西川和久の不定期コラム

コンパクトで3万円台のA4カラーレーザープリンタ!
エプソン「LP-S510」



エプソン「LP-S510」

 A4カラーレーザープリンタは、現在低価格化が進んでおり、実売で3〜4万円台の製品が主流になっている。そのような中、エプソンとしては初めてこの価格帯の市場に製品を投入した。量産試作機が届いたので早速使用レポートをお届けしたい。


●A4対応で39,980円のカラーレーザープリンタ

 同社の2010年度のページプリンタの方針の1つは「個々のプリンタでのコスト削減」となっている。ただこの件、印刷量が少ないユーザーはプリンタ本体が安いのを好み、ヘビーユーザーはランニングコスト優先だ。従って双方を解決するには本体価格が安く、大容量カートリッジでページ単価を下げる、もしくは低価格トナーが必要となる。

 これに対応すべくA3対応の「LP-S7100」と、A4対応の「LP-S510」が発表された。今回ご紹介する安価でコンパクトな「LP-S510」の特徴は以下の通り。

【表】エプソン LP-S510の主な仕様
プリント方式 半導体レーザービーム走査+乾式一成分電子写真方式
解像度 600dpi(600×600dpi)、1,200×600dpi
プリント速度 カラー:5ppm(A4)、モノクロ:19ppm(A4)
ウォームアップ カラー:22sec(A4)、モノクロ:13sec(A4)
CPU/メモリ RISC CPU(80MHz)/16MB
インターフェイス USB 2.0(High Speed)
給紙方法 トレイ1(多目的トレイ)
用紙サイズ トレイ1(多目的トレイ):A4〜A5、ハガキ(注2)、不定形紙
給紙容量 トレイ1(多目的トレイ):200枚(ハガキ/ラベル紙/レターヘッド:50枚、封筒:10枚)
消費電力 最大(注15):970W以下、レディ時:平均140W、印刷時:カラー平均約400W/モノクロ平均約440W、スリープモード(節電時):平均14W
稼動音 レディー時:29dB(A)以下 、稼働時:51dB(A)以下
サイズ/重量 404×380×275mm(幅×奥行き×高さ)/14.5kg

 LP-S510の特徴としては、低価格でデスクサイドにぴったりのコンパクトさ、Sサイズトナー、フルフロントアクセス、そして購入時に既にトナーカートリッジ・感光体が設定済みで即使えるなどがあげられる。

 まず価格は39,980円。冒頭に書いたボリュームゾーンにマッチする。サイズは404×380×275mm(幅×奥行き×高さ)、底面積は0.15平方mと結構小さく、デスクサイドを占有することなく置くことができる。同社によると、A4カラーページプリンタとしては国内最小クラスと言うこと(2010年5月11日現在)。一般的なOAデスクのサイズを考えると約1/3内に設置可能だ。

 トナーはMサイズ(2,700枚対応)が標準となっているものの、ブラック以外のシアン/マゼンタ/イエローの3色はSサイズ(1,600枚対応)も用意している。モノクロ印刷が主な場合は、このSサイズがあるとコストを抑えられるので嬉しいところだ。標準価格はMサイズ13,100円〜14,400円、対してSサイズは8,500円と安価に設定。ランニングコストは、同社のHPによるとカラーで18.6円/A4一枚、モノクロで4.2円/A4一枚となっている。ただ安いとは言え、一式交換するとほぼ本体価格に相当する。インクジェットプリンタと同様、消耗品で利益を出す戦略なのだろう。

 カラーレーザープリンタは、購入後、箱から出し、実際印刷が可能になるまで、トナーなどあれこれ設定が必要になり、非常に面倒なのだが、LP-S510は全てセットアップ済みの状態で出荷されているので、箱から取り出しスイッチONで即使用可能。これならハードウェアが苦手なユーザーばかりの事務所でも安心だ。

 なお、プリンティングシステムは新開発の「Offirio Printing System」。コマンド体系は非公開となっているが、印刷速度の向上に一役買っている。ただし、両面印刷にはオプションを含めて対応しないのは残念な部分だ。

フロント。給紙トレイ、排紙トレイを閉めた状態だと非常にシンプルで凸凹がなく、デスク上でも邪魔にならない 右側面。電源スイッチとUSBポート。無線/有線LANは非対応 背面は電源コネクタのみ
左側面。この面には何もない。定規からわかるように、最上部で約27cmとなる 給紙トレイ。A4の普通紙で最大200枚 トナー。上の[トナー回転]ボタンを押すことにより、回転し各色がセットできる
上カバーを開けたところ。ここは通常紙詰まりでもしない限り開けることはない 排紙トレイ。ここから紙が出てくるので、デスクの上だけでなく、下に置いても扱い易そうだ 各トナー切れを示すステータスランプなどがある

 箱から取り出す時、コンパクトなので1人で持ち上げること自体は問題無いが、重量が14.5kgとそれなりに重く、ちょっと注意が必要だ。また机に置いて、そのままズルズル位置を変更するのはゴム足の跡が付いてしまいあまりお勧めできない。出来れば持ち上げたまま位置を調整した方が良い。

