西川和久の不定期コラム

HP「ENVY 15-3000」
〜抜群の質感とサウンドが魅力的な15.6型フルHD 2スピンドルノート



 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は19日、15.6型フルHD液晶パネルを搭載した2スピンドルのハイエンドプレミアムノート「HP ENVY 15-3000」を発表。2月初旬に発売を開始する。発売に先駆け、編集部から量産試作機が送られてきたので試用レポートをお届けする。

●正にENVYブランドのノートPC

 「ENVY」は同社にとって特殊なブランドで、筆者が初めて触ったのは、「ENVY 14 Beats Edition」、そしてインクジェット複合機の「ENVY 100」もレビューした。どちらも2010年の登場だ。このブランドは「最上級、何も妥協しない、人々が羨望する」と言う意味が込められている。

 そして今回は15.6型フルHD 2スピンドルノートPCにENVYモデルが追加された。2012年春モデルの中で最上位に位置する製品で「ミニマリズム」、「アナログとデジタルの融合」をキーワードとし、高級感のある「Premium Design」を目指したとのことだ。ENVYブランドとしては、他に17.3型と14.5型のノートPCも存在する。

 直販モデルと量販店モデルで構成が異なり、今回届いたのは直販モデル。主な仕様は以下の通りだ。

CPU Core i7-2670QM(4コア/8スレッド、2.2GHz/TB 3.1GHz、キャッシュ6MB、TDP45W)
チップセット Intel HM65 Express
メモリ 8GB(4GB×2)/PC3−10600(1,333MHz)/最大8GB(2スロット/空き0)
SSD 300GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチ ドライブ(スロットイン方式)
OS Windows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,920×1,080ドット(フルHD)
グラフィックス Radeon HD 7690M(1GB)、HDMI出力、DisplayPort
ネットワーク IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0、Gigabit Ethernet
その他 USB 3.0×2(内1つはPowered)、USB 2.0×1、2in1メモリカードスロット、マイク入力×1、ヘッドフォン/ライン出力×2、92万画素Webカメラ、Beats Audio ステレオ スピーカー、HP Triple Bass Reflex サブウーファー、アナログボリュームコントローラ、内蔵マイク
サイズ/重量 380×240×28.3〜30mm(幅×高さ×奥行き)/約2.68kg
バッテリ駆動時間 最大約8時間(8セル)
直販価格 139,650円(税込)から

 CPUはIntel Core i7-2670QM。2コア/4スレッドではなく、4コア/8スレッドのプロセッサだ。クロックは2.2GHzでTurbo Boost時3.1GHzまで上昇する。キャッシュは6MBでTDPは45W。

 チップセットはIntel HM65 Express。メモリスロットは2つあり、4GB×2の計8GB搭載済みとなっている。複数の仮想PCを同時に使うなど、余程メモリを必要とする処理をしない限り一般的には十分すぎる容量だ。

 ストレージはIntel製の300GB SSD、そして光学ドライブとしてスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブを備える。ノートPCで256GBを超えるSSDを標準搭載するケースは珍しい。ここまでハイスペックだとBDドライブが欲しいところだが、贅沢を言い過ぎだろうか。

 グラフィックスは、内蔵Intel HD Graphics 3000とRadeon HD 7690M(1GB)。自動切り換え式だが、切り替えている途中ブラックアウトなどせず、シームレスに移行する。省エネ作動ではIntel HD Graphics 3000、グラフィックスパワーが必要な時は、Radeon HD 7690Mを使用でき、なかなか便利なシステムだ。液晶パネルは光沢タイプの15.6型。1,920×1,080ドットのフルHD解像度。外部出力は、HDMIとDisplayPort。2画面出力可能であるが、この時は、本体の液晶パネルは非表示となる。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n。IEEE 802.11aにも対応しているのが珍しいところ。Bluetoothは3.0。先に掲載したFolio 13が4.0だっただけに、惜しい部分と言えよう。

 その他のインターフェイスとしては、USB 3.0×2、USB 2.0×1、2in1メモリカードスロット、マイク入力×1、ヘッドフォン/ライン出力×2、92万画素Webカメラ。2つあるUSB 3.0の内、片方は電源オフ時にでも電源を供給できるタイプとなっている。

 サイズは380×240×28.3〜30mm(幅×高さ×奥行き)、重量約2.68kg。さすがに15.6型、そして2スピンドル(と言ってもSSDは回転しないので厳密には1スピンドルだが)だけあって、大きくそしてそれなりに重たい。8セルの取外し可能なバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約8時間だ。

