モバイラーが憧れた名機を今風に蘇らせる

第5回

NEC「mobio NX MB12C/UD」

〜PC-9800の呪縛を脱したNECが放つLibretto対抗モデル

mobio NX

 1996年に東芝が発表した「Libretto 20」は、PC業界にミニノートという新たなジャンルを切り拓き、瞬く間に人気を博した。それを日本の最大手PCメーカーNECが、ただ指を咥えて見ていることはなかった。Librettoの対抗として投入したモデルが、今回ご紹介する「mobio NX」シリーズである。

 今回入手したmobio NXは、DSTN液晶を搭載した「MB12C/UD」という、もっとも初期のモデル。発売日は1997年11月14日で、当時の希望小売価格は248,000円だった。

幻のミニノート

 mobio NXは、Librettoほど“華々しく”デビューしたわけではない。mobio NXは1997年10月23日に発表された機種だが、これを投入した同年の夏まで、「PC-9800」シリーズという独自アーキテクチャを貫いてきた。9月に入り、次期PC基本仕様「PC 98」に準拠する「PC98-NX」シリーズの開発を発表、そして10月にそのPC98-NXシリーズ26機種を一斉に正式発表した。

 mobio NXはそのPC98-NXシリーズの一環として投入された製品であり、「NECがミニノートを発売する」ことよりも、「NECが(ほぼ)DOS/Vと互換性のあるPCをシリーズとして投入する」ことにフォーカスが当てられたように思う。

対抗とされるLibretto 60

 筆者は当時、特別にLibrettoの動向を追っていたわけではないのだが、今でもLibrettoの改造情報が記されたホームページが多数見つかることから、mobio NX投入時には、既にLibrettoユーザーのコミュニティがかなり形成さていたように思う。本体サイズはLibrettoとほぼ同じで、キーボードもLibretto 60までの機種と同じ。しかし(初期モデルの)液晶がDSTNだったわけで、Librettoユーザーから見れば“劣化クローン”として扱われても仕方がないかもしれない。

 そんなわけで、mobio NXは2代目から液晶をTFTに変更、そして3代目でCPUを高速化してマイナーチェンジを図ったものの、結局Librettoの牙城を崩せず、わずか2回のモデルチェンジで終息してしまった。そんなわけで絶対数も少なく、ヤフオクにもなかなか出回らない、言わば幻のモデルである。

 筆者は当時、mobio NXに憧れていた。前回このコラムで述べた通り、筆者はLibrettoの登場に驚いたものの、Librettoの存在を知っていた頃には、mobio NXも出ていた。当時筆者は本当にNECが好きで、小学校の卒業文集に“将来の夢はNECの社員になる”と書いたほどだ(笑)。ミニノートの元祖はLibrettoだと認めるが、買うならmobio NXの方かな、と思ったわけだ。

 それから、1996年10月頃だったと記憶しているが、筆者の中学校の社会勉強の一環として、NECの社員が学校に訪れたことがある。約30分間、NECの最先端の技術開発について紹介されたのだが、最後の質疑応答の時間で、筆者はその方に「NECはいつDOS/V互換機を作るのですか?」という質問を投げかけたことがある。「市場のニーズを見て然るべき時期に投入します」という答えをもらったと記憶しているが、あの質問から1年でまさか本当に投入するとは、筆者も鳥肌が立ったものだ。

しかしLibrettoにはなかった工夫も

 mobio NXの対抗はもちろん「Libretto 60」であった。とは言え、東芝もNECのmobio NX発表後すぐに、Libretto 60の後継となる「Libretto 70」を発表し、mobio NX発売に3日先んじて出荷し、対抗したのだが、mobio NXにはLibretto 70ですらない特徴を備えていた。

 1つはOnNow(レジューム)機能の搭載だ。Librettoはハイバーネーション機能を備えていたものの、ハイバーネーションでは復帰時にHDDからメモリへの読み出しが必要なため、どうしても時間がかかってしまう。一方OnNowはメモリの内容を保持したままなので、ハイバーネーションよりはるか高速に復帰できる。長時間の移動には不向きだが、仕事場から電車で移動する際にちょっとだけしまう場合などには便利で、mobio NXの機動性はLibrettoより高い。

