西川和久の不定期コラム

ソニー「VAIO L VPCL219FJ/W」
〜「スグつくTV」を搭載した液晶一体型PC



 ソニーは3月8日、2011年春モデルとして24型液晶一体型PC「VAIO L」シリーズを発表した。3月下旬から発売されているこの新型は、デザインを一新、LED液晶による薄型化、V字型のスタンド採用、そして「スグつくTV」を搭載など、強化ポイントが満載だ。実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。


●チューナを3基搭した液晶一体型PC

 TVチューナ内蔵液晶一体化PC「VAIO L」は、2009年10月以来久々のモデルチェンジとなった。マルチタッチ対応フルHD液晶パネルという点は変わらないものの、当時のスペックを見ると、Core 2 Duo E7500(2.93GHz)、メモリ4GB、HDD 1TB、GeForce G 210M(512MB)、Blu-ray Discドライブ、Windows 7 Home Premium(64bit)を搭載し、店頭予想価格は24万円前後の見込み……と、プロセッサやグラフィックスは時代を感じさせるものだ。またデザインも結構異なる。

 そして今回発表された新モデルは、第2世代Core iプロセッサーにアーキテクチャを一新。USB 3.0対応、「スグつくTV」搭載、そしてデザインも大幅に変え、2011年度版となった。主な仕様は以下の通り。

【表】ソニー「VAIO L VPCL219FJ/W」の仕様
CPU Intel Core i7-2630QM(4コア/8スレッド、
2GHz/Turbo Boost 2.9GHz、キャッシュ 6MB)
チップセット Intel HM65 Express
メモリ 4GB(2,048MB×2)/2スロット空0
HDD 1TB(7,200rpm)
OS Windows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ 24型フルHDタッチパネル液晶、1,920×1,080ドット、
HDMI出力、HDMI入力、コンポジット入力
グラフィックス GeForce 315M(512MB)
ネットワーク Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR
光学ドライブ Blu-ray Discドライブ
TVチューナ 地上/BS/110度CSデジタルTVチューナ×2(長時間録画対応)、
スグつくTV(地上デジタルチューナー×1)
その他 USB 3.0×2、USB 2.0×3、IEEE 1394、
SDカード/メモリースティックデュオ対応スロット、Webカメラ、音声入出力
サイズ/重量 約608×168〜187×429〜439mm(幅×奥行き×高さ)/約11.7kg
店頭予想価格 22万円前後

 プロセッサはIntel Core i7-2630QM。4コア/8スレッドでクロックは2GHz、Turbo Boost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュは6MB。チップセットはIntel HM65 Expressで、メモリは標準2GB×2の計4GB。本来このプロセッサはIntel HD Graphics 3000を内蔵しているが、本機にはさらに性能の高いGeForce 315M(512MB)を搭載している。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。起動時間がかからず、サクッとWebにアクセスできるインスタントOS「Quick Web access」も内蔵する。

 液晶パネルはLEDバックライトで光沢タイプの24型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチパネル対応だ。液晶TV「ブラビア」と同じ方式で広視野角になっている。またHDMI入出力を各1ポート、ビデオ入力(アナログ/音声LR入力もあり)も備える。従ってこの「VAIO L」を中核にAV機器を接続したり、HDMI出力を使って更に大きい液晶TVへ映すことも可能だ。加えて液晶パネルの“フチ”を操作し、いろいろなコントロールができる「Edge Access」という機能を新たに追加した。

 TVチューナは、PC用として地上/BS/110度CSデジタルTVチューナ×2。これはWindows上で操作できるチューナだ。そして「スグつくTV」用を別途搭載し、Windowsが起動していない状態でも普通にTVとして使え、電源ONで即観ることができる。またこれらのチューナは連動しており、「スグつくTV」で視聴中、リモコンの「TVアプリ起動」を押すと、バックグラウンドでWindowsがブートし、視聴アプリの「Giga Pocket Digital」を同じチャンネルで起動、準備が整い次第、「スグつくTV」から「Giga Pocket Digital」へ自動的に切り替わる仕掛けを持っている。

 ストレージは7,200rpmの1TB HDDとBlu-ray Discドライブ。動画の保存や再生も万全だ。ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth 2.1+EDRを搭載している。

 その他のインターフェイスとしては、USB 3.0×2、USB 2.0×3、IEEE 1394、SDカード/メモリースティックデュオ対応スロット、Webカメラ、音声入出力。Webカメラは「Exmor」ブランドの130万画素に強化された。サウンドに関しては独自チップのSound Reality、S-Forceサラウンド機能、フルデジタルアンプの「S-Master」、Dolbyホームシアター、5.5Wのステレオスピーカーを搭載し、かなり力が入っている。

