が比較的長い一般ユーザー層向けの製品だ。余計なソフトがプリインストールされていないこと。CPUだけでなくメモリやGPUなど、全体のバランスを考慮し、トータルとしてパフォーマンスが高いこと。そして自社生産による低価格と短納期などの特徴を持つ。従来の「Galleria」や「Raytrek」は、どちらかと言えばホビーや専門性を重視したブランドだっただけに、ベクトル的には逆のラインナップも揃うことになる。

 発表会では、去年11月と12月にレポートした、「Note Chronos VF2」や「Note Chronos MR6」など、ノートPC中心だったが、その中で一機種、今回のタブレットPCも含まれていた。主な仕様は以下の通り。

【表】ドスパラ「Prime Erdes Pad NT1」の仕様
CPU AMD Z-01
(2コア/2スレッド、1.0GHz、キャッシュ512KB×2、TDP 5.9W)
チップセット AMD A50M
メモリ 4GB
SDD 64GB
OS Windows 7 Home Premium SP1(64bit)
ディスプレイ 10.1型IPS液晶ディスプレイ(光沢)、1,280×800ドット
グラフィックス 内蔵AMD Radeon HD 6250、Mini HDMI出力
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth V3.0+EDR
その他 USB 2.0×1、SDカードリーダ、130万画素Webカメラ、ヘッドフォン出力
バッテリ リチウムイオンバッテリ(標準4.2時間)
サイズ/重量 271×183×15.5mm(幅×奥行き×高さ)/約875g
価格 69,980円から(ドッキングステーション付きで73,960円)

 プロセッサはAMD Z-01。2コア/2スレッド、クロック1GHz、キャッシュは512KB×2。そしてTDPは5.9Wとかなり低い。以前紹介したことのあるデスクトップPCは、AMD E-450を搭載していたが、このZ-01はタブレット用として開発されたものだ。もちろんGPU統合型APUで、DirectX 11やフルHD動画の再生などにも対応し、CPUのクロック周波数が1GHzと考えると、CPU性能よりグラフィックス系をかなり重視している印象を受ける。

 チップセットはAMD A50M、メモリは4GB、ストレージは64GBのSSDを採用している。OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。ストレージの64GBは用途にもよるが、メモリは4GBあれば普段使いには十分な容量だ。

 ディスプレイは10.1型IPS液晶タッチパネルで解像度は1,280×800ドット。グラフィックスはAPU内蔵のAMD Radeon HD 6250。外部出力としてMini HDMIポートを備える。

 ネットワークはIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth V3.0+EDR。本体にはEthernetは無く、後述のドッキングステーション側に100BASE-TXのEthernetポートが1つある。本体とはUSB 2.0接続となる。

800×1,280ドットの縦表示

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×1、SDカードリーダ、130万画素Webカメラ、ヘッドフォン出力。入出力ポートとは違うが、本体の縦位置/横位置を検知するGセンサーもあり、自動的に向きを検出、縦位置の場合は800×1,280ドットの表示に切り換わる。本体右側の「G-sensor Lock」を使えばこの位置検出をロックすることもできる。

 サイズは271×183×15.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約875g。リチウムイオンバッテリを内蔵し、標準で4.2時間の駆動が可能だ。

 なおオプションでドッキングステーションが用意され、追加されるポートは、電源コネクタ、HDMI出力、Ethernet、USB 2.0×1、マイク入力、ヘッドフォン出力。Ethernetポートに関しては先に書いた通り。USBは本体側にも1つあるので計2ポートとなる。ただし横置き専用で、縦置きには対応していない。

 価格は本体のみで69,980円。ドッキングステーション付きで73,960円。iOSやAndroid系のタブレットと比較すると若干高めと言えよう。


正面。上中央少し左寄りにWebカメラ、右側にスマートトラッカー、O-キー(O-Easy起動キー)/ホーム/SASホットキー(Ctrl+Alt+Del相当) 背面。Webカメラ(リア)。指紋が結構付くのは気になるところ Webカメラと電源スイッチ
左側面。ステータスLED、Mini HDMI出力 右側面。G-sensor Lock、SD/SDHCカードリーダ、音量調整、ヘッドフォン出力、USB 2.0×1 底面にドッキングステーション用コネクタ、電源コネクタを備える
ドッキングステーションとACアダプタ。ACアダプタは結構コンパクトだ。プラグ部分は脱着式。中央にある電源コネクタに本体を合わせばスッと入る ドッキングステーションの背面。電源コネクタ、HDMI出力、Ethernet(100BASE-TX)、USB 2.0×1、マイク入力、ヘッドフォン出力 重量は実測で875g

 本体は10.1型の液晶パネルと言うこともあり、タブレットとしては割りと大きめ。筆者の所有するモトローラXOOMと比較すると一回り程度大きい。全体のカラーは場所によって発色や光沢が違うもののブラックで統一。厚みが15.5mmあるので少し分厚い印象だ。重量も875gとタブレットとしては重い。

 液晶パネルはIPSパネルと言うこともあり視野角は広くまた発色は結構鮮やか。ただしiPad 2と比べると視野角は狭めの印象だ。タッチパネル自体の反応は良く、操作上のストレスは感じなかった。

