Hothotレビュー

ASUS「ZENBOOK UX301LA-SIS」

~天板にGorilla Glass 3を採用するスタイリッシュなUltrabook

ASUS「ZENBOOK UX301LA-SIS」
12月上旬 発売

価格:オープンプライス

 ASUSは、クラムシェル型Ultrabook「ZENBOOK」シリーズの最新モデル「ZENBOOK UX301LA-SIS」を12月上旬より発売する。ZENBOOKは、同社のUltrabookシリーズの中でフラッグシップに位置付けられているが、今回登場したZENBOOK UX301LA-SISは従来モデルからさらなる薄型化を実現するとともに、フルHD超の超高解像度液晶を採用するなど、フラッグシップの名に恥じない製品に仕上がっている。価格はオープンプライスで、実売価格は269,800円前後。

天板にGorilla Glass 3を採用し薄さと強度を両立

 ASUSのクラムシェル型Ultrabook「ZENBOOK」シリーズは、Ultrabookらしい薄さ軽さだけでなく、デザイン性も追求することで、Ultrabookの中でも人気上位に位置する製品としておなじみだ。最新モデル「ZENBOOK UX301LA-SIS」(以下、UX301LA)は、これまでのZENBOOKシリーズの特徴を受け継ぎつつ、さらなる性能向上を実現している。

 UX301LAで最も特徴的なのが、やはり外観のデザインだろう。これまでのZENBOOKシリーズは、「ユニ筐体」と呼ばれるアルミ素材削り出しの精巧な筐体が大きな特徴となっていた。それに対しUX301LAでは、天板にCorning製の強化ガラス「Gorilla Glass 3」を採用。Gorilla Glassの下は、従来モデル同様の同心円状のヘアライン処理「スピン加工」を施すことで、従来からのアイデンティティを受け継いではいるが、Gorilla Glass 3採用による強い光沢感と、色が深いブルー系の「サファイアネイビー」になったことで、従来までのZENBOOKとは印象ががらりと変わっている。

 特に、見る角度によりさまざまな表情を見せる天板の色合いからは、これまでにはない圧倒的な高級感が感じられる。また、パームレスト部にはマットガラスとアルミ合金の複合素材を採用。従来より、ややおとなしい印象も受けるが、サラッとした感触で手触りはかなり良くなっている。ただし、天板のガラスは指紋の痕が付きやすく、使っているとすぐに汚れが目立つようになる。天板部の汚れは頻繁に拭う必要がありそうだ。

 従来モデルからさらなる薄型化を実現している点も大きな特徴。従来モデルのZENBOOK Touch UX31Aは、高さが最厚部で18mmだったのに対し、UX301LAは15.5mm。薄型化しつつも、筐体剛性は失われておらず、本体や液晶部をひねってみても、弱いと感じることは一切ない。重量は、公称では約1.4kg、実測では1,437.5gと公称値をやや上回っていたが、従来モデルの約1.4kgから変わっていない。総合的には、携帯性は高まったと考えていいだろう。フットプリントは、325×226mm(幅×奥行き)。奥行きが従来モデルから3mmほど増えている。

天板部分に、Corning製の強化ガラス「Gorilla Glass 3」を採用することで、これまでとは異なる質感に。同時に堅牢性も確保している
これまでのZENBOOKシリーズとは異なり、天板は非常に光沢感が強い。外光の反射によってさまざまな表情が現れ、高級感がある。また、色合いも深いブルー系の「サファイアネイビー」となり、印象が変わった
Gorilla Glassの下は、従来まで同様の同心円状のヘアライン処理が施されている。また起動時にはASUSロゴが白く光る
底面部。こちらも従来の金属的な色合いから、マットで深いブルー系のサファイアネイビーとなり、印象が変わっている。フットプリントは、325×226mm(幅×奥行き)と、奥行きがわずかに増えている
本体正面。側面下部が斜めに切り取られ、シャープな印象だ
左側面。高さは最厚部で約15.5mmと、従来モデルより2.5mm薄くなった
背面
右側面。前方は下部が斜めに切り取られてはいるが、液晶を閉じた状態ではほぼフラットな形状となっている
キーボード面にはマットガラスとアルミ合金の複合素材を採用。マット調のデザインも従来から大きく変わった点だ
液晶を開いて正面から見ると、これまでの金属感の強いデザインから大きく変わっていることがよく分かる
重量は実測で1437.5gと、公称値をやや上回っていた

WQHD表示対応の13.3型液晶を採用

 ZENBOOKシリーズは、Ultrabookとしていち早くフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の液晶パネルを採用し、Ultrabook高解像度化の先陣を切っていた。現在では、フルHD液晶はUltrabookとして標準となっているが、フルHD超の液晶パネルを搭載する製品もいくつか登場してきており、フラッグシップモデルとしてフルHDでは物足りなく感じるようになっている。そういった流れに対応するように、UX301LAでは2,560×1,440ドットのパネルが採用されている。

