西川和久の不定期コラム

ネットワークコンサルティング「Mobile Cube」
〜コンパクトで起動も速いWiMAX Wi-Fiルーター



 2011年末、編集部からネットワークコンサルティング製の小型WiMAX Wi-Fiルーター「Mobile Cube」が送られてきた。12月1日に発売になったばかりのキュートな機器だ。ちょうど年末年始は実家へ帰ることもあり、新幹線でエリア・速度テストを行なってのレポートをお届けする。


●抜群にコンパクトな筐体

 編集部から届いたパッケージは、従来の通信機器とはイメージが違いほぼ立方体でしかも小さい。Apple製品とまでは言わないものの、それなりに意識しているようだ。そこへコロッと入っているのがこの「Mobile Cube」。上下が白、周囲がメタリックレッド、コンパクトでかわいいWiMAX Wi-Fiルーター。何も知らなければまずルーターには見えないだろう。実は原稿の書き始め製品名を“Mobile Cute”と間違えていたほど(笑)これまでに無かったスタイリッシュなデザインだ。

 裏にはSSIDとKEYが書かれてあるので、マニュアルも読まずに電源をONにして、iPhone 4Sで接続したところあっさりつながった。自宅で速度を測ると、3Mbps越でなかなか調子もいい。同社のキャッチコピーは「本当に必要な機能を最大限に“4つの業界一”を備えた」とある(2011年11月25日現在)。主な仕様は以下の通り。

【表1】「Mobile Cube」の仕様
型名 IMW-C910W
無線LAN IEEE 802.11b/g
連続通信時間 約10時間
連続待受時間 約150時間
同時接続数 8台
セキュリティ WEP、WPA-PSK(TKIP/AES)、
WPA2-PSK(TKIP/AES)WPA/WPA2-Mixed PSK
利用可能OS Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.4〜10.7
充電(ACアダプタ) 約3時間(電源OFF時/ACアダプタ使用時)
サイズ/重量 約67×67×14.2mm(幅×奥行き×高さ)/約69g
価格 オープンプライス

 まずWiMAX自体は、UQコミュニケーションズが提供するサービス、下り最大40Mbps/上り最大10MbpsのモバイルWiMAXに対応する。実際計測した速度は後半の表をご覧頂きたいが、理論上の最大速度には及ばないものの結構良い値が出ている。ダウンロードはもちろんだが、アップロードもそれなりの速度になっているのが特徴的だ。

 サイズは約67×67×14.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約69g。冒頭で書いたように、スタイリッシュでコンパクト。同社のWebによれば「卵と同じぐらいの軽さ」となる。このサイズそして重量であれば、冬場だとダウンジャケットの内ポケットへ入れっぱなしでも気にならず、カバンと名が付くものであれば何処にでも入る。

 バッテリ駆動時間は、連続通信時間約10時間/連続待受時間約150時間。ヘタすると接続するノートPCやiPhoneの方が先にバッテリが切れるだろう。1日ONにしっ放しでも十分使い物になる。フル充電は付属のACアダプタを使った時に約3時間。PCなどのUSBポートを使った時は4時間ほどかかる。

 無線LANはIEEE 802.11b/g。11nに非対応なのが残念なところ。有線LANは搭載していないが、リアパネルにあるmicroUSBへ接続することによってUSB→Ethernetアダプタとして機能する。仕様中の利用可能OSは、このドライバの有無となり、Wi-Fi接続時の制限では無い。Wi-Fiルーター時同時接続は8台。セキュリティは、WEP、WPA-PSK(TKIP/AES)、WPA2-PSK(TKIP/AES)WPA/WPA2-Mixed PSKと、一通り揃っている。

 価格はオープンプライス。価格.comで調べると、回線/プロバイダ込みで、本体代0円+2,150円〜2,866円/月(初年度)となっている。からくりは月額費用3,800円〜3,880円に、限定キャンペーンで14,000円〜16,000円の割引パックが付いた形だ。いずれも2年縛りだが、2年もすればまた状況は変わっている可能性もあり、その後どうするかはその時に考えればいいだろう。

