西川和久の不定期コラム

HP「Pavilion g4-1000 Notebook PC」
~14型液晶搭載のオーソドックスな2スピンドル機



 以前に試用記を掲載した「HP Pavilion dm1-3000 Notebook PC」を含む5モデルが日本ヒューレット・パッカード(日本HP)から3月7日に発表された。今回はその中から14型で光学ドライブを搭載するノートPC「HP Pavilion g4-1000 Notebook PC」の量産試作機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。

●オーソドックスな2スピンドルノートPC

 今回ご紹介するHP Pavilion g4-1000 Notebook PCは、ホームモバイルノートPCという位置付けで、HP Directplusモデルと量販店モデルの2種類がある。

 違いは、トップカバーの色、CPU、そしてHDDの容量となり、前者は「チャコールグレー」、Intel Pentium P6200(2.13GHz、ビデオ機能内蔵)またはCore i3-380M(2.53GHz、ビデオ機能内蔵)、250GB(7,200rpm)。後者は「ソノマレッド」、Core i3-390M(2.66GHz、ビデオ機能内蔵)、320GB(5,400rpm)となる。

 今回送られて来たのは、HP DirectplusモデルでIntel Pentium P6200を搭載している最も安価なタイプだ。主な仕様は以下の通り。

【HP Pavilion g4-1000 Notebook PCの仕様】
CPUPentium P6200(2.13GHz、ビデオ機能内蔵)
チップセットIntel HM55 Express
メモリ2GB(2048MB×1) PC3-10600 DDR3-SDRAM (最大8GB)/2スロット(空1)
HDD250GB(7,200rpm)
OSWindows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ14.0型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックスIntel HD Graphics、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワークEthernet、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
その他USB 2.0×3、2in1メディアスロット(SDXC対応)、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、Webカメラ
サイズ/重量345×233×30.5~38mm(幅×奥行き×高さ)/約2.09kg
バッテリ駆動時間約4.75時間(6セル)
価格42,000円(HP Directplus)

 プロセッサは、2コア、クロック2.13GHzのIntel Pentium P6200。Intel 64には対応しているものの、Intel VTやHyper-Threadingには対応していない。チップセットはIntel HM55 Expressで1世代前のアーキテクチャだ。メモリは標準2GB×1の計2GB。スロットは2つあり空き1つ。最大8GBとなっている。OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。

 グラフィックはIntel HD Graphics。14型の液晶ディスプレイを搭載し、解像度は1,366×768ドット。外部ディスプレイ使用時の最大解像度は、ミニD-Sub15ピンは2,048x1,536ドット、HDMI出力は1080p。メインメモリに2GB搭載時、最大762MBを共有する。

 ストレージは7,200rpmの250GB HDD、そしてDVDスーパーマルチドライブを搭載している。

 ネットワークは、有線LANは100Base-TX/10Base-T、無線LANはIEEE 802.11b/g/n。Bluetoothは搭載していない。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×3、2in1メディアスロット(SDXC対応)、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、Webカメラ。

 USB 3.0など特に新しいデバイスも無く、チップセットも含め2010年仕様のノートPCであるが、DVDスーパーマルチドライブを含め必要な機能は一通り揃っており、ライトな普段使いには特に困らないスペックとなっている。

 サイズは345×233×30.5~38mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約2.09kg。バッテリは6セルで、駆動時間は約4.75時間。HP Directplusでの価格は42,000円と、2スピンドルのノートPCとしては結構安い。

トップカバーは「HP Imprint」テクノロジーを採用したシンプルなシルバー。模様は無い正面サイド部分に、ALTEC LANSINGのステレオスピーカーを搭載ネジ2本外せばパネルが開く。メモリスロット1つが空きだ
ミニD-SUB15ピン、Ethernet、HDMI出力、USB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン/ライン出力、2in1メディアスロット、HDD/電源LEDキーボードは、一番上に輝度や音量調整など機能キーを装備。タッチパッド左上の凹みはタッチパッドロックロックポート、電源入力、USB 2.0×1、DVDスーパーマルチドライブ
キーピッチの仕様は約19×19mm。実測でも約19mmACアダプタの電源コネクタはミッキータイプ。バッテリーは6セルだ

 今回届いたのは「チャコールグレー」。トップカバーやパームレストなどは渋めのシルバーだが、ボディのフチなどにこの色が使われている。また液晶パネルの周囲も素材は違うものの、同じくチャコールグレー。トップカバーには模様は無く、全体的にはシンプルなデザインと言えよう(今回ボディには「AMD VISION」のシールが貼ってあるが、これは試作機のため)。