 もう1つは底面にマグネシウム合金の筐体を採用した点。今となってはなんら珍しいことではないのだが、当時はプラスチックが主流だったので、なかなか画期的だった。そして何よりマグネシウム合金の筐体により、堅牢性と軽量性を両立化でき、28.5mmという薄さと、Windows 95搭載PCとしては当時業界最軽量の790gを実現したのであった。

mobio NXの標準の状態では、Libretto 60の大容量バッテリ装着時よりもフットプリントが大きい
ただしマグネシウム合金を一部採用することにより、薄型化を実現している
マグネシウム合金によるケース。剛性が高く、耐久性に優れている

 ただしmobio NXには残念な点もある。NECのPC98-NXシリーズは、IntelやMicrosoftと協業し、PC/ATの発展形として規定したPC97/PC98ハードウェアデザインガイドにいち早く準拠し、レガシーを廃して、PCIスロットやCardBus、USBなど当時の最新インターフェイスを盛り込んだのがウリだったのだが、mobio NXには残念ながらこれらの特徴は一切ない。つまり、PC98-NXながらPC98-NXではない製品だったのだ(ただし、チップセットのバスは32bitで間違いない)。

 使い勝手の面でLibrettoと大きく異なるのはポインティングデバイス。Librettoは液晶側に親指で操作する「リブポイント」を採用していたのだが、mobio NXはキーボードの下部にスティック型ポインティングデバイスを備えている。これはLibrettoがバッテリをパームレストに持ってきたのに対し、mobio NXはバッテリを液晶の背面に回したことで、実装するスペースを稼いだからだ。

 スティックもスペースバーより下に配置されているので、さすがにThinkPadのようにホームポジションを維持したまま操作できるほど便利なわけではないのだが、少なくともLibrettoよりは移動量が少なくなる。ちなみに、mobio NXはリブポイントに相当する部分には大きく電源ボタンが用意されていて、Librettoに慣れると何度も電源ボタンを押しそうになる。

Libretto 60とほぼ同じ配置のキーボード。スペースバーの手前にはスティック型のポインティングデバイス
リブポイントの位置に電源ボタン。間違えて電源を落としてしまうことが何度か……
液晶の明るさやコントラスト、ボリュームはキーボードから調節できる。これはLibretto 60にはなく、便利だ
天板には誇らしげにWindows 95ロゴをプリント
バッテリが後部に装着されているためやや出っ張る。また、このためLibrettoとは異なり液晶を180度まで倒すことができない
シャープさと緩やかなカーブという両面性を持つエッジ。すごく手に馴染む

本気で高性能をモバイルできるマシン

 1997年と言えばIntelが高性能プロセッサ「Pentium II」を発売した年である。しかし当時Pentium IIの採用はデスクトップに留まり、モバイルではまだMMX Pentiumが主流だった。本機は、MMX Pentiumとしては一番低いクロックと思われる120MHz駆動モデルが搭載されている。それでも無印のPentiumと比較してMMXユニットが追加されたり、L1キャッシュが増量されたりと、幾分性能が向上しており、Windows 9x系のOS使用は快適である。

 また、Librettoとは異なり、標準で32MB(アプリケーションなしモデルは16MB)のメモリを搭載し、最大80MB(16MBを取り外して64MBメモリを装着)まで拡張できるのも特徴だ。Libretto 60/70ともに標準で16MB、最大で32MBだったので、このアドバンテージは非常に大きい。しかも、このメモリはSO-DIMMタイプのEDO DRAMだったので、サードパーティ製が充実していた。

 ボード上を見ると、PCI to ISAブリッジのOPTi製「FireStar Plus」が目立つ。とは言え本機は32bitバスをベースとしており、IDEもPCI接続となっている。このためこのチップはPCカードと後述するオーディオチップ用だろう。

