井上繁樹の最新通信機器事情

バッファロー創立40周年記念の無線ルーター「WXR-2533DHP/40A」

〜本体色レッド、選別個体を使用、5GHz帯アンテナゲイン向上、メモリを1GBに倍増

バッファローの40周年記念モデル「WXR-2533DHP/40A」

 今や自宅でインターネットと言えば無線LANが当たり前だが、バッファローはその無線LANに対応した機器を国内で黎明期から世に送り出してきた老舗だ。そのバッファローが創立40周年を記念した特別仕様の「赤い」無線LANルーターを数量限定で発売する。

概要

 バッファローは創立40周年を記念して、無線LANルーターのフラグシップモデル「WXR-2533DHP」の数量限定特別仕様モデルを発売する。わずか40台の数量限定で、取り扱いはバッファローダイレクトのみとなる。通常モデルとの違いは、本体前面(Rの付いた面)が和食器のような落ち着いた赤で塗装されていること、選別された優良個体を使っていること、W56(5.6GHz帯)のアンテナゲインを向上させていること、メモリが通常の512MBから1GBに倍増されていることだ。

内箱には40周年記念モデルであることを示す印刷がされた金地のシール。「MELCO」はバッファローの以前の社名で現在のグループ名
箱を開くと40周年記念モデルであることを示すカードが入っている
40周年記念モデルとなるWXR-2533DHP/40A本体。同梱のスタンドを使って縦置きにしている。Rの付いた前面が赤く塗装されている
スタンドを外して横置きにした状態。4つのゴム足で設置している
前面のランプ。ランプの色は白だが銀シールの下に配置されているので眩しくない。左からPOWER、WIRELESS、INTERNET、ROUTER
底面側から見たところ。前面に加えて、底面にもメーカー名が刻印されている
前面の右下隅には40周年記念モデルであることを示す金のプレートが貼られている
天面。排気口と4つのアンテナ端子が並ぶ
同梱のアンテナは最大90度曲げ、360度回転が可能
背面。吸排気口、ゴムの4つ足、壁掛け時に釘等を引っ掛けるための穴、銀のセットアップカードなど
セットアップカード表面は銀色
裏面にSSIDや暗号化キー、QRコードが印刷されている
正面から見て右側にはGigabit Ethernet×4、WAN×1、電源ボタン、AC端子
正面から見て左側には、上からAOSSボタン、GUESTボタン、MODE切り替えスイッチ、USB機器用のEJECTボタン、USB 3.0×2
同梱物一覧。冊子類、アンテナ、縦置き用スタンド、ACアダプタ、LANケーブル(1本)

 無線LAN部分は5GHz帯の接続速度が最大1,733Mbps、2.4GHz帯は最大800Mbpsで、機器の設置状況に合わせて通信品質を向上させるビームフォーミングや、複数台の機器との同時通信を可能にするMU-MIMOに対応している。有線LAN部分は全て1Gbps対応となっており、WANポートを1つ、Gigabit Ethernetポートを4つ搭載している。

 SSIDは5GHz帯、2.4GHz帯ともに2つずつで、それとは別に利用時間を1時間単位で設定可能な来客者向けのSSIDが利用できるゲストポート機能を搭載している。

 USB 3.0ポートを2つ搭載しており、USB接続のストレージやカードリーダを接続できる。セルフパワーのUSB Hubを使えばポートの増設も可能だ。接続したストレージはLAN内の共有フォルダとして利用できる。

 本体の大きさは316×57×161(幅×奥行き×高さ)mm、重量は900g。4本の外付けアンテナを装備している。専用のスタンドを装着しての縦置き以外に、本体背面の2つの穴を利用した壁掛けができるほか、背面にある4つのゴム足を使いアンテナの向きを90度曲げることで横置きにも対応する。

 Webブラウザからアクセスできる管理画面は、PC向けに加えスマートフォンなど画面の小さな機器に合わせたものも用意されている。AndroidやiOSを搭載したスマートフォン/タブレット向けのアプリとしては、接続設定を行なう「AOSS」、「QRsetup」や、LAN内のバッファロー製無線LANルーターを探し出して管理画面まで誘導する「StationRadar」がある。アプリは全て無料で各アプリストアで入手できる。

