西川和久の不定期コラム

HP「Pavilion g6-1000 Notebook PC」
~15.6型液晶を搭載したハイバリューノートPC



 前回、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の「Pavilion g4-1000 Notebook PC」をご紹介した。今回は、雰囲気はそのままで、液晶パネルが14型から15.6型へと大きくなった同社の「Pavilion g6-1000 Notebook PC」の試用レポートをお届けする。

●シンプルな15.6型ノートPC

 「HP Pavilion g6-1000 Notebook PC」は、「HP G62 Notebook PC」の後継機に相当するモデルだ。チップセットがどちらもIntel HM55 Expressのため、アーキテクチャ的に大きな違いは無く、デザインの変更、若干の軽量化、OSが32bitから64bitへ変わるなどのマイナーチェンジに留まっている。ラインナップは「スタンダードモデル」と「パフォーマンスモデル」の2種類があり、プロセッサ、HDDの容量、Bluetoothの有無などが違いとなる。

 前回掲載した「HP Pavilion g4-1000 Notebook PC」とは、名前からも分かるように、同じシリーズに属し、サイズ以外、共通となっている部分が多い。今回送られて来たのは「パフォーマンスモデル」だ。主な仕様は以下の通り。

【HP Pavilion g6-1000 Notebook PC(パフォーマンスモデル)の仕様】
CPUIntel Core i5-480M(2.66GHz、ビデオ機能内蔵)
チップセットIntel HM55 Express
メモリ2GB(2048MB×1) PC3-10600 DDR3-SDRAM (最大8GB)/2スロット(空1)
HDD500GB(5,400rpm)
OSWindows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックスIntel HD Graphics、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワークEthernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
その他USB 2.0×3、2in1メディアスロット(SDXC対応)、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、Webカメラ
サイズ/重量378×246×30.5~38mm(幅×奥行き×高さ)/約2.32kg
バッテリ駆動時間約4.5時間(6セル)
価格オープンプライス

 この「パフォーマンスモデル」のウェブに掲載されている仕様では、上記の通りであるが、今回届いたのは「メモリ4GB(4GB×1)/Bluetooth 3.0は無し」となっている。

 プロセッサは、Core i5-480M。2コア/4スレッド、2.66GHzでTurbo Boost時 2.933GHzまでクロックが上昇する。Intel 64はもちろんIntel VTにも対応。チップセットはIntel HM55 Expressで、1世代前のアークテクチャだ。メモリは2GB×1。2スロットあり空きが1つで、最大8GBまで。OSは64bit版Windows 7 Home Premiumだ。

 液晶パネルはグレア(光沢)タイプの15.6型で解像度は1,366×768ドット。外部出力はHDMI出力、ミニD-Sub15ピン。それぞれ最大出力解像度は、1,920×1080ドットと2,048x1,536ドットとなる。グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphicsだ。ビデオメモリをメインメモリと共有するタイプで、メモリ2GB時で最大762MB使用する。

 ストレージは、5,400rpmのHDD 500GBと、光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブを搭載している。

 ネットワークは有線LANが100Base-TX/10-Base-T、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。加えてBluetooth 3.0を装備。プロセッサがこのクラスだと有線LANはGbEが欲しいところだ。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×3、2in1メディアスロット(SDXC対応)、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、Webカメラ。このあたりは、レイアウトも含めHP Pavilion g4-1000 Notebook PCと同じ構成になっている。

 本体サイズは、378×246×30.5~38mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.32kg。パネルサイズの分、フットプリントは大きくなっているものの、高さに関しては14型と同じに収まっている。バッテリは6セルで、駆動時間は約4.5時間。

 なお、この構成の価格は出荷前で情報が無く不明だが、「スタンダードモデル」は、プロセッサがCore i3-390M(2.66GHz、ビデオ機能内蔵)、HDD 320GB(5,400rpm)、Bluetooth無しで、店頭予想価格は6万円前後の見込み。パネルサイズとプロセッサなどの組み合わせを考えると安価と言える。

天板は「HP Imprint」テクノロジーを採用したシンプルなシルバー。この写真だけだと「Pavilion g4-1000 Notebook PC」と瓜二つ正面サイドにALTEC LANSINGのステレオスピーカーを搭載ネジ2本外すとパネルが開く。使用機には4GB×1のメモリが入っていた
ミニD-Sub15ピン、Ethernet、HDMI出力、USB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、2in1メディアスロット、HDD/電源LEDキーボードユニットは「Pavilion g4-1000 Notebook PC」と同じものを使用。その分、左右の余白部分が広くなっている右側面。ロックポート、電源、USB 2.0×1、DVDスーパーマルチドライブ
キーピッチの仕様は約19×19mm。実測でも約19mmACアダプタの電源コネクタはミッキータイプ。バッテリは6セルPavilion g4-1000 Notebook PCとの比較。筐体全体の大きさが結構異なることが分かる

 先にHP Pavilion g4-1000 Notebook PCを触っているだけに、箱から出した第一印象は瓜二つ。各コネクタの配置も全く同じ。同じアングルで写真を撮るとどちらがどちらかパッと見では分からない程そっくりだ。