分解の手順はLibrettoと同様、まずは底面のネジを外す
キーボード上部のカバーをこじ開け、ネジを外す
キーボードを取り払う
手前2カ所、左右1カ所ずつの爪を外し、ケーブルを外せば内部にアクセスできる
ここまでくれば、ヒートシンクの中央のネジを外すだけで本体からマザーボードを取り外しできる
MMX Pentium 120MHz
メモリはSamsung製の「KM416V1004BT-L6」
基板の背面にもメモリを装着する
OPTiのPCI to ISAブリッジ「FireStar Plus」

 ビデオチップはNeoMagicの「MagicGraph 128ZV(NM2093B)」で、これは当時のモバイルノートではかなりの定番だった。というのも、このチップはPCI接続なだけでなく、ビデオメモリを内包しているため、実装フットプリントを縮小できるからである。ちなみに当時それほど半導体に詳しくなかった筆者は、「MagicGraph 128ということは128bitグラフィックスエンジンで(これは当たり)、NVIDIAのRIVA 128相当の性能を持つのか!(これは大外れ)」と、まんまとマーケティングネームに踊らされて期待していた。

 サウンドチップはESSの“AudioDrive”「ES1869S」で、これも当時有名なメーカーである。ISA接続ではあるが、48kHzまでのサンプリングレートをサポートし、16bitのADC/DACを内蔵するなど、なかなか高性能であった。加えて、ESFMミュージックシンセサイザーと呼ばれるFM音源を内蔵し、ヤマハの「OPL3」とレジスタ互換でスーパーセットとして動作。さらに、独自の「Spatializer VBX」技術により、2スピーカーで仮想3Dサウンド環境を構築できるなど、なかなかユニークである。

 このほか、PCカードコントローラにCirrus Logicの「CL-PD6710-VC-B」を採用する点、メモリにSamusngの「KM416V1004BT-L6」を採用する点、BIOSのマスクROMに三菱製の「M38813M4」を採用する点などが挙げられるが、そのほか多数の東芝製チップやNEC製チップは、今現在ではネット上にデータシートが残っておらず、用途は不明である。

 全体的に基板はコンパクトであり、部品実装も高密度である。CPUにはヒートシンクが備えられているものの、ファンは備えておらず、低発熱ぶりが伺える。Librettoと比較すると部品の高さが低く、実装密度も高い。これが本体の薄型化に貢献しているのだろう。

ビデオチップ「MagicGraph 128ZV(NM2093B)」。ちなみに、NeoMagicは今もなおビジネスを続けている、息の長い会社だ
ESSのオーディオチップ“AudioDrive”「ES1869S」
三菱製のチップ。装着位置からして、バッテリ充電および電源回路の制御に使われているのではないかと想像される
Maxim製のノートPC向け電源コントローラ「MAX1631EAI」
電源回路は裏面に実装されており、なかなか信頼性が高そうな部品で構成されている
ROHM製ヘッドフォンオペアンプ「BA7787FS」
そのほか、型番で検索してもなかなか出てこないチップが多く搭載されている
PCカードスロット
HDDはケーブルで接続される。HDDはIBMの「DDLA-21620」
基板とHDDは綺麗に横並びで収められており、これも薄型化に貢献している
発熱が大きい部品には熱伝導シールが貼られており、キーボードに逃すようになっている
メモリスロットは底面からアクセスでき、最大64MBのメモリを装着可能
ポートリプリケータ用のコネクタはLibrettoのそれと似ている

欲しかったので2台購入

 今回はまず1台(以下:壱号機)購入した。落札価格は3,530円だ。ACアダプタなし/本体のみ/天板割れのジャンク品である。

 天板がパッキリ割れていたので、正直液晶にダメージが行っていたらショックだったのだが、どうやら無事のようだ。その一方で、天板だけでなく側面も割れていて、これはちょっと直しにくそうである。そして何よりACアダプタがないのを何とかしなければならない。

天板が欠損しており、スピーカーが見えてしまっている
説明にはなかったが、側面も欠損していた

 本コラムは一応月1回のペースで更新しているのだが、実は2014年後半からずっとmobio NXの出品を探していた。ところがなかなか出て来ず、出てきたと思ったら最終的に落札価格が15,000円以上に跳ね上がるなど、そう容易に手が出せなかった。そんなわけで損傷があると言えども3,500円で落札できたのは、ラッキーだったと言えるだろう。