 本体右側にあるスマートトラッカーはポインティングデバイスで、液晶パネルに触れなくてもこれだけでマウス操作が可能になっている。標準設定ではかなり感度が高めなので、調整して好みに合わせた方が良いだろう。

 作動音や熱に関してはTDPが低いプロセッサ、そしてSSDの採用で、特に気にならなかった。内蔵スピーカーはとりあえず鳴ると言ったレベル。音楽や動画を楽しむなら、Bluetoothなど外部スピーカーを接続したいところだ。

 ドッキングステーションは、追加されるポート、扱いやすさなどを考えると、確実に欲しいオプションと言えよう。机の上で使うならキーボードとマウスをつないで、小型&薄型PCとして機能。持ち出すときは外すだけでOKと非常に便利だ。

 また本体とドッキングステーションを接続するコネクタは、硬くも柔らかくもなく、スッと入り、スッと外れる。ちょうど電源プラグの部分が位置合わせになり、サクッと定位置へセットできるようになっている。

●プロセッサ以外はバランスの良い構成

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。ただしInternet Explorerは8。GPUとメモリを共有するため実質は3.61GBとなる。初期起動時のデスクトップは、壁紙はWindows 7の標準そのまま、ショートカットが5つ追加されただけのシンプルなもの。

 HDDのパーティションはC:ドライブのみの1パーティション。約59.5GB中、空きは40.4GB。ドライブは「SanDisk SSD P4 64GB」SATA接続が使われていた。

 デバイスマネージャはドッキングステーションにドッキングしている状態のものだ。Ethernetが「ASIX AX88772B USB 2.0 to Fast Ehternet Adapter」になっているのがわかる。本体にはライトセンサーなども内蔵されている。

初期起動時のデスクトップは、壁紙はWindows 7の標準そのまま、ショートカットが5つ追加されただけとシンプル SSDはSanDisk SSD P4 64GB、ドッキングステーション側のEthernetは、ASIX AX88772B USB 2.0 to Fast Ehternet Adapter C:ドライブのみの1パーティション。約59.5GBが割当てられている

 プリインストールのソフトウェアは冒頭で書いたコンセプト通り、余計なソフトがプリインストールされていない。主なものとしては「O-Easy」、「Dual Camera Switch」、「AMD VISION Engine Control Center」程度となる。必要最小限なので玄人受けが良さそうだ。

 「O-Easy」は画面キャプチャからも分かるように、タッチパネルで音量/明るさ調整、Bluetooth/Wi-Fi/Camera/フロントCameraなどを簡単にON/OFFできるもの。「Dual Camera Switch」は、前後のカメラを切り替えるだけでなく、もちろん撮影機能も持つ。「AMD VISION Engine Control Center」は、AMDのFusion APUお馴染みの内蔵GPUのコントロールソフトウェアだ。

 なお、セキュリティ関係のアプリケーションは一切入っていない。個人用途であれば、別途「Microsoft Security Essentials」(無料)をインストールすれば安心だろう。

O-Easy Dual Camera Switch AMD VISION Engine Control Center

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 2.5。プロセッサ 2.5、メモリ 4.9、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 5.5、プライマリハードディスク 5.9。同社の製品紹介/ベンチマークによると、2.8/4.9/4.1/5.5/5.9。プロセッサだけ手元に届いたマシンの方が0.3遅くなっている。個体差だろうか。いずれにしてもプロセッサの2.x以外は割りとバランスが取れているだけに惜しいところ。

 CrystalMarkは、ALU 6602、FPU 6137、MEM 5834、HDD 14909、GDI 2998、D2D 1447、OGL 6179。前回のAMD E-450(1.65GHz)搭載機が、ALU 10963、FPU 10148、MEM 8594、HDD 9043、GDI 4843、D2D 2500、OGL 11430だったので、プロセッサ関連に関してはほぼクロック比分遅くなっているのがわかる。加えてGPUのRadeon HD6250 vs Radeon HD6320の差もそれなりにある。とは言え、OGLに関してはIntel HD Graphics 3000よりも倍ほど速い結果になっている。

 BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残4%で13,236秒/3.7時間。スペック上は4.2時間なのでかなり近い数値だ。またバックライトは最小にしてもそれなりに明るく、実使用に近い値と言えよう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 2.5。プロセッサ 2.5、メモリ 4.9、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 5.5、プライマリハードディスク 5.9 CrystalMarkは、ALU 6602、FPU 6137、MEM 5834、HDD 14909、GDI 2998、D2D 1447、OGL 6179 BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残4%で13,236秒/3.7時間

 以上のように「Prime Erdes Pad NT1」は、プロセッサにグラフィック統合型のAMD Z-01 APUを搭載、ストレージにSSDを採用、そしてIPS式のタッチパネル、Bluetooth 3.0+EDRを含む豊富なインターフェイスなど、タブレットPCとしては結構こだわった、そして使いやすいものに仕上がっている。ただWindows エクスペリエンス インデックスのCPUスコアが2.5と言うこともあり、純粋な演算は遅く、用途によってはパフォーマンス不足となるのが残念なところと言えるだろう。

 iOSやAndroidなど、いろいろなタブレットマシンが出ている中、やはりタブレットでWindowsを使いたいユーザーの候補になりえる1台だろう。