 サイズは約608×168〜187×429〜439mm(幅×奥行き×高さ)、重量約11.7kg。パネルサイズを考えると妥当なところ。LEDバックライトなのでそれなりに薄くなっているのが分かる。店頭予想価格は22万円前後。前モデルからこれだけの機能を搭載したにも関わらず、2万円ほど安くなっている。

 なお下位モデルは「VPCL218FJ/WI」(ホワイト)、「VPCL218FJ/BI」(ブラック)の2機種。主な違いはプロセッサにCore i5-2410M、Intel HD Graphics 3000、タッチパネル/Edge Access無しなどで、店頭予想価格は19万円前後だ。

正面。写真からは分かりづらいが、中央上にWebカメラ、右側に電源LEDなどが並ぶ 左側面。ASSISTボタン、マイク入力、ヘッドフォン出力、IEEE 1394、USB 3.0×2、メモリースティックデュオ/SDメモリーカード共用スロットなどを装備 右側面。ディスプレイオフボタン、インプットボタン、チャンネルボタン、メニューボタン、ボリューム、Blu-rayドライブ。この角度が最大の25度
背面。シンプルにまとめられなかなか綺麗だ。スタンドもガッチリしている コネクタ部周辺。地上デジタル入力、BS/110度CS IF入力、Gigabit Ethernet、電源入力、HDMI出力、HDMI入力、ビデオ入力、USB 2.0×3などを装備 上部。電源ボタン、Webボタン、スグつくTVボタン
下部。B-CASカードスロット。大きいスロットがPC用。小さいスロットが「スグつくTV」用と2つ必要になる リモコンはTVアプリ起動ボタン、スグつくTVボタンなど、固有のボタンも用意されている 付属品など。キーボード、マウスはワイヤレスで、裏に電源ON/OFFボタンがある。ACアダプタは結構大型だ

 箱から実機を取り出した第1印象は、液晶一体化PCというより、良い意味で普通の液晶TVっぽい。非常にシンプルでクールなデザイン、-5度〜25度で調節できるV字型スタンドも安定している。

 少し手間取ったのは、電源コネクタとB-CASカードスロットがすぐわからなかったこと。電源コネクタは後ろのスタンド真後ろにあり、スタンドにある丸い穴へケーブルを通して接続する。B-CASカードスロットは、本体下側中央に2スロット。普通サイズの方は、PC側の地上/BS/110度CSデジタルTVチューナ×2用。小さい方は「スグつくTV」用だ。1台のPCに2枚のB-CASカードが必要となる。TVチューナのハードウェアがわかれているので仕方ないかも知れない。

 液晶パネルの映りはまさに「ブラビア」クオリティ。これまで扱ってきた液晶一体化PCとは次元が異なる。視野角は広く、映像は原色がド派手ではなく、非常にナチュラルだ。

 付属のキーボード、マウスは無線式。デザインが統一され、安っぽい感じは一切無い。リモコンも「スグつくTVボタン」など、固有のボタンも用意されている。

 裏側のコネクタは主にいったん接続すると、そのまま固定するであろう、アンテナ、LAN、HDMI入出力、コンポジット入力が配置されている。ただUSB 2.0×3が裏で、USB 3.0×2が左側面になっているのは、個人的には配置が逆なような気もする。つまりUSB 3.0は高速転送が可能なので、外部ストレージなどで使うとすれば据え置き系。逆にUSB 2.0はデジカメやスマートフォンなど、サクッと使って取り外すことが多いので、この配置だと抜き差しが面倒となる。

 独自チップのSound Reality、フルデジタルアンプの「S-Master」など、力の入ったサウンドも正に液晶TVクオリティだ。PCを使っていることを忘れてしまうような音質でパワーも十分ある。

 さて、次に目玉である「スグつくTV」機能を見てみよう。まず、「スグつくTV」はスイッチONでほぼ即時にTVが映り待ち時間が無い。これまでWindows上でTVを観ようとすると、Windowsの起動に時間がかかり、実際観られるようになるには分単位で時間が必要。また何かの拍子でWindowsが落ちると、当然のことながらTVが観れなくなる。スグつくTVではこれが一気に解消されたので、TVを観るだけなら全くストレスが無い。

 「スグつくTV」を視聴中に、リモコンの[TVアプリ起動]ボタンを押すと、バックグラウンドでWindowsがブート、TV視聴用のアプリケーション「Giga Pocket Digital」が、観ていたチャンネルのまま起動し、準備出来次第、自動的に切り替わる。この間約数分必要だが、なかなか面白い仕掛けだ。TVを観ている間にメールなど何か用事ができてWindowsを起動しても、同じ状態を維持できる。

 ちょっと気になったのは、音量までは引き継がれないこと。例えば「スグつくTV」で小音量で観ていて、たまたまWindows側の設定が最大音量になっていると、切り替わった瞬間、ドッと音量は上がってしまう。現在のハードウェアで対応可能か不明であるが、ここまで気を配れば完璧だろう。