詳細

 管理画面はブラウザベースで、初期設定の際接続すると自動的にリダイレクトされる。また、PCやMacであれば専用アプリの「エアステーション設定ツール」で、スマートフォンやタブレットであれば専用アプリの「AOSS」や「QRsetup」で、アドレスや暗号化キーを手入力することなくログインページまでたどり着ける。もちろん「ipconfig」などを使ってIPアドレスを調べてブラウザで直接ログインページを開くこともできる。

PC版の管理画面
Webブラウザで開いたログイン画面
ログイン後に開く管理画面ホーム
無線LAN設定。使用頻度の高い設定項目が並ぶ。歯車ボタンをクリックすれば詳細設定画面を開ける
USBストレージ設定。ファイル共有機能は初期状態では有効になっているのでUSBストレージを接続すればすぐ使える。使わない場合オフにしてリソースを節約できる
デバイスコントロール。接続機器をアイコンで表示。アイコンは8種類から選択可。有害サイトブロック機能のオン/オフ、WoLなど
スマートフォン向けの管理画面
Android版StationRadar。LAN内のルーターを探し出す
StationRadarから管理画面へのログインページを開いた状態
スマートフォン向けのコンパクトな管理画面トップ。PC向けとレイアウトは異なるが機能は同じ
トップ画面左上の「↓」の付いたアイコンをクリックするとマニュアルページへジャンプする
無線LAN設定。こちらもPC向けとレイアウトは違うがやはり機能は同じ
ゲストポート設定。スマートフォンやケータイからでも機能のオン/オフや設定の変更ができる
デバイスコントロール。スマートフォン向けは各機器が縦一列表示になる
デバイスコントロールで各機器をクリックすると開く設定。アイコンの変更、有害サイト機能のオン/オフなどができる

 今まで使っていた無線LANルーターがAOSS対応であれば「無線引っ越し機能」を使うことでSSIDや暗号化キーを引き継ぐことができる。今まで接続していた機器の設定を変更しなくて済むので、接続機器が多い時には便利な機能だ。

 動作モードはルーター、アクセスポイント、ワイヤレスブリッジの3種類だ。ワイヤレスブリッジモードでは有線LAN機器を無線化するいわゆるイーサネットコンバータとして、あるいは電波の到達距離を伸ばす中継機としても使える。WXR-2533DHPは最速レベルの無線LANルーターであると同時に、現状最速レベルの無線LAN子機でもある。

 セキュリティ系の機能は管理画面トップで簡単にオン/オフできるNorton ConnectSafeが簡単で使いやすい。有害サイトへのアクセスをフィルタリングする機能で、接続端末ごとにオン/オフもできる。また、ファイヤウォールやMACアドレス指定の接続制限も搭載しているほか、管理画面へのアクセスを「有線」、「無線」、「インターネット側」の3つの回線種別ごとに制限できる。

 接続したUSBストレージは4パーティションまで、USBカードリーダは4ドライブまで認識可能だ。対応しているファイルシステムはFAT12/16/32/EXT4で、FAT32かEXT4形式でのフォーマットもできる。

ベンチマーク

 速度の測定には2台のPCを使った。1台目(サーバー)を常時有線LANで「WXR-2533DHP 40周年記念モデル」に繋ぎ、2台目(クライアント)をIEEE 802.11ac、11n、有線LANの3種類の環境で繋いでその速度を測定した。測定に使用したソフトはiperf 3.0.11(以降「iperf」)とCrystalDiskMark 5.1.1(以降「CDM」)の2種類だ。

 iperfによる速度の測定は、サーバー側ではサーバーモードで、クライアント側ではクライアントモードでそれぞれiperfを動作させて行なった。CDMによる速度の測定は、サーバー側のRAMDISKを共有フォルダ化して、クライアント側のネットワークドライブとしてマウントしたものを使った。

 2台のPCについてだが、OSはサーバー側がUbuntu 14.04.3、クライアント側がWindows 10。CPUはCore i5、メモリは8GB、ストレージがSSDである点は共通で、クライアント側には無線LAN子機としてASUS「PCE-AC68」を搭載している。