 ところが、このmobio NXの修復について考えていた3月の中旬に、もう1台(以下:弐号機)出品されていることを見つける。こちらは外部の損傷がない上、ポートリプリケータやACアダプタ、さらに専用のFDDからシリアルケーブルまで付属したものであった。こちらはやや高い4,321円だが、落札できた。

 弐号機は一応電源は入るものの、HDDのデータは完全に消去されており、OSが入っていない状態であった。これはまず何かOSを入れるところから始めないといけない。そして、電源を入れるのは問題ないが、直後に再起動をかけると、なぜか外部出力に画像は出るものの、内蔵液晶には何も表示されない。しばらく放置すると直るので、ますます謎だ。とは言え、最悪、先に購入したマシンとニコイチにできれば良しとしよう。

もう1台は保存状態がなかなか良かった
これがオリジナルのACアダプタ。コンパクトで可搬性が高い
弐号機に付属していたFDD。今時フロッピーディスクを探す方が大変だ
付属するリプリケータ。左右のピンをプッシュして回転させるとワンタッチで固定できる
PS/2×2、FDDポート、シリアルポート、パラレルポート、ミニD-Sub15ピンを備える

“魔改造”を考案する

 先述の通り、壱号機を先に入手したので、まずはACアダプタの問題を解決しようと思う。ところが、秋葉原のジャンク屋を回っても、なかなかプラグが合う15VのACアダプタが見つからない。

 ところが、富士通ノートPC用の16VのACアダプタなら、プラグ形状が全く一緒で、綺麗にハマる。一般的にPCは、ACアダプタから入力された電圧を各デバイスに直接供給するわけではなく、DC/DCコンバータを介して各デバイスに必要な電圧まで落とす。「DC/DCコンバータの電源回路にとって1Vぐらいなら誤差の範囲だろう……」と思い、勇気を出して電源ボタンを押してみると……普通に起動した。

 これは筆者が手持ちのmobio NXで試した結果であり、仕組みも筆者の推測であるので、全てのノートに通用する保証はない。もし試される場合は、自己責任の上で試していただきたい。しかしこうした方法もあることは、いざという時覚えておいても損はないだろう。

 天板の割れは、ドライバで高さを揃えた上で、MSIからノベルティとして頂いた「GAMING SERIES」ロゴのプレートを貼ってみる。普通、ノートPCの天板にシールを貼るのは“ダサい”が、これが意外とスタイリッシュだった。このマシンでゲームはまったくやらないが、会社名が入っていないので、まあセーフだろう。

 側面の割れについては、残念ながら今のところ解決策を見出していない。粘土やパテで埋めてもいいが、塗装までを含めるとかなりの手間だ。ニコイチこれについては後述する。ちなみに、壱号機にはOSとしてWindows 98がインストールされていた。本機の標準OSはWindows 95なので、アップグレードされたようだ。メモリも最大の80MBとなっていたため、しっかり使われていたことだろう。

富士通の16V ACアダプタ「FMV-AC308」が利用できた。これはLOOX T5/53Wに付属していたもの(あぁ、予定している機種を教えちゃった)
MSIから頂いたエンブレムを貼ってみる。金属感が増し、これはこれでアリ
粘土で埋めてみたが、塗装ができないためイマイチだ。パテで対応しないと

 さて次は弐号機である。とりあえず、本機はOEM版のWindows 95 OSR 2.1以降でないと動作しないので、Windows 98をインストールしても良かったのだが、それでは芸がないので、タスクマネージャのグラフと独特の起動音に憧れた(それだけ)あの頃の気持ちを思い出しながら、Windows NT 4.0のインストールにチャレンジすることにする。

 ディスクはさすがにHDDでは窮屈なので、CF化を図りたいところだが、実は今回購入したCFは、Libretto 60復活記事と同じTranscendの133x品だったものの、mobio NXのBIOSから見えなかった。色々調べていくうちに分かったのだが、CFにはPCカード互換で動作するモードと、IDE互換で動作する「TrueIDE」モードがあるらしい。そしてどうやらTranscendとしては、TureIDEを正式サポートするのは組み込み向けCFのみで、コンシューマ向けは特に謳われていない。そんなわけで、Libretto 60がCFを認識したのは、たまたま運が良かっただけだったのだ。