 液晶のサイズは、従来モデル同様13.3型。一部製品では、13.3型で3,200×1,800ドットと、さらに高解像度表示に対応する液晶を採用するものもあるが、UX301LAの2,560×1,440ドットでも十分に高精細で、近くで見てもドットはほとんど認識できない。一度に表示できる情報量は十分多く、複数のアプリを同時に利用する場合でも、それぞれに十分な領域を確保できる。

 採用しているパネルの種類は非公開。視野角はIPSパネルに比べるとわずかに狭いように感じるが、十分に広い視野角が確保されており、視野角で不満を感じることはほぼないと言える。液晶表面は光沢処理となっており、コントラストの高さや発色の鮮やかさも申し分ない。ただし、外光の映り込みはかなり激しい。

 タッチパネルももちろん搭載。10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルを搭載している。タッチによる操作は軽快で、Windows 8の操作も快適だ。液晶表面にも、Gorilla Glass 3が採用されており、傷が付きにくく高い強度が確保されている。ただし、こちらも指紋の痕が付きやすいため、定期的に汚れを拭う必要があるだろう。

液晶サイズは従来同様13.3型だが、表示解像度は2,560×1,440ドットに高解像度化された。
パネル表面は光沢処理のため、高コントラストで発色も鮮やか。パネルの種類は非公開だが、視野角も十分に広い。ただし、外光の映り込みはかなり激しい
デジカメ写真も高精細に表示可能。肉眼ではドットはほぼ認識できないほどだ
画面の一部を拡大撮影したもの。細部の模様も潰れず表示されている
表示できる情報量はフルHDの約1.78倍。Webページを2ページ横に並べてもまだ大きな空き領域がある
液晶上部中央には、92万画素のWebカメラを標準搭載する

キーボードはストロークが深く打鍵感に優れる

 キーボードは、従来までのZENBOOKシリーズとほぼ同等の、アイソレーションタイプのキーボードを採用。主要キーのキーピッチは約19mmとフルサイズで、ストロークも約1.6mmとUltrabookのキーボードとしてはかなり深い。タッチは軽めだが、しっかりとしたクリック感があることも合わせ、打鍵感はUltrabookの中でもトップクラスだ。また、標準でキーボードバックライトを搭載し、暗い場所でも快適なキー入力が可能な点も嬉しい。個人的には、「\」キーのピッチが狭くなっている点と、BackSpaceキーの上に電源ボタンが配置されている点はやや気になったが、変則的な配列はほとんどなく、扱いやすさはかなり優れる。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。十分に面積が広く、ジェスチャー操作にも対応しており、操作性は申し分ない。

キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを採用。配列は自然で違和感なく扱える
キーピッチは約19mmとゆったりしており、タッチタイプも余裕だ
ストロークは約1.6mmとUltrabookとしては深く、しっかりとしたクリック感もあり打鍵感に優れる
標準でキーボードバックライトを搭載。暗い場所ではキートップ表記が明るく浮かび上がり、快適な入力が可能
キーピッチはほぼ均等だが、「\」キーのピッチが狭い点は気になる。また、BackSpaceキーの上に電源ボタンがあり、間違えて押してしまう場合がある点もやや残念だ
クリックボタン一体型のタッチパッドは、面積が広くジェスチャー操作にも対応し、使い勝手は十分満足できる

外部ポートは必要最小限

 基本スペックは、フラッグシップモデルだけあってかなり充実している。CPUはCore i7-4500Uを採用し、メインメモリは標準でPC3L-12800準拠DDR3L SDRAMを8GB搭載する。Ultrabookでは、メインメモリの搭載量が4GBのものも少なくないが、標準で8GB搭載している点は競合製品に対する優位点と言える。

 内蔵ストレージは、容量512GBのSSDと、こちらも他のUltrabookと比べかなりの大容量となっている。加えてこのSSDは、256GBのSSDを2基搭載し、RAID 0構成とすることで、高速なアクセス速度を実現。これにより、OSやアプリの起動も非常に高速で、Ultrabookトップクラスの快適さが実現されている。なお、SSDの領域は、標準で190GBと265GBの2つのパーティションに分割されている(別途20GBの回復パーティションもある)。

 無線機能は、IEEE 802.11ac(ドラフト)/a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0に標準対応。無線LANはIEEE 802.11ac(ドラフト)に対応することで、最大867Mbpsの高速無線通信が可能となっており、有線LANがなくとも通信速度の遅さを感じることはない。ちなみに、UX301LAには有線LANポートは用意されないが、標準でUSB 3.0接続のGigabit Ethernetアダプタが付属するため、有線LANを利用したい場合にはそちらを活用すればいいだろう。

 外部接続ポートは、左側面に電源コネクタ、USB 3.0ポート×1、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャックが、右側面にSDカードスロット、USB 3.0ポート×1、Mini DisplayPortの各ポートが用意されている。映像出力を2系統備える点は大きな特徴で、Mini DisplayPortからは最大3,200×2,000ドットの出力も可能だ。

 ただ、USBポートは左右にUSB 3.0が1ポートずつと数が少ない点と、Micro HDMIにMini DisplayPortと、双方とも標準サイズのポートではない点は少々残念。Mini DisplayPortはともかく、HDMI出力はできれば標準サイズのポートを採用してもらいたかったように思う。