全てのパネルがフロントから操作できる

 この点以外は特に気になる部分も無く、電源ケーブルを接続、PCからUSBケーブルを接続、ドライバの設定を行なえば、あっと言う間にスタンバイとなる。また、給紙トレイ、排紙トレイ、上カバーなど各パネルを開けてみると、全部がフロントアクセスになっている。これならどこに設置しても扱いは楽そうだ。


●セットアップ/ソフトウェア

 ハードウェアのセットアップは先に書いたように、トナーなど設定済みで出荷されているので、何もすることは無い。使用するPCへドライバをインストールするだけの作業となる。この点は、インクジェットプリンタの初期セットアップで各色のインクカートリッジを順に入れていく手間を考えると楽だ。

 対応しているOSは、Windows 7(32bit/64bit)、Windows Server 2008、Windows Vista(32bit/64bit)、Windows XP、Windows XP x64 Edition、Windows Server 2003、Windows Server 2003 x64 Edition、Windows 2000と、Windows系はほぼ網羅している。ただし、Mac OS Xに対応していないのが残念な点と言えよう。

 テスト環境は、64bit版のWindows 7 Home Premiumを使っている。詳細は各画面キャプチャを参考にして欲しいが、無線LANなどの機能が無く、純粋なUSB接続のプリンタなので特に難しい部分は無い。

セットアップ開始 モデルの選択 接続ポートを設定
プリンタ名設定 USBに接続しプリンタ検出 「デバイスとプリンター」に追加された

●使用感

 仕様によると、プリント速度は、カラーで5ppm(A4)、モノクロで19ppm(A4)。ウォームアップはカラーで22秒(A4)、モノクロで13秒(A4)となっている。このクラスとしては十分な速度で、特にウォームアップに必要な時間もこの程度ならイライラせずに済む。

 稼動音は待機時29dB以下 、稼働時は51dB以下となっている。実際、待機時は、直ぐ横で作業していても全く気にならないレベルだ。とは言え、印刷が始まるとやはりうるさく、例えば自宅で深夜使うには躊躇してしまう音量。オフィス内なら許容範囲となるだろうか。速度や稼動音に関しては動画を参考にして頂ければと思う。

【動画】PDFを印刷。ドライバの設定は全てデフォルト(カラー)。PDFは1〜2枚目にカラーデータあり、3〜4枚目はモノクロのみ

 プリンタドライバの設定は、基本設定、レイアウト、フォーム、スタンプ、画像品質と、かなり詳細に行なうことができる。画像品質は標準がカラーになっているので、モノクロが主な場合は注意が必要だ。スタンプは「部外秘」や「ドラフト」などの文字を印刷時にスタンプする。アプリケーション側で合成する必要もなく、有効活用すれば便利だろう。

 いずれにしてもUSB接続のみの単純なプリンタと言うこともあり、設定に関しては難しい部分は無く、逆に言えば、誰でも簡単に扱える構成になっている。

印刷設定/基本設定 印刷設定/レイアウト 印刷設定/フォーム
印刷設定/スタンプ 印刷設定/画像品質 印刷設定/バージョン

 カラーを含むドキュメントのプリントクオリティは文句無し。以前顔料インクを使うインクジェットプリンタをこの連載で扱ったが、文字の輪郭や濃さなどはさすがレーザーが勝っている。また写真をプリントしても用紙が普通紙と言うことを考慮するとなかなかのもの。ただインクジェットプリンタとは違い、写真専用紙を使って更にクオリティをアップできるわけではないので、普通紙での画質がある意味限界。あくまでも普通紙ならばの条件付きだ。

 PCへの負荷は、使用したマシンが、デュアルコアAtom+ION、メモリ2GBのマシンと、決して速い環境ではないものの、ドライバのレンダリング効率がいいのか、PDFそして写真(Nikon D2Xのデータ)共に重い雰囲気は全く無かった。

PDFを印刷。部外秘スタンプ付き 写真を印刷。普通紙のプリントだと考えるとなかなか※どちらも実際は裏向き(フェイスダウン)で出てくる

 LP-S510は、トナーの残量目安や各印刷の進行状況をPC側で確認できるソフトウェア、「リモートパネルプログラム」も用意されている。画面キャプチャからも分かるように、本体のステータスより詳細なレポートを表示するので、メンテナンスに役に立つ。

 ただ気になるのは、画面キャプチャからわかるように、そっけないパネルでレーザープリンタ専門用語も多く、一般的なユーザーは何を意味しているのかよく理解できないと思われる。例えば各単語にマウスオーバーするとポップアップヘルプを表示するなどの工夫が欲しい。

リモートパネルのセットアップ リモートパネルプログラム/パネル リモートパネルプログラム/調整

 以上のように、LP-S510は安価でコンパクト、フルフロントアクセスと、非常に扱いやすいカラーレーザープリンタだ。近年進化したインクジェットプリンタもこの印刷速度には追いつけない。

 ただ、両面印刷にはオプションを含めて対応しない、消耗品が安価とは言えそれなりに高価なのは、ランニングコストを考えると気になるところだが、オフィスにA4カラーレーザープリンタの導入を考えているユーザーにとっては、選択肢が増えたことになるだろう。