フロント。電源ボタン、パワーLED、Wi-Fi LED、WiMAX LED。それぞれのLEDは状況によって色や点灯パターンが変わる 背面。インターフェイスはmicro USB B-typeで、本体の充電、USB→Ethernetアダプタとして機能する 左から(右側も同じ)。特に何も無く、放熱用のスリットのみ
底面。初期設定のSSIDとKEYが書かれたシールが貼られている。字が小さいのでもう少し大きくしてもらえると嬉しい 付属品として、ACアダプタとUSBケーブル、小冊子が入っている。ACアダプタのプラグは変更可能。各国対応している iPhone 4Sと比較して幅が少し広く、奥行きは半分と言ったところ。非常にコンパクトだ

 使用感は非常に良好。まず各種ステータスが非常に分かりやすい。LEDの状態一覧を掲載したのでご覧いただきたいが、必要な全ての情報がフロントパネルをパッと見て把握できる。

 音に関しては皆無で静音。ただ熱は若干持ち、長時間運用するとほんのり熱くなる。この時期なら問題無いものの、夏場は気になるところだ。

 microUSBポートが1つと電源ボタンが1つ、LED3つと、シンプルなインターフェイスだが、電源ボタンだけは長押しする時間によって3モード持っている。まず13秒以上押すと初期出荷状態へ戻る。6秒は通常のON/OFF。このモードは、他のWiMAXルーター同様、起動してWiMAXとWi-Fiを接続するまでかなり時間がかかる(実測で約50秒)。

 そして本機の売りである高速起動は、起動状態から2秒の長押し(パワーLEDが黄点滅に)でクイックスタートモードのスタンバイへ(もちろんスタンバイ中は全てのLEDは消灯している)。この状態から再度2秒の長押しで本当に10秒もかからずWiMAXとWi-Fiが復帰し、すぐに使用可能となる。これは従来機器から考えると速くストレスを感じない。

 ただ実際使用すると思った以上にバッテリの持ちが良いため、常時ON(待機)にしても少なくとも丸1日は持つ。結果このクイックスタートモードを使用することはほとんど無く、寝る前にクイックスタートモードにして充電する程度だった。連続通信時間は、試した範囲では8時間前後と言ったところだ。

【表2】各LEDの状態
電源LED
電源ON/バッテリ残100%〜60% 緑点灯
電源ON/バッテリ残 60%〜30% 黄点灯
電源ON/バッテリ残 30%〜 0% 赤点滅
電源OFF 消灯
充電中 赤点灯
充電完了 緑点灯
Wi-Fi LED
Wi-Fi作動準備中 緑点滅
Wi-Fi接続中 緑点灯
WiMAX LED
WiMAX接続準備中 青点滅
WiMAX圏外 赤点滅
電波強度/強 緑点灯
電波強度/中 黄点灯
電波強度/弱 赤点灯

●Webインターフェイスも充実

 初期設定でhttp://192.168.1.1/がWebインターフェイス用のIPアドレスとなる。ブラウザでアクセスするとログイン画面が表示される。この時、非ログイン状態でも、接続ユーザー数、WiMAXの状態、バッテリ残などが表示され、一定期間(初期値では3秒)でリロードがかかる。

 ログイン(初期設定でadmin)すると、セットアップウィザード、ソフトウェアアップデート、Wi-Fi設定/基本、Wi-Fi設定/詳細、詳細設定/端末回線状態、詳細設定/ファイアウォール設定、詳細設定/ルータ設定、詳細設定/システム設定、詳細設定/端末ログ、端末情報が2ペインの左側に表示される。単にWi-FiもしくはUSB接続で機器からネットにアクセスするだけなら初期設定のままで特に触る必要は無いだろう。現在最新のハードウェアはVer.1.2、ソフトウェアはR3980だ。

 Wi-Fi設定/詳細ではSSIDステルスモードのON/OFF、無線チャンネルとしては1〜7、Wi-FiモードとしてはIEEE 802.11b/g/802.11b/802.11g、Wi-Fi出力として弱/中/強の設定が可能だ。

