Windows 7製品版が開発者向けにいよいよ配布開始
〜製品版はRC版より動作が軽快に



 米Microsoftは6日(現地時間)、開発完了を宣言していたWindows 7製品版を、同社の「MSDN」および「TechNet Plus」からダウンロード可能にした。公開されたのは英語版の全エディション、マルチランゲージパック、Windows Automated Installation Kit(オプション入力無しで自動的にインストールが進むインストールイメージを作成するツール)やドライバ開発キットなど。マルチランゲージパックには日本語も含まれている。OSのビルド番号は7600だ。

 マルチランゲージパックをインストールすることで、日本語版相当の環境を整えることが可能で、ある程度の評価を進めることができる。そこで本稿ではそのファーストインプレッションをお届けする。なお、日本語版のWindows 7は同サイトに8月15日に掲載される予定だ。

●RC版よりも使用メモリが減少
Windows 7製品版の画面写真

 元々、ベータ版として公開された頃から、非常に安定している上にメモリ消費が少なくパフォーマンスも良いと評されてきたWindows 7だけに、製品版になったからといって劇的なパフォーマンスの向上が見られるわけではない。ユーザーインターフェイスにも、大きな変更は行なわれていないようだ。

 筆者はThinkPad X300にインストールしてみたが、問題なくインストールされた後、インターネットに接続されると、ThinkPad PMデバイス、Intel GMA950などのドライバと一部機能の最新版が自動的にダウンロードされた。Bluetoothや無線LANを含め、デバイスマネージャ上にドライバがインストールされない不明なデバイスは存在しない。

 起動直後に他プログラムを動かさない状況での動作プロセス数は34個、コミットチャージ(動作中プログラムが要求しているメモリの合計)は日本語ランゲージパックインストール後、MS-IMEが動作している状態で546MB。Windows Vistaよりは確実に軽いのはもちろん、Windows 7 RC版よりもかなり少なくなっている(インストール先の構成によっても異なるが、筆者の手元ではRC版起動直後の使用メモリは790〜800MB程度だった)。なお、Windows 7 Ultimate製品版をクリーンインストールした直後のストレージ使用量は10.7GBだった。

インストール直後のメモリ使用量

 もっとも、使用メモリは少なくなっているものの、体感できるほどの違いはX300では感じられなかった。メモリを2GB搭載しているHP mini 1000でも同様だが、メモリを1GBに減らした場合(ネットブックの標準的なメモリ構成)では、多少、軽量化されていることを感じられる。公開から間がないため、詳細なテストは行なえていないが、ベンチマークテストはともかく、非力なAtom搭載機での動作を含め、動作が軽量という感覚は、さらに製品版で磨き込まれたように思える。また、Aero Glassのエフェクト描画もパフォーマンスが上がっているようだ。これらは低性能なPC(もちろん、Aero Glassが有効になる環境でなければ意味がないが)ほど、チューニングによるパフォーマンス向上を実感できるはずだ。

 マルチランゲージバックから日本語パックをインストールし、コントロールパネルの言語オプションでシステムロケール、表示形式、入力キーボードなどを日本語(あるいは日本)に変更して再起動。さらに“ようこそ画面”などの表示言語も日本語に設定してもう一度再起動させると、ログインプロセスなども含めて日本語環境に変更できる。なお、システムロケールを日本語に変更しないと、Unicode非対応の一部アプリケーションが文字化けを起こすので、試せる環境を持っているユーザーは注意してほしい(ランゲージパックをインストールしても、システムロケールは英語のままなので、手動で切り替える必要がある)。もちろん、日本語版ならばこうしたノウハウは必要ない。

 このほか、一部のAPIの拡張やサポートデバイスの拡大も図られているようだが、表向きにはさほど大きな違いは見られない。しかしビルド番号の進行からも解るとおり、最後の追い込みで細かな部分での完成度向上が図られていると考えられる。

●Windows 7とSnow Leopard、アップデートコンセプトの違い、再び

 以前にもこの連載の中で、極めて近い時期にリリースされる2つのOSについて、同じOSの新バージョンでも、その位置付けや意味が異なると書いたが、リリース時期が近付くにつれて、同じ質問を尋ねられることが多くなった。

 Windows 7とSnow Leopard(次期Mac OS X)は、アップデートのコンセプトだけで言えば真逆と言える。どちらのアプローチが正しい、正しくないという話ではなく、現在、置かれている立場が異なるからだ。

 Windows 7は、OSの中核部分を含む大幅改修を行なったWindows Vistaを徹底的に磨き上げたOSだ。Vistaでは改修の範囲も規模も非常に大きなものだったため、細かなチューニングや機能の整理、実装の善し悪しなどを充分に検討するだけの時間がなかった。実際、VistaはSP1で大幅に改善が施され、SP2で大きな安定度とパフォーマンスの向上を果たしている。Windows 7ではVistaをチューニングするとともに、ネットブックなど低パフォーマンスなパソコンも含め、幅広いパフォーマンスレンジのコンピュータに対して、より良い動作を行なえるよう再調整。さらにAero Glassによるデスクトップ描写のプロセスを見直し、最適なパフォーマンスが得られるように使用を改良している。

 これに対してSnow Leopardは、これまであまり手を付けられなかった過去からのしがらみを捨て去ることに力を入れている。たとえばSnow LeopardではPowerPCがサポートされない。このため、実行バイナリからはPowerPC用のプログラムコードがバッサリとなくなり、結果的にLeopardからSnow Leopardへとアップデートすると、HDD空き容量が大幅に増えるという現象が起きる。

 また従来はMac OS Xの機能を最大限に活かせるCocoaでプログラムされていなかったFinder(Mac OS Xにおけるシェル。Windows Explorerのようなもの)などがCocoaで書き直されており、過去からのしがらみをここでも断っている(Finderはこれまで、旧Mac OSからMac OS Xへの移行用APIであるCarbonを使っていた)。

 さらにCPUコア数の増加に対し、スレッドのCPUコアへの割り当てやI/Oデバイスの割り当てといった、スケジューリングを中央集権的に一括して行なうようになり、マルチコアプロセッサを利用した際のパフォーマンスも大きく向上させる。特に4コア以上の環境では大きなパフォーマンス向上が得られるだろう。

 このようにSnow Leopardは、見た目は従来とはあまり変わらない(実際には全く同じではなく、改善されている点も少なくない)。しかし、その中身は全く別モノで、新しい時代、次の10年を支えるための改善点が施されている。

 もっとも、両者に共通する点もある。それは、両者とも前OSより明確に”軽い”ということだ。開発の経緯も、リリースの意味合いも異なる両者だが、高性能化、軽量化、それに低パフォーマンスPC時の使用感といった点を重視しているのは同じだ。

 どちらも良好なパフォーマンスを発揮する優れたリリースになりそうだ。Windows Vista対応、特にHome Premium以上に対応していたPCならば、そのまま上書きインストールを行なうだけでも、確実に動作感の向上を見込めると思う。

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(2009年 8月 7日)

[Text by 本田 雅一]

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