勝又 楓Presents ガールズ ガジェ活♪

配信するならきっと欲しくなるSteinbergのレコーディング全部セット(後編)

~Cubase 9でアカペラのマルチトラック録音に挑戦

※全編は動画でご覧ください

藤本: ここからは、先ほど話に出たアカペラに関して、付属の「Cubase 9 AI」を使って試してみたいと思います。市販のCubase 9 Elementsは約1万円するけど、ほぼそれと同じ機能を持ったAIがこの「Steinberg UR22mkII Recording Pack」には付属します。

: これだけついて、3万円前後なんですね。

若杉: 別々に買うと、たぶん5~6万円くらいします。

藤本: で、何をするかなんですが、楓ちゃん、いきなりアカペラやっちゃえる?(笑)

若杉: そこはぜひ歌ってもらいましょう。ガジェ活はいろんなことに挑戦する企画ですから。何歌いましょう?(笑)

: 「かえるのうた」くらいですか?

藤本: テンポはお任せしちゃうんで、歌ってみてください。

※トラック1録音終了

藤本: では、それに重ねて、2つ目のトラックを入れますね。

: これ、たとえばなんですけど。下ハモを若杉さんにとかお願いできます?

若杉: えっ!? この歌の下のキーがわからない(笑)。

: さっきは、ちょっとキーが低すぎたなと思って(笑)。

藤本: まぁ、輪唱だから、同じキーで行っちゃいましょう(笑)。

※トラック2録音終了

藤本: これでもう、重ね録りされたので、輪唱をきちんと再生できます。ただ、これじゃちょっと寂しいかなぁという気もするので、ここにリバーブをかけてみますね。

: いわゆるエコーですね。

若杉: いま藤本さんは、FXチャンネルという、エフェクトをかける専用のトラックを作って、2つのトラックに同時にエフェクトをかけようとしてるんですね。エフェクトは個別にかけることもできるけど、FXチャネルを使うと一括して同じものをかけることができます。

若杉: たぶん、Cubaseは楓ちゃんのような初心者には難しそうなイメージがあると思います。

: そうですね。私が実際にボイスサンプルとかを作ったときに、果たしてひとりでできるのか?(笑)。

若杉: とりあえず今回はそういうことができるよ、っていうのを知ってもらうのが目的なので。

藤本: 最初はリバーブをかけないで歌ってもらったけど、リバーブをリアルタイムでかけながらモニターすることもできます。この状態だと、もっと気持ちよく歌えますよね。そして、かかっているのは、この場で聞くためのリバーブなんで、ちょっと深すぎるよって言う場合は、あとから減らすこともいくらでもできます。

Bluetooth MIDIキーボードを使って、あとからピアノを録るなんてことも

藤本: そして、ここにピアノをあとから入れるといったこともできます。

: しかも本格的な音がするんですね。あとからピアノの音を入れるにはどうすればいいんですか?

藤本: やりかたはいろいろあって、リアルタイムで鍵盤をクリックしてもいいし、ステップ入力で音符を1つずつ入力してもいいし、あとはMIDIキーボードをUSBでつないで弾いて入力することもできます。MIDIキーボードは安いものなら2千円くらいからあります。

若杉: UR22mkIIには、MIDI入力もあるので、MIDI機器を直接つなげますね。

藤本: もちろん。ただ、若杉さんみたいに古い人ならMIDI入出力を持ったキーボードを持ってるかもしれないけど、いま売ってるものはUSB接続が一般的ですね(笑)。あとは、Bluetoothでつなげるキーボードも出ています。1万円しないくらいです。

若杉: 遅延は気にならないんですか?

藤本: ほぼ気にならないです。もちろん若干の遅延はあるけど、ほぼわからないレベルです。

: 遅延って何ですか?