 ルータ設定では、用途的に使うケースは少ないと思われるが、UPnP、VPNパススルー、DMZホスト機能、Port Forward機能なども搭載している。

 いずれにしてもシンプルで分かりやすいインターフェイスで内容的には不満の無いものとなっている。

ログイン画面。パスワードの初期設定はadmin。上に接続ユーザー数、WiMAXの状態、バッテリ残などが分かるステータスバーがある WiMAX/Wi-Fi/端末のステータスを表示。一定期間でリロードがかかる セットアップウィザード。パスワードやセキュリティ、Wi-Fiなどの設定。3ステップで完了する
オンラインでソフトウェアの確認/アップデートができる Wi-Fi設定/基本。SSIDや認証方式、パスワードの設定 Wi-Fi設定/詳細。Wi-Fiの作動モードや出力の強弱などが設定できる
詳細設定/端末回線状態。WiMAX状態、MACアドレス、IPアドレス、周波数、端末起動時間、WiMAX接続時間などが見られる 詳細設定/ファイアウォール設定。インターネットからルーターへの接続を制御する 詳細設定/ルータ設定。DHCPはもちろん、UPnP、VPNパススルー、DMZホスト機能などもある
詳細設定/システム設定。リロードの頻度やクイックスタートモードのON/OFFなどができる 詳細設定/端末ログのページ 端末情報。ハードウェアやソフトウェアなどのバージョンが確認できる
USB接続時は、INFOMARK USB Ethernet/RNDIS Gadgetドライバが組み込まれEthernetとして機能する

 前半で書いたように、このMobile CubeはUSB接続で充電しながら有線によるEthernet接続も可能だ。USB→Ethernetアダプタとなり、デバイスマネージャでは、「INFOMARK USB Ethernet/RNDIS Gadget」と表示されている。

 なおドライバは、Windows Vista/7、Mac OS X 10.4〜10.7に関しては自動認識、Windows XP SP3のみ別途ドライバが必要となる。メインのPCはUSBで常時充電しながらUSB接続、ノートPCやiPhone/iPadなどをWi-Fiで共有すると、室内ではバッテリ残を気にする必要も無く便利そうだ。


●年末年始に大移動しながら速度テスト

 今回テストに使用したのは、iPhone 4SとXTREME LabsのSpeedtestアプリ。GPSをONにしておくと緯度経度情報も記録され、履歴も残るので便利なツールだ。また履歴の画面は長押しでコピーができ、ある程度フォームを保ったままメールにペーストできるので、データの整理も非常に楽。Mobile Cubeはダウンジャケットの内ポケットに邪魔にならずに入ることもあり、常時ON、iPhoneからWi-Fiで接続しっぱなしにして測定した。

XTREME LabsのSpeedtest

 日頃筆者は行動範囲が狭く、渋谷/恵比寿周辺、JRは渋谷/新宿間、地下鉄は半蔵門線か銀座線、日比谷線程度しか乗らない。とりあえずこの範囲で測定したが特に問題無く使用できる。ただしホームも含め地下は入らない。この場合、3Gと併用でカバーすることになるが、Mobile CubeはWiMAX専用なので、3G/WiMAXの切り替えを、iPhoneのWi-Fi ON/OFFですることになりちょっと面倒だった。

 表の中「近所のトンカツ屋」が一番遅い結果となっているが、ここは半地下で3Gでも電波状況が悪い場所だ。逆につながっただけでもビックリ! と言ったところ。いろいろな場所で試したわけでは無いが、都心で地上ならまず問題無く使えそうな雰囲気。かなり(数年)前にWiMAXを試した時はまだまだの雰囲気だったが、ここ数年で大幅に改善されたようだ。

 同社のWebでサービスエリアを確認したところ、主要な部分はカバーしている。ピンポイントエリア判定もあるので、事前にチェックも可能だ。たまにロケで行く場所として“下田市白浜”があるが、ここは圏外だった(以前イー・モバイルも圏外だったが今調べてもやはりNG)。

 冒頭にも書いたとおり、この年末年始は久々に実家へ帰ることになり、Mobile Cubeを持って行くことに。経路は、渋谷→(JR山手線)→品川→(東海道新幹線)→新大阪→(御堂筋線)→本町→(中央線)→長田→(近鉄けいはんな線)→学研北生駒となる。また運良く(悪く?)新幹線の7時台で空席があったのは乗車した“ひかり”しかなく、途中、名古屋と京都に加え、新横浜/静岡/浜松にも止まったので、それぞれ速度を測定している。乗降する駅に関してはホームで、その他の駅に関しては車両が完全に停止してから車中で測定。ご覧のように地上であれば全ての駅で通信ができている。

 また新幹線に乗っている間、駅間で動いている時もかなり多くの区間で問題無く使用できた。Mobile CubeのWiMAX状態を示すインジケータは目まぐるしく色が変わり、刻一刻と状況は違っているものの、あまり途切れることは無く、一度つながってしまうとダウンロードはメガ級の速度が出て結構快適だ。京都/新大阪間はすべてOK。駄目だった場所は、地下とトンネルの中。関ヶ原前後はかなりの時間NG。とは言え、予想外に普通に使えたのには驚いた。

