後藤弘茂のWeekly海外ニュース

Microsoftが45nm版GPU統合型CPU搭載のXbox 360を発表



●ついに登場した45nmプロセス版のXbox 360
従来の65nm版Xbox 360と同じ価格で投入

 Microsoftは、ついに45nmプロセス版のXbox 360を発表した。45nmプロセスに移行させるだけでなく、CPUとGPUを統合してワンチップにした。FUSION型の統合チップにすることで、電力消費を下げ、筐体のスリム化を果たした。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のPLAYSTATION 3(PS3)は、昨年(2009年)夏に45nmプロセス化によるスリム化を果たしており、Xbox 360も追いついた。

 Microsoftは、米ロサンゼルスで開催されている「E3(Electronic Entertainment Expo)」に合わせたプレスカンファレンス(6月14日)で新Xbox 360を発表した。今年(2010年)はXbox発売からちょうど10年目に当たり、Microsoftは節目の年としての変革を強調した。変革の1つが新ヒューマン−マシンインターフェイス(HMI)「Kinect(キネクト)」であり、ハードウェア面での変革が45nm版のスリムXbox 360だった。

 45nm版の「Xbox 360 250GB」は、内蔵HDD容量を250GBに拡張、IEEE 802.11n無線LANをビルトイン(Ethernetもあり)とハードウェア面でもアップグレードされた。また、Kinectのセンサーのための専用ポート(実態は電力供給を拡張したUSB)を備える。価格は据え置きで29,800円。米国では今週末から、日本では6月24日から発売される。

●45nmでは1チップに統合しなければならなかった

 MicrosoftがSCEより45nm化で遅れたのは、同社がチップを45nm化するだけでなく、これまで個別チップだったCPUとGPUを1チップに統合しなければならなかったからだ。Microsoftのアーキテクチャの場合、45nmのチップでは個別チップにすることができず、統合チップにする必要があった。超広帯域のビデオメモリeDRAMとの超広配線を行なうために、ロジックチップ側にある程度のダイサイズ(半導体本体の面積)が必要になるからだ。チップ上に配線パッドを確保するために、一定のエッジ長を確保する必要がある。つまり、Xbox 360のアーキテクチャ上の最大の利点である、超広帯域のeDRAMメモリが、微細化の障壁になっていた。

 そのために、Xbox 360の45nm化では設計作業が多くなり、開発はやや遅れた。Valhalla(ヴァルハラ)というコードネームで知られていた45nm版CPU+GPUマザーボードは、もともと昨年中に投入されると言われていた。結局、Microsoftは45nmプロセスではSCEに1年弱遅れを取ったが、今回、成就できた。電源容量は135Wへと減少し、筐体は小型軽量化し、静音化も果たした。外付けのAC電源も小型軽量化した。

 ゲームコンソールでは、プロセッサの消費電力が大きいため、プロセッサの省電力化は大きな影響を与える。また、プロセスが進むにつれてチップ個数を減らせるようになることも設計に影響を与える。まず、冷却機構やマザーボードを小型化することで、筐体を小さくすることが容易になる。プロセスが成熟するにつれてチップの製造コストが下がるために、将来的にはマシン価格の引き下げも可能になる。

 また、排熱が容易になると、筐体内への空気流入のための開口部を減らすことができるため、EMI対策のコストを下げ、静音化を図ることも容易になる。マザーボード設計の自由度も増える。こうした諸々の要素が絡んで、コスト削減が可能になる。

 Microsoftのカンファレンスでは、Xbox担当のDon Mattrick氏(Senior Vice President, Microsoft)が、現行の65nm版Xbox 360の筐体の中から新45nm版Xbox 360を引き出すという仕掛けで、45nm版の筐体の小ささをアピールした。

新Xbox 360を旧Xbox 360の筐体から引き出すDon Mattrick氏Microsoft) 電源容量は135Wに減少

●簡易になった廃熱機構

 今回発表された新Xbox 360の筐体カラーは黒のみ。従来は変更可能だったフェイスプレートの変更もなくなった。これは、ホワイト系でどちらかというとカジュアルな雰囲気で売ろうとしていた路線から、ブラック系でハードコアゲーマー寄りの路線へと戻ったような印象を受ける。筐体に合わせてコントローラなど周辺デバイスの色とデザインも若干変更になった。

 廃熱は、横置きの場合は筐体の左右から吸い込み上面についたファンで上方に排気する。ファンはこの1つのみで、騒音は大幅に軽減された。旧Xbox 360と同様に筐体にはカーブがついているため、上面に何かを置いた場合も排気が取りやすくなっている。縦置きの場合は筐体の上下から吸い込み、右側面に排気。この場合、下面からの吸気は充分にできない場合があると推測されるが、それでも充分なマージンを取っていると推測される。

 従来は筐体上面に外付けだったHDDは、筐体の内部に移動された。ただし、カートリッジ式になっており、簡単に着脱ができる点は旧モデルと変わらない。従来と同様、HDDは専用カートリッジ品のみのサポートで、旧マシンからのデータ移行には移行キットが必要となる。

新Xbox 360と周辺デバイス。左がKinectセンサー 背面には新たにS/PDIFポートがついたほか、Kinect専用のポートもついた。USBは前面に2つ背面に3つの合計5つ。HDMIは標準装備 泉水敬氏(執行役常務、ホーム&エンターテイメント事業本部長、マイクロソフト)
新Xbox 360の外箱 開けたところ 本体を取り出したところ
上部にファンとスリット 横置きの状態 背面