 直販価格は、139,650円から。10万円超えはやや高く感じるが、スペックそして、後述するデザインやサウンドなどを考慮するとかなりお買い得な価格設定だ。なお量販店モデルとして、液晶解像度1,366×768ドット、メモリ4GB、ストレージ750GB HDDになり、価格は13万円前後のものも用意されるが、直販モデルとの価格差が約1万円だとすると、どう考えてもスペック的に後者の選択はありえない。同社には是非、今回紹介する直販モデルを店頭でも扱って欲しいところだ。

HPイルミネーションロゴが輝くシンプルでかつクールなデザイン。トップカバーはブラック 正面側面にBeats Audioステレオスピーカー。アルミニウムとマグネシウム合金の採用した筐体は美しい。写真からは分からないが、液晶パネルの左側のフチ中央に近接センサーがある 底面。ネジなどは無く、右側のロックを外しながら引くと前面側のパネルが外れる。この部分にはバッテリとHDDを内蔵
左側面。スロットイン方式のDVDスーパーマルチドライブ、USB 3.0×1(Powered)、USB 3.0×1、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力×2 キーボードはバックライト付きのアイソレーション式。US配列の85キーのみの対応だ。上のメッシュの部分にもスピーカーが埋め込まれている 右側面。2in1メモリカードスロット、ロックポート、USB 2.0×1、DisplayPort、HDMI、アナログ式ボリュームとその横にミュートボタン、Gigabit Ethernet、電源入力
キーピッチは実測で約19mm。タッチバッド左上のアイコンをタップするとタッチバッド機能のオン/オフとなる ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。サイズは75.5×148×26.5mm(同)、約469g。電源ケーブルとACアダプタ用のポーチが付属する 外箱の中にもう1つ内箱があり、洒落た雰囲気を醸し出している

 パッケージから取り出した時、「お、これはいい!」っと久々に思った。発表時のTwitterなどの書込みを眺めていると、「MacBook Proにそっくり」とか、いろいろ書かれているが、現時点の価値観で多くの人達がカッコイイと思うデザインは、結局こうなるというのもあるだろう。

 しかし他の同等クラスのノートPCは、MacBookに数歩及ばずのマシンが大多数を占める中、この「ENVY 15-3000」は完全に互角と言って良い。しかもアナログボリュームがあったり、サブウーファーがあったり、波のように段階式にオン/オフするキーボードバックライトや近接センサーなど、いろいろなこだわりを持って作られている。個人的にはこのまま小さくした11型と13型が欲しいところだ。

 底面にマグネシウムを表面にアルミニウムを用いたボディは美しく、嫌味が無い高級感を醸し出す。質感は最上級だ。基本的にブラックとシルバーの2色で構成されているが、Beats Audioらしさを出すためか、キーボードを設置している部分の凹みの上下には赤いラインがアクセントとして入っている。

 液晶パネルは高品位で、発色もコントラストも良く、そして上下左右共に視野角が広い。Folio 13に搭載しているものとは全くクオリティが異なるタイプだ。

 キーボードは、アイソレーションタイプのUSキーボード。キーピッチは19mm確保されたわみも無く、入力しやすい。特徴はバックライトを備えることだ。発表当時の資料を見ると3段階に明るさが変わると思っていたが、正確には、キーボードを上段、中段、下段と3つに区域分けし、オンの時に段階的に明るく、オフの時は逆方向に段階的に暗くなる。動画を掲載したのでご覧頂きたいが、波が打ち寄せる雰囲気だ。なお、明るさは調整出来ず、オンかオフだけとなる。またファンクションキーのオン/オフだけでなく、近接センサーによっても反応する。

【動画】波のようにオン/オフするキーボードバックライト

 15.6型そしてUSキーボードと言うこともあり、パームレストとタッチパッドの部分は、十分な面積を確保。タッチパッドはFolio 13同様、物理的なボタンは無く、1枚板構成で左右に傾く仕掛けだ。ただ、個体差かも知れないが、筆者が触ったものは、このボタン替りの左右の傾きが結構重く指が疲れた。本機唯一のウィークポイントなので、仕様ならば改善をお願いしたい。