 ただし、カラーバリエーションは、スタンダードモデル、パフォーマンスモデル共に「チャコールグレー」のみで、14型にある「ソノマレッド」は用意されていない。

 天板やパームレストは模様が無いシンプルなグレー。筐体の周囲や素材は違うものの液晶パネルのフチが「チャコールグレー」となっている。ゴチャゴチャしていない分、飽きがこないデザインと言えよう。

 15.6型の液晶パネルは、十分明るく、発色も良い。視野角の特徴は似ており、左右より、上下の方が狭い感じだ。完全にバックライトをOFFにすると、それなりに暗いため、作業をするにはある程度の輝度は必要だろう。

 キーボードユニットは、アイソレーション・タイプではなく、一般的なキーボードで、14型に使われたものと同じだ。従って筐体のサイズが大きい分、左右のスペースが若干広くなっている。キーピッチは19×19mmと余裕があるものの、若干たわむのが惜しい部分。最上段は、再生や起動調整など、機能キーと[Fn]キーとのコンビネーションとなっている。

 タッチパッドはパームレストと一体化しており、タッチパッドの部分だけザラザラしている。タッチパッドの左上の凹みをタップすると、タッチパッドON/OFFの切替となる。ボタンは2ボタン独立式だ。タッチパッドはマルチタッチジェスチャに対応する。

 側面(筐体の正面)左右にあるALTEC LANSINGステレオスピーカーも、14型と同じユニットだとは思われるもので音質の傾向は変わらないが、筐体が少し大きい分、若干低音が出るようになっている。

 とにかく何から何まで14型モデルとそっくりで、大きくなった分、ゆったり操作できる。どちらがいいかは、完全に個人の好みの問題だろう。

●1ランク上のパワー

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。今回の実機はメモリ4GBなので、Intel HD Graphicsとメモリを共有しても3.80GBが使用可能で、余裕がある。ただし、4GB×1で、シングルチャンネル作動となっているため、同じ4GBなら2GB×2でデュアルチャンネル作動とすれば、メモリアクセスが速くなり、更に快適になると思われる。

 HDDは東芝「MK5065GSX」。5,400rpmの500GB。光学ドライブはHP「lightscribe GT31L」が使われていた。この「lightscribe」はあまり国内では馴染みが無いものの、メディアの表面へダイレクトに絵や字を焼き込める仕様だ(対応メディアが必要)。

 HDDのパーティションはC:ドライブに約452GBが割当てられている。初期起動時の空き領域は、約427GBだった。

起動時のデスクトップ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。届いた実機は4GB×1のメモリを搭載デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは東芝「MK5065GSX」。5,400rpmの500GB。光学ドライブはHP「lightscribe GT31L」HDDのパーテーション。C:ドライブは約452GB割当てられている

 インストールされているアプリケーションも、Pavilion g4-1000 Notebook PCと同じで、「HP CloudDrive」、「HP CoolSense」、「HP Documentation」、「HP Power Manager」、「HP Setup Manager」、「HP Support Assistant」、「HP Wireless Assistant」など同社のツール、「Cyberlink DVD Suite」、「ノートン・インターネットセキュリティ2011(60日間試用版)」など。

 画面キャプチャは前回と違うものを用意した。「HP CloudDrive」は、1GB(最大3GB)まで無料で利用できるDropBoxのようなクラウド型のファイル共有システム。公開レベルを設定でき、プライベートの使用はもちろん、友人とも共有可能だ。Mac OS XやiPhoneなど、Windows以外のOSにも対応している。

 「HP CoolSense」は、冷却ファンの動作を最冷モード/パフォーマンス最適化モード/最静モードの3種類設定できる。「HP Documentation」は、表示したいドキュメントのボタンをクリックすると、実際はPDFビューア(Adobe Reader)が起動する。

HP CloudDriveHP CoolSenseHP Documentation

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.0。プロセッサ 6.8、メモリ 5.9、グラフィックス 4.0、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.4。Core i5-480Mだけあって、プロセッサのスコアが高い。Intel HD Graphicsが足を引っ張っている印象を受ける。HDDも5,400rpmなので、若干スコアが低めだ。バランスと取るならグラフィックスとHDDを強化したいところ。

 CrystalMarkは、ALU 36052、FPU 36215、MEM 19663、HDD 7073、GDI 11519、D2D 1759、OGL 2481。同じくプロセッサ関連の値が高い。実際操作すると前回評価したPentium P6200と比較して、(メモリ容量の違いもあるだろうが)かなり快適に操作できる。

 BBenchは、「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果だ。バッテリの残9%で10,547秒(2.9時間)。仕様上は約4.5時間なので、HP Pavilion g4-1000 Notebook PC同様、公称値より短い結果となった。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.0。プロセッサ 6.8、メモリ 5.9、グラフィックス 4.0、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.4
CrystalMark。CrystalMarkは、ALU 36052、FPU 36215、MEM 19663、HDD 7073、GDI 11519、D2D 1759、OGL 2481
BBench。「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残9%で10,547秒(2.9時間)


 以上のようにHP Pavilion g6-1000 Notebook PCは、15.6型の液晶パネルを搭載し、プロセッサにCore i、2スピンドル構成のベーシックなノートPCとなっている。

 Pavilion g4-1000 Notebook PCとの比較では、ローコストでパネルサイズやCPUパワーがもう少し欲しい場合、検討に価する1台だ。