 ところが組み込み向けCFは高価である上、入手性もよくない。「どうにかならないか……」と秋葉原を彷徨っていたところ、SDカードからCFに変換するアダプタ「MT-CFSD」を発見した。謳い文句として、お目当てのTrue IDEモードのサポートに加え、Class 10やUHS-Iへの対応、さらにはWi-Fi SDカードへの対応までが含まれている。

 これなら、PQIの「Air Card」と組み合わせれば、安価で入手しやすいmicroSDカードをストレージとして使える上、外部から無線LAN経由でAir CardにFTPにアップロードでき、さらに色々使い方が広がるわけだ。

CLASS 10/UHS-Iへの対応や、Wi-Fi SDカードへの対応、さらにお目当てのTrueIDEモードへの対応が謳われており、なかなか。もう6代目と謳われているので、信頼性は悪くないだろう
変換、変換、そしてまた変換だっ!

 今回も楽をしたいので、“偉大なる”VMWareの力を借りることにしよう。まずはWVWare上でWindows 98のシステムを構築。起動時にF8キーを押して、Safe mode command prompt onlyを選ぶ。それからfdiskで領域を確保し、formatでディスクを初期化、その後sysコマンドでDOSを起動できる状態にする。それからホストのWindowsに戻り、DISKPARTコマンドでパーティションをアクティブにして、Windows NT 4.0のCD-ROMから\I386のフォルダをまるごとmicroSDにコピーする。なお、起動しない場合は、FDISK前にDISKPARTで該当のディスクを選んで、CLEANコマンドを実行すると良い。

 それから、このmicroSDをPQI Air→SD-CF変換アダプタ→CF-2.5インチIDE変換アダプタを介して、mobio NXと接続。DOSが起動したら、カレントディレクトリを\I386に移動し、winnt /bとセットアップを開始すれば良い。

 ……はずだったのだが、どうもこれがうまくいかない。再起動すると、カーソルが点滅したまま、ブートローダに入る前に止まってしまうのだ。この状態でストレージをVMWareにマウントすると起動するので、MBRが壊れているということはないようだが、BIOSをアップデートしてみたものの、やはり起動しなかった。標準の1.6GBのHDDでもダメだったので、BIOSがブートローダに対応していないか何かが問題だろう。

Windows 98の起動時にF8キーを押して、コマンドプロンプトを起動する
FDISKでフォーマットする。というのも、Windows 7でリムーバブルディスクをパーティションで区切ってフォーマットできず、8GBもあるメディアだとWindows NT 4.0が対応しているFAT16が使えなくなるため
大容量ディスクのサポートをオフにすれば、2,047MBのパーティションが作成できる
続いてDドライブをフォーマットする
sysコマンドでシステムを転送する
ホストのOSに戻り、DISKPARTコマンドでmicroSDのプライマリパーティションをアクティブに設定する
\I386フォルダをmicroSDにコピーしたら、mobio NXに装着する。起動したら、まずはlock C:コマンドでダイレクトディスクアクセスをオンにする。これを設定しておかないと、インストーラで弾かれる
後はwinnt /bコマンドでWindows NT 4.0のセットアップを開始する

 Web上の有志の情報を見る限り、Windows NT 4.0のセットアップは特に問題なく行なえるようなので、なぜ筆者の環境だけダメなのか、謎である。いずれにしても、今回はここで時間切れとなってしまった(まあ、締め切りを自分で設定しなければ、いくらでもチャレンジする時間があるのだが)。InterLink XPと同じく宿題を作ってしまったのだが、インストールできた暁には、また紹介することにしたい。

 とりあえず、Windows 98の環境を構築したのだが、今回使用したmicroSDは品質が悪いのか、ファイルのエラーが多発して安定して動作しない。これも信頼性の高いmicroSDを購入してから再度チャレンジすることにしたい。ちなみに、Air Cardの動作は問題なかった。Wi-Fiをオンにするには、エクスプローラなどからC:\DCIM\199_WIFIに保存されている「Wsd00001.jpg」を削除すれば良い。PQI Air Cardの“遊び方”については、有志サイトを参照されたいが、とにかく使い方が広がりそうだ。

 そんなわけで、ニコイチも考えていたのだが、壱号機の基板を、調子が悪い弐号機の基板と交換しても、液晶の表示が異常になったりする。そこでせめてフレームだけ交換を、とも思ったのだが、どうやってフレームと液晶を分離させるのか、分からなかった。そんなわけで、このプロジェクトも失敗に終わった。

DSTN液晶をどう活用する?