 そしてサウンドは圧巻だ。「Beats Audio」ステレオスピーカーを6基、サブウーファーを2基、そしてアナログ的なボリュームも装備。このボリュームは押すと「Beats Audio」のコントロールパネルを表示する仕掛けも入っている。抜けが良く、迫力もあり、最大音量も十分。試しにDVDビデオを再生したところ、DVDスーパーマルチドライブの作動音も全く気にならなかった。これなら鑑賞用としても十分使用に耐えうるだろう。

●十分なパワーを誇るハイスペックノートPC

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium。初期起動時デスクトップにはゴミ箱のみと言うシンプルさ。壁紙もなかなか雰囲気の良いものが使われている。プライマリドライブがSSDだけあって、起動も終了も速く、快適に操作可能だ。近接センサーも有効に働き、席を離れて戻ってくると、徐々にキーボードバックライトがオンになって行く様子は親しみが沸く。

 SSDのパーティション4つあるものの、実質ユーザーが使えるのはC:ドライブのみ。工場出荷時の空きは、約260GB中の218GBとなっている。SSDはIntel SSDSA2BW300G3Hが使われていた。BluetoothとWi-FiモジュールもIntel製。USB 3.0のコントローラはFolio 13とは異なり、御馴染みルネサス製だった。

起動時のデスクトップ。何とゴミ箱のみと非常にシンプル。壁紙もなかなか雰囲気の良いものが使われている デバイスドライバ/主要なデバイス。SSDはIntel SSDSA2BW300G3H。BluetoothとWi-FiモジュールもIntel製だ SSDのパーティションは4パーティションあるものの、実質ユーザーが使えるのはC:ドライブの約260GBのみ

 インストール済みのアプリケーションは、同社製としては、HP Wireless Audio Manager、HP Documentation、HP CoolSense、HP Quick Launch、HP 3D DriveGuard、HP Proximity Sencor Utility、HP Support Assistant、HP Power Manager、HP Support Assistant、HP Connection Manager。逆に前回のFoilo 13にあって、このENVYで無いものは、HP Security Assistant、HP SimplePass PE 2012、HP Launch Boxなどがある。

 HP Proximity Sencor Controlは、近接センサーの反応を調整するもので、感度(範囲):最大/最小、オフになるまでの時間:10秒/1分/3分、センサーの無効などが設定可能だ。

 そのほか、Adobe Photoshop Elements 9、Adobe Premiere Elements 9、CyberLink YouCam、CyberLink PowerGo、CyberLink PowerDVD、Windows Live Essentials 2011、Norton Internet Security 2012(2年版)、そして各種ドライバに対応するツール系がインストールされている。

Beats Audio アナログ式ボリュームを操作すると表示される HP Wireless Audio Manager
HP Proximity Sencor Control Adobe Photoshop Elements 9とAdobe Premiere Elements 9がプリンストール AMD Catalyst Control Center/切り替え可能なグラフィックス

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.6、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 6.5、プライマリハードディスク 7.7。Core i5とIntel HD Graphics 3000のFolio 13は総合 4.7。プロセッサ 6.3、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 7.5。全ての面で上回っているのが分かる。

 CrystalMarkは、ALU 59172、FPU 52637、MEM 44873、HDD 31401、GDI 15544、D2D 2621、OGL 4228。こちらも同様に、Mark/ALU/FPU/MEMでほぼダブルスコアの差が出ている。これだけ違うと明らかに体感上でも違いが分かるほど。

 BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オン、キーボードバックライトオフでの結果。バッテリの残7%で17,060秒/4.7時間。もともとのサイズが大きいだけに、多くは室内の移動程度だと思われ、これだけ持てば十分と言ったところだろう。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.9。プロセッサ 7.5、メモリ 7.6、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 6.5、プライマリハードディスク 7.7
CrystalMark。ALU 59172、FPU 52637、MEM 44873、HDD 31401、GDI 15544、D2D 2621、OGL 4228
BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オン、キーボードバックライトオフでの結果だ。バッテリの残7%で17,060秒/4.7時間


 以上のようにHP「ENVY 15-3000」は、USB 3.0など必要なものは全て搭載した上で、独特なキーボードバックライト、アナログ的なボリューム、近接センサー、そして強力なスピーカーシステムまでも備えた15.6型フルHDの2スピンドルノートPCだ。

 スペックを考えると比較的安価な上、質感もすこぶる良く、物欲をそそる逸品に仕上がっている。1クラス上の製品を考えている人にお勧めの1台と言えよう。