井上繁樹の最新通信機器事情
バッファロー「EasyStation for Backup BK441Dシリーズ」
~バックアップ特化の簡単シンプルなネットワークHDD
(2015/2/27 06:00)
「EasyStation for Backup」はWindowsのユーザーフォルダのバックアップに特化したネットワークHDDだ。USBメモリを使ったほぼ1本道の操作手順のおかげで、忘れにくくしばらくぶりの復旧作業でも迷わず操作できる簡単さがポイントだ。
概要
「EasyStation for Backup」はバックアップに特化したネットワークHDDである。搭載容量が8TB(2TB×4)のモデルと4TB(1TB×4)の2つのモデルがラインナップされている。接続端子は1Gbpsの有線LANポート、USB 3.0×2(前面と背面に1つずつ)、USB 2.0を搭載している。USBポートは専用アプリのセットアップ用USBメモリ作成とUPSとの接続に使用する。
4台のHDDはXFS形式でフォーマットされていて、RAID 5形式でRAIDアレイを構築している。初期化後の空き容量は4TBモデルの場合で約2.7TBだった。RAID 5ということで、HDDが故障した場合同時に1台までなら交換して復旧できる。交換用のHDDとしてバッファローは「OP-HD/LS」シリーズを販売している。
機能は至ってシンプルで、できることは、専用アプリでのユーザーフォルダ以下のファイルの自動バックアップと復元、Web UIでのRAID再構築や初期化など設定変更だ。バックアップ内容はエクスプローラーでは表示されず、専用アプリを復元モードで起動した場合のみ確認できる。NASのように「フォルダを作成してLAN内でファイルを共有する」といったことは一切できず、バックアップに特化した仕様だ。
本体サイズは177×227×127.5mm(幅×奥行き×高さ)、本体重量は5.4kg、最大消費電力は90Wとなっている。正面側はプラスチックパーツで、ストレージを出し入れするための、取り外し可能な前面カバーが装着されている。正面以外は金属パーツで天面と側面を覆うカバーはマットな黒の塗装仕上げだ。底面には本体を支えるゴム足が4つ貼られている。
バックアップと復元
バックアップは、同梱のUSBメモリから「Backup Navigator」をインストールすることで行なえる。対応OSはWindows 7/8.1。Windows 8には対応していない。インストールが完了するとBackup Navigatorは常駐して定期的にユーザーフォルダのファイルをEasyStation for Backup側にバックアップ保存する。
バックアップ内容についてだが、テンポラリファイル、パブリックフォルダ、Windowsが参照するユーザー固有情報ファイル、システムファイル、使用中のファイル、オフラインファイルなどは保存されない。バックアップは複数台のPCに対応していて、Backup Navigatorインストール時に設定する名前で区別する。推奨台数は8台まで。
復元する際は「デスクトップ」、「ダウンロード」、「ドキュメント」、「ピクチャ」、「ビデオ」、「ミュージック」フォルダの内容をまとめて復元できる。それ以外のフォルダやファイルについては、ユーザーが必要なファイルを選んでコピーする「手動での復元」となる。
復元にもBackup Navigatorを使う。バックアップ時同様、USBメモリから起動すると、「インストール」ボタンのあるダイアログが表示されるので、最初のうちは戸惑うかもしれない。次に表示されるダイアログで「復元」を選んで、さらにその次のダイアログで復元元のバックアップ選んで復元作業を行なう。
なお、USBメモリは通常同梱されているものを使えばいいが、本体正面のUSB 3.0ポートに空きUSBメモリを挿して同じ内容のものを作ることができる。なお、この時空きUSBメモリの内容は初期化される。
初期化やIPアドレス、時刻の設定はWeb UIで
システムの初期化や、保存内容の消去、IPアドレスの固定割り当て、時刻、UPS連動などの設定はWeb UIの管理画面で行なう。管理画面はバッファローが公式サイトで公開している「NAS Navigator2」を使うと簡単に開ける。ちなみに、NAS Navigator2を使わなくても、IPアドレスさえ分かっていればブラウザで開ける。
ファームウェアのアップデートはインターネット経由で自動で行なわれる。そのため、インターネットとの接続環境は必須だ。ログはテキスト形式で、ブラウザ上で開かれる。システムログとファイル操作(SMB)ログの2種類あるが、どちらも解釈には専門的知識が必要なもので、どちらかと言うとトラブル対応の際に有用なものだ。実際使うことになるのはBackup Navigatorのタスクバーアイコンから開けるHTML形式のものだろう。
まとめと感想
管理者不要の簡単さをセールスポイントにしてるだけあって非常に分かりやすい製品だ。ハードウェア的にはNASと言ってよいのだろうが、NASのように自由にファイルにアクセスできないバックアップ特化の仕様な分、リスク軽減にもなっているところがポイントだろうか。
バックアップにも復元にも同じUSBメモリからアプリを起動して使う仕様は最初のうちは違和感があるが、長大に伸びたメニューの中からお目当てのアプリを探す手間が無い分わかりやすいかもしれない。さらに、USBメモリを無くしても手持ちの空きUSBメモリで即代用できる点は安心感があっていい。
それから、本文では触れなかったが、動作音は低域寄りでやや気になると言ったところ。静かな部屋で使う場合は、静粛性の確保とファイルの安全性の向上のためにもケースに収納して使う方が良いだろう。
少し気になったのは、OneDriveを始めとするクラウドストレージのフォルダの扱いだ。同じユーザーアカウントでノートとデスクトップ、最近ではタブレットも加わって、3台以上複数台持ちしているユーザーも珍しくない。EasyStation for Backupでは重複していても保存されるので、その分容量が無駄に使われることになる。場合によっては容量節約のためにクラウドストレージの保存フォルダをユーザーフォルダから移動するなどの工夫が必要かもしれない。