【表1】iperf3による速度測定結果(Mbps)
1000Base-T 11ac-1.3Gbps 11n-600Mbps
送信 941 296 203
受信 935 298 175

11ac-1.3Gbps接続時のiperf3ログ(SEND)

$ iperf3 -c 192.168.11.7
Connecting to host 192.168.11.7, port 5201
[ 4] local 192.168.11.8 port 62674 connected to 192.168.11.7 port 5201
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-1.00 sec 33.5 MBytes 281 Mbits/sec
[ 4] 1.00-2.00 sec 34.8 MBytes 291 Mbits/sec
[ 4] 2.00-3.00 sec 34.6 MBytes 291 Mbits/sec
[ 4] 3.00-4.00 sec 35.1 MBytes 295 Mbits/sec
[ 4] 4.00-5.00 sec 34.8 MBytes 292 Mbits/sec
[ 4] 5.00-6.00 sec 35.6 MBytes 299 Mbits/sec
[ 4] 6.00-7.00 sec 36.5 MBytes 306 Mbits/sec
[ 4] 7.00-8.00 sec 37.0 MBytes 311 Mbits/sec
[ 4] 8.00-9.00 sec 35.6 MBytes 299 Mbits/sec
[ 4] 9.00-10.00 sec 35.5 MBytes 298 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-10.00 sec 353 MBytes 296 Mbits/sec sender
[ 4] 0.00-10.00 sec 353 MBytes 296 Mbits/sec receiver
iperf Done.
11ac-1.3Gbps接続時のCDM測定結果
【表2】スマートフォン使用時のiperf3による速度測定結果(Mbps)
11ac-1.3Gbps 11n-600Mbps
送信 206 59.1
受信 280 42.8

 iperfによる測定結果は表1の通りで、1Gbps有線LAN使用時は送信で941Mbps、11ac-1.3Gbps時は受信で298Mbps、11n-600Mbps時は送信で203Mbpsをマークした。参考までにスマートフォン(ASUS Zenfone2「ZE551ML」)を使ってiperfで測定した結果が表2で、11acが受信で280Mbps、11nが送信で約59Mbpsをマークした。

【表3】RAMDISKを使ったCDM結果(Mbps)
1000Base-T 11ac-1.3Gbps 11n-600Mbps
READ 977.8 361.7 189.8
WRITE 986.3 669.2 328.3
11ac-1.3Gbps接続時のNAS機能のCDM測定結果

 RAMDISKを使ったCDMによる測定結果は表3の通りで、1Gbps有線LAN使用時はWRITEで約986Mbps、11ac-1.3Gbps時はWRITEで約669Mbps、11n-600Mbps時はWRITEで約328Mbpsをマークした。

【表4】USBメモリを使ったNAS機能のCDM結果(Mbps)
1000Base-T 11ac-1.3Gbps 11n-600Mbps
READ 682.2 438.2 231.8
WRITE 224.3 219.2 210.0

 USBメモリを使ったNAS機能のCDM結果は表4の通りで、1Gbps有線LAN時はREADで約641Mbps、11ac-1.3Gbps時はREADで約428Mbps、11n-600Mbps時ではやWRITEで約203Mbpsをマークした。

まとめと感想

 昨年(2015年)紹介したWXR-2533DHP(記事へのリンク)のブラッシュアップ&一部機能強化モデルということで、性能的には大きな変化はないが、ベンチマーク結果を比較してみると、多くの数値は向上しており、ファームウェアによる改修は進んでいるようだ。特に、NAS機能については搭載メモリが倍増したこともあってか、書き込みの速度が倍以上になっている。

 本体色が赤の据え置き型無線LANルーターは珍しい。ほぼ黒か白の二択状態であることを考えると、非常にインパクトがある。また、今後本体色に赤を採用した製品が増えるとも考えにくいので、貴重な購入機会とも言える。

 価格から言ってメインのルーターとして使われるのが一般的だと思うが、より高速なルーターを別途導入した後も、非常に高速なイーサネットコンバーターとして使い続けることができることも覚えておきたい。イーサネットコンバーターとして使う場合、無線LAN子機を端末ごとに購入するより割安で、一般的な無線LAN子機より高速なので、接続する機器の台数によっては速度とコストのいいとこ取りができる。

(井上 繁樹)