藤本: キーを押してから音が出るまでの遅れのことです。そして、BluetoothキーボードはMac、iPhone、iPadにもつながります。

若杉: iPadについて言うと、このUR22mkII Recording Packには、iPad用の音楽編集ソフトもついているんですよね。

藤本: 「Cubasis」というCubaseと大体同じ機能のソフトが使えます。

: 私、iPad miniなら持ってるんですけど。

藤本: iPad miniでも大丈夫です。その場合は、Lightning USB-3 カメラアダプタを使って、UR22mkIIのUSBにつなげば使えます。

若杉: 若干簡易的にはなるけど、PCがない人でも使えるわけです。

: そのソフトも入っているわけですか?

藤本: ダウンロードして使います。誰でも無料でダウンロードできるけど、そのままだとデモモードでしか動かないんですね。ところが、UR22mkIIにつなぐと、制限が解除されるんです。

若杉: そうなってるんですね。アクティベーションコードの入力とかはいらないと。

UIが変わったCubase 9

藤本: ちなみに僕はこのインプレスの隣にあるリットーミュージックからCubaseの分厚い解説書も出版しています。初めての人がすぐ使いこなせるほど簡単ではないけど、やろうと思えばいろんなことができます。

: もし困ったら、その本を読めばいいわけですね。

若杉: 僕も買いました。ただ、1つ前のCubase 8のやつですが。

藤本: 9のはいま書いているところです(笑)。

若杉: 8と9の大きな違いは何なんでしょう?

藤本: 1つはUIが大きく変わってます。たとえば先ほど使ったピアノゾーンは、8だとウインドウや全面表示になってましたが、9ではそれに加え、下ゾーンにぴったり収納される形でも表示されます。

 それから、AIには確か搭載されていないと思うんですが、サンプラートラック機能が追加されました。これを使うと、たとえば先ほど歌ったかえるのうたのパートを音源にできるんですね。で、キーボードを弾くと、それに合わせて音程が変わります。ちなみに、9から32bit版はなくなりました。

録音時のノイズ対策について

若杉: あともう1つ聞きたいのが、今回使ったコンデンサマイクは音が良く録れる反面、環境ノイズも拾ってしまいますよね。自宅で録音してると、車が走る音とか、エアコンの音とか。そういうノイズを消したいときにうまくやる方法はあるんでしょうか。

藤本: 基本的にはノイズをあとから取るというのは止めた方がいいです。極力ノイズが入らないように環境を整えるべきですね。ノイズが乗ってしまった場合はどうするか? まず、しゃべる前や歌う前に入ったものはトリミングでカットできますね。そこさえカットすると、声にダブって入ってしまったノイズはそこまで気にならないんです。

 あとは録り方として、なるべく音量を最適化して録ることです。さっきはコンプレッサーをかけて、小さい音を持ち上げたけど、そうすると小さい音に合わせて、背後の小さいノイズも増幅されるので、ノイズが目立ちやすくなります。そうならないよう、音が割れないレベルでなるべく大きい音量で録ると、S(信号)とN(ノイズ)、つまりS/N比を改善できるわけです。

 それから、リハーサルをして、サビの部分などピークを超えてしまう場所がないかを確認し、超える場合は少しだけ入力レベルを下げてやります。

若杉: まとめたいと思います。Cubase 9については、それだけで分厚い解説書がかけるほど多機能なわけですが、ひとまず楓ちゃんの場合は、このキットを使ってボイスサンプルを自宅で作成したら、そのまま相手に渡してもいいし、やろうと思えば、自分でノーマライズとコンプレッサーだけなら、ワンタッチでできて、いい具合のサンプルができますね。どうですか?

: 8割買う気でいますね(笑)。一緒に、藤本さんの解説書も買いたいと思います。

若杉: それもいいけど、これを機に「これわかんないんですけど」って藤本さんにメールすれば、原稿が行き詰まってなければ、さくっと返事をくれるかもしれません(笑)。

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勝又 楓

MC・タレント。平成5年生まれ。静岡県出身。 学生時代の朗読経験とミスコン出場の経験を経て、MC・タレントとして活動中。 最近の夢は、スマートフォンを2台持ちすること。

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藤本 健