 さて肝心の実家は、学研北生駒駅から徒歩10分程度離れた場所にあり、1階のリビングで測定すると……NG。電波が入らない。2階の窓際に設置してやっと入る状況だ。しかも夜に雨戸を閉めると使えなくなる微妙な状態。雨戸の無い小窓に置いて何とか通信可能となる。

 ピンポイントエリア判定では△〜○。屋外は「ご利用可能と思われます。但し、場合により、通信しにくい場合や圏外となる場合があります」。屋外は、「建物周辺の地形、建物形状、建物内の利用階数・窓からの距離・利用場所等により通信しにくい場合や、圏外となる場合があります」と表示されその通りとなった。とは言え、いったんつながるとDL 3M/UP 0.2Mほど出ているので、ストレス無くネットを利用できる。なおこの時、Wi-Fi設定/詳細のWi-Fiは弱だったが、2階との通信に支障は無かった。

 正月、たまたま弟がNECのWiMAX Wi-Fiルーター「AtermWM3500R」を持ってきたが、状況は同じ。話によると最近自宅のADSLを解約し、購入したばかりとのこと。設置場所にもよるだろうが、これだけの速度が出れば十分リプレースの対象になる。

【表3】Speedtestの結果
月/日 接続方法
場所 ダウンロード(Kbps) アップロード(Kbps)
時間 緯度/経度 平均 最大 平均 最大
12月 Wi-Fi 実家 2,351 2,352 297 357
31
12:22
12月 Wi-Fi 学研北生駒 3,387 3,388 214 222
31 34.7252
11:05 135.724
12月 Wi-Fi 生駒 6,746 6,762 781 799
31 34.6936
10:58 135.698
12月 Wi-Fi 新石切 2,841 2,841 1,015 1,015
31 34.6803
10:52 135.641
12月 Wi-Fi 吉田 2,824 2,826 1,121 1,242
31 34.6806
10:50 135.624
12月 Wi-Fi 西中島南方 5,147 5,881 882 945
31 34.7268
10:14 135.499
12月 Wi-Fi 新大阪 7,383 7,386 1,369 1,464
31 34.7341
10:03 135.502
12月 Wi-Fi 京都 4,764 4,764 1,417 1,540
31 34.987
9:48 135.771
12月 Wi-Fi 名古屋 7,255 7,255 670 882
31 35.1694
9:11 136.882
12月 Wi-Fi 浜松 6,141 6,141 551 655
31 34.7043
8:34 137.736
12月 Wi-Fi 静岡 7,265 7,323 960 1306
31 34.9728
8:06 138.391
12月 Wi-Fi 新横浜 2,197 2,197 316 343
31 35.5087
7:21 139.618
12月 Wi-Fi 新幹線ホーム@品川 4,105 4,171 624 693
31 35.6314
7:06 139.741
12月 Wi-Fi 新幹線ホーム上カフェ@品川 1,053 1,053 654 654
31 35.6281
6:38 139.74
12月 Wi-Fi 山手線渋谷駅ホーム 1,340 2,287 1,011 1,074
31 35.6573
6:16 139.702
12月 Wi-Fi 渋谷109前交差点 4,202 4,202 1,166 1,181
30 35.6594
12:33 139.699
12月 Wi-Fi 銀座線渋谷駅ホーム 1,888 1,941 924 1,045
28 35.659
23:25 139.701
12月 Wi-Fi 赤坂見附駅 5,942 5,953 874 1,060
28 35.6792
19:33 139.736
12月 Wi-Fi 恵比寿の某事務所 1,632 1,821 210 250
28日
14:30
12月 Wi-Fi 自宅前 2,305 2,305 1,053 1,297
28
12:22
12月 Wi-Fi 近所のトンカツ屋 993 1,131 314 317
28
11:49
12月 Wi-Fi 自宅 3,703 3,703 1,418 1,496
28
10:46

 以上のように「Mobile Cube」は、コンパクトでバッテリの持ちも良く起動も速いモバイルWi-Fiルーターだ。回線契約込みで本体価格は0円/月額2,000円ちょっと(初年度)と価格もリーズナブル。電波さえ入れば速度も出る。トンネルや地下で通信できないのは用途によって痛いものの、屋外はもちろん屋内でもかなり魅力的な1台と言えよう。