取材のメモ用には使えるだろうから、Libretto L2の代わりに持ち歩いてみるとしよう

 さて、実用のパート……であるが、今回はトラブルシューティング大会で期限となってしまったため、実戦投入に至っていない。とは言え、これまでこのコラムではほぼゲーム用としてしまっていたので、その反省(?)を活かして、壱号機はおとなしくWordやExcelやロータスオーガナイザーでオフィスっぽく使うことにしたい。弐号機については、Linuxなど別のOSも考慮したいところだ。

 先述の通り、今回入手したmobio NXはDSTN液晶のモデルである。今の時代となっては残像だらけのDSTNなんてレア中のレアだ。見やすいようにコントラストを変えなければならないし、マウスポインタもしょっちゅう見失うので、黒くて大きいポインタにして軌跡を表示させるなど、工夫しなければならない。

 それでもテキストベースの操作ではほぼ問題ないし、筆者は過去にNTTドコモの「シグマリオン」である程度DSTN液晶に慣れていたし、何よりDSTNの古臭い“味”がまた好きなのである。そんなわけで、もし弐号機を復活させたとしても、テキストベースの利用が中心となりそうだ。

 宿題は、まずWindows NT 4.0をインストールする。それから高速なmicroSDに変えてみる。そしてどうしてもダメなら、もう1台買う、辺りだろうか。後、どうやらこの機種は簡単にオーバークロックできるようなので、これも試してみたいところだ。

後半年早く登場していたら恵まれていたかもしれない

mobioがPC-9800シリーズとして登場していたら、評価は大きく変わっていただろう

 Librettoの牙城を崩せず、わずか2回のモデルチェンジで消滅したmobio NXシリーズ。その後ソニーが「バイオC1(PCG-C1)」を投入し、ミニノート市場で一定の地位を獲得することに成功したのだが、そう思うとあまり注目されなかったmobio NXが可哀相だ。編集部内でmobio NXを数人に「これっすよこれ、俺はLibrettoじゃなくってこっちが欲しかったんですよ!」と嬉しそうに見せても、「あぁ……(知らんがな)」の反応で終わってしまう。

 マグネシウムのケースやOnNow機構など、モバイラーに求められる要素はかなり充実していると思うのだが、“PC98-NXシリーズ全体の一環としてmobio NXを用意しました”程度の位置付けになってしまったのが惜しまれる。

 そんなわけで、本機は後半年早く……つまりPC-9800シリーズとしてリリースされていたら、評価は大きく変わるのではないだろうかと思う。まあ、当時NECとしてはさすがにPC98-NXの開発を始めていただろうから、新フォームファクタをPC-9800シリーズで投入するという考えはなかっただろうが、少なくとも「PC-9800の資産を引き継げる最小のマシン」として登場していたら、市場、特に中古市場、そして現在の評価は大きく変わるのではないかと思う。

 ちなみに当時Windows 95搭載モバイル最軽量の790gを実現したmobio NXだが、今となっては13.3型の「LaVie Hybrid Zero」の方が軽いぐらい(最軽量モデルは779g)だ。NECはこれまでもいくつか軽さを追求したモバイル機をリリースしてきたが、約18年間、技術の進化でここまで軽量化できるようになるとは、なかなか感慨深いものがある。

【表】購入と復活にかかった費用(送料/税込み)
mobio NX(壱号機) 3,530円
mobio NX(弐号機) 4,321円
MT-CFSD 1,460円
PQI Air Card 2,980円
CFIDE-441IA 565円
合計 12,856円

(劉 尭)