 重量約2.09kgは、カバンに入れて持ち歩くには少し重いものの、主に室内の移動なら全く問題無い範囲だ。実際持った感じは、バランスも良く見た目の割にはスッと持ち上がる。ホームモバイルという謳い文句に偽りはないと言って良い。

 液晶パネルはグレア(光沢)タイプの14型。解像度は1,366×768ドットなので、11型クラスの同解像度パネルと比較して文字などは少し大きめとなる。発色は鮮やか。視野角は左右は広めだが、上下は結構狭い感じだ。パネルは約45度程度まで後ろに傾く。

 キーボードは一般的なタイプでキーピッチは仕様上約19×19mmと、比較的ゆったりしている。ただし、全体的に少したわむのが惜しいところか。最上部は再生/停止/音量調整などの機能キーが割当てられている。通常のファンクションキーは[fn]キーとの組み合わせだ。

 パームレストとタッチパッドは段差が無く、タッチパッドのエリアは表面がザラザラしている。マルチタッチジェスチャ対応。ボタンは2ボタン方式。左右完全に分離して少し硬めだが、直感的に操作できる。左上の凹みは、タッチパッドのON/OFFスイッチで、ONの時、上にあるLEDが消灯、OFFの時には点灯する。

 振動や騒音、熱は、若干筐体に余裕がある分、うまく処理されているようで、特に気になることは無かった。

 パームレストの側面(ボディの正面)左右にALTEC LANSINGステレオスピーカーがあり、SRS Premium Soundを使って音質などを調整可能だ。音質は中高域が透き通った感じで、これまであまり聞いたことが無いサウンド。出力も十分あり、動画や音楽などを十分に楽しむことができる。

●普段使いには十分なパワー

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。Intel HDグラフィックスとメモリを共有しているため、メモリ2GBの場合、空き容量は1.86GBになっている。メモリスロットに1つ空があり、できれば+2GBで計4GBとして運用すれば、更に快適になることが予想される。HDDは250GB/7,200rpmの「HTS723225A7A364」。DVDスーパーマルチドライブの型番は「TS-L633R」。

 パーティションはC:ドライブに約221GBが割当てられている。初期起動時に空きエリアは約201GBだ。

起動時のデスクトップ。スッキリしている。OSは64bit版Windows 7 Home Premiumデバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはHTS723225A7A364。7,200rpmの250GB、キャッシュ 16MBのモデル。光学ドライブはTS-L633RHDDのパーテーション。C:ドライブは約221GB割当てられている

 インストールされているアプリケーションは、「HP CloudDrive」、「HP CoolSense」、「HP Documentation」、「HP Power Manager」、「HP Setup Manager」、「HP Support Assistant」、「HP Wireless Assistant」など同社のツール、「Cyberlink DVD Suite」、「ノートン・インターネットセキュリティ2011(60日間試用版)」など。

 「Synaptics TouchPad」は、2本指でのスクロール、つまみズーム、回転、3本指で押す、3本指で弾くなど、複数の指によるジェスチャーにも対応している。

 「SRS Premium Sound」は、リスニング環境で音楽/音声/映画のプリセットを選んだり、各パラメータを好みに応じて調整も可能だ。

Synaptics TouchPadSRS Premium SoundCyberlink DVD Suite

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.0。プロセッサ 5.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.0、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.9。プロセッサがエントリーレベルのPentium P6200とは言え、Atomプロセッサを搭載したネットブックなどと比較すると、かなりパワーがあることがわかる。またスコアに極端な凹凸も無く、全体的にバランスが取れている。

 CrystalMarkは、ALU 19991、FPU 18505、MEM 17144、HDD 9584、GDI 8967、D2D 1363、OGL 1849。OGLはあまり速くないものの、3Dのゲームなどをしない限り、実用上問題は無いだろう。

 BBenchは、「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでの結果だ。バッテリの残10%で9,660秒(約2.7時間)。スペックよりは結構短い値となった。念のため同じ条件で再度テストしたが、バッテリの残8%で10,079秒(2.8時間)と、ほとんど値は変わらなかったので、これが実性能のようだ。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.0。プロセッサ 5.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.0、ゲーム用グラフィックス 5.2、プライマリハードディスク 5.9
CrystalMarkは、ALU 19991、FPU 18505、MEM 17144、HDD 9584、GDI 8967、D2D 1363、OGL 1849
BBench。「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残10%で9,660秒(2.7時間)


 以上のように「HP Pavilion g4-1000 Notebook PC」は、2スピンドルで14型のHD液晶ディスプレイ、一通りのインターフェイスを備えた、オーソドックスな構成だ。またプロセッサがIntel Pentium P6200のモデルは42,000円と安価。ゲームなどせず、必要十分な性能で、手軽に使える2スピンドルノートPCを探している人は検討してみてはいかがだろうか。