●文句無しのパフォーマンス

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium。メモリを共有するIntel HD Graphics 3000は使わず、GeForce 315M(512MB)を搭載しているため4GBまるまる使える。デスクトップは非常にシンプル。後述するランチャーの「VAIO Gate」が常駐している。

 HDDは「WD1001FAES」で、容量は1TB、回転数は7,200rpm、キャッシュは32MB。光学ドライブはBlu-ray Discに対応した「BD-MLT UJ240」。HDDはC:ドライブのみの1パーティションだ。約916GBが割当てられ、初期起動時の空きは882GB。これだけ容量があると、システム用とデータ用で2パーティションの方が扱いやすい気もするが、これは好みの問題だろう。USB 3.0はコントローラとして「Renesas Electronics USB 3.0 Host Controller」が使われていた。

起動時のデスクトップ。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。シンプルなデスクトップだ デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはWD1001FAES。光学ドライブは「BD-MLT UJ240」 C:ドライブ1パーティションで約916GBが割当てられている

 プリインストールされているアプリケーションは、大物系としては、「Microsoft Office Home and Business 2010」、「Adobe Photoshop Elements 9」、「Adobe Premiere Elements 9」。ビジネス、写真や動画の処理が別途ソフトウェアを購入することなく、直ぐに行なうことができる。

 同社製としては、PC内の写真やビデオ、音楽の中からお勧めのコンテンツを表示する「Media Gallery」、PS/3でお馴染みクロスメディアバーを採用したDLNAクライアント「VAIO Media plus」、多彩な機能を持つテレビ「Giga Pocket Digital」、オリジナルランチャー「VAIO Gate」、定期的にPCをチェックする「VAIO Care」、「VAIOナビ」、データ移行をサポートする「VAIOお引越サポート」など。また本体左側部下の[ASSIST]ボタンを押すと「VAIO Care」が起動する仕掛けも入っている。

 そして「WinDVD BD」、「PMB VAIO Edition」、「WebCam Companion」、「Magic-i Visual Effects」、「WebCam Message Board」、「Skype」、「Evernote for VAIO」、「YouPaint」、「筆ぐるめ Ver.18 バンドル版」、「Roxio Easy Media Creator」、「マカフィー・PCセキュリティセンター (60日期間限定版)」など、多種多様だ。

VAIO Gate VAIO Media plus Media Gallery
VAIO Care VAIOナビ VAIOお引越サポート

 今回のタッチパネルモデルでは「Edge Access」と呼ばれる機能もあり、液晶パネルのフチの部分を拡大/縮小(右)、戻る/進む(下)、ロゴのON/OFF(下ロゴの部分)、操作ガイド表示(右下)、アプリケーション起動(左上)、スクリーンキーボードON/OFF(左)などに利用できる便利なものだ。タッチパネルにEdge Accessを併用すると、実にスムーズに操作が行なえる。動画を掲載したので参考にして欲しい。

【動画】Edge Accessの動作

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.1。プロセッサ 7.4、メモリ 7.6、グラフィックス 5.1、ゲーム用グラフィックス 5.9、プライマリハードディスク 5.9。さすがにCore i7プロセッサにGeForce 315Mという構成だけあってスコアは高い。コストとスペースの問題があると思われるが、できればシステム用にSSD、データ用に1TBのHDDとしてバランスを取りたい感じだ。

 CrystalMarkは、ALU 54117、FPU 47883、MEM 45015、HDD 16212、GDI 14735、D2D 6730、OGL 20400。他社製Core i7-2630QM搭載機のIntel HD Graphics 3000の値は、GDI 13289、D2D 1250、OGL 2394。グラフィックスに関しては全てでGeForce 315Mが上回っている。特にOGLは桁違いに速い。これだけのパフォーマンスを誇る液晶一体化PCは数少ないだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 5.1。プロセッサ 7.4、メモリ 7.6、グラフィックス 5.1、ゲーム用グラフィックス 5.9、プライマリハードディスク 5.9 CrystalMarkは、ALU 54117、FPU 47883、MEM 45015、HDD 16212、GDI 14735、D2D 6730、OGL 20400

 以上のように「VAIO L VPCL219FJ/W」は、一見普通の液晶TVに見間違えるほどのデザインにも関わらず、プロセッサはCore i7-2630QMとパワフル、1TBのHDDで容量も十分な上に、「スグつくTV」用チューナーと地上/BS/110度CSデジタルTVチューナが2基の計3基搭載という余裕の設計。加えてタッチパネルやEdge Accessと、最強の液晶一体化PCに仕上がっている。ソフトウェアも同社らしいものが満載だ。

 店頭予想価格は22万円前後と少し高価だが、お洒落で高機能な1台を求めているユーザーにぴったりの逸品と言えよう。