 ところで、UX301LAには標準で2つのポート変換アダプタが付属する。1つは、先ほど紹介した、USB 3.0対応のGigabit Ethernetアダプタで、もう1つはMini DisplayPort-ミニD-Sub15ピン変換アダプタだ。ビジネスシーンではまだVGA出力を利用する場面が多く、そういった場合にはMini DisplayPort-ミニD-Sub15ピン変換アダプタが活躍するだろう。

左側面には、電源コネクタ、USB 3.0ポート×1、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャックを配置。HDMI出力が標準サイズのポートでない点は残念
右側面にはSDカードスロット、USB 3.0ポート×1、Mini DisplayPortを配置。可能ならUSB 3.0ポートがもう1ポートあるとよかった
本体に有線LANポートは用意されないが、標準でUSB 3.0接続のGigabit Ethernetアダプタが付属する
Mini DisplayPort-ミニD-Sub15ピン変換アダプタも付属するため、ビジネスシーンでの利用にも柔軟に対応する
付属の変換アダプタを収納する専用ポーチも付属
本体の収納ケースも付属している
付属のACアダプタは比較的コンパクトで携帯性抜群
ACアダプタの電源プラグは収納式で持ち運び時の邪魔にならない
ACアダプタの重量は、実測で172.8gだった

高速ストレージ採用で体感速度に優れる

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」の6種類。比較用として、レノボの「Yoga 2 Pro」、日本HPの「HP ENVY 14 TouchSmart 14-k023TX Sleekbook」、NECの「LaVie Z PC-LZ750NSB」の結果もあわせて掲載する。

 PCMark 7の結果は、ストレージ速度に左右される傾向があり、RAID 0構成の高速SSDを搭載していることもあってスコアは比較機種より優れているが、全体的にはほぼスペック通りのスコアが記録されている。搭載CPUがほぼ同じなので、処理能力自体は他のUltrabookとほぼ同じと考えていい。

 ストレージ速度の速さは、体感で大きく効いてくる。OSやアプリの起動は非常に高速で、待たされる感覚はほとんどない。SSD搭載のUltrabookなら、どれも十分快適だが、それらと比較してもUX301LAは頭1つ抜け出した体感速度が感じられる。ちなみに、CrystalDiskMark v3.0.3を利用してSSDの速度を計測してみたところ、シーケンシャルリードが782MB/Sec、シーケンシャルライトが853MB/Secと単体SSDよりも圧倒的に早く、ランダムアクセス速度も十分に高速だった。

 次にバッテリ駆動時間だ。UX301LAは6セルのリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、駆動時間は公称で約9.1時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約7時間47分の駆動時間を確認した。公称値には届かなかったものの、実測で7時間超の駆動時間があれば、1日の外出時でもほぼバッテリ残量を気にせず使えるはずだ。


ZENBOOK UX301LA-SISYoga 2 ProHP ENVY 14 TouchSmart 14-k023TX SleekbookLaVie Z PC-LZ750NSB
CPUCore i7-4500U (1.80/3.00GHz)Core i7-4500U (1.80/3.00GHz)Core i5-4200U (1.60/2.60GHz)Core i7-4500U (1.80/3.00GHz)
チップセット
ビデオチップInte HD Graphics 4400Inte HD Graphics 4400Inte HD Graphics 4400
GeForce GT 740M
Inte HD Graphics 4400
メモリPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 4GB
ストレージ512GB SSD (256GB×2 RAID 0)256GB SSD1TB HDD + 24GB SSD Hybrid256GB SSD
OSWindows 8Windows 8.1Windows 8Windows 8.1
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score5272503940964713
Lightweight score3478338927235108
Productivity score2593248421514258
Entertainment score3746366929693309
Creativity score10280962674289077
Computation score17316171481264214772
System storage score5491528243775329
Raw system storage score6200488121935183
PCMark Vantage x64 Build 1.2.0
PCMark Suite11889119581092713177
Memories Suite6754767653447185
TV and Movies SuiteN/AN/AN/AN/A
Gaming Suite105291039493109042
Music Suite16093146341219615519
Communications Suite14537152851312817266
Productivity Suite11807126781413716765
HDD Test Suite31900402621710944003
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/A
CPU Score9448945381039468
Memory Score9139878060987558
Graphics Score3143N/A30583107
HDD Score48126394222740543741
3DMark Professional Edition v1.1.0
Ice Storm36632297991403524797
Graphics Score37743309171324424860
Physics Score33211264521774924579
Cloud Gate4834422245733958
Graphics Score6207504861904674
Physics Score2725268523892578
Fire Strike693614986552
Graphics Score7596761080593
Physics Score3935378832853677
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score6851N/A89914798
SM2.0 Score2364215338721504
HDR/SM3.0 Score2900N/A35482049
CPU Score3573N/A30653534
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット3189267339922256
CrystalDiskMark v3.0.3の結果

価格の高さだけがネック

 UX301LAは、薄型で高級感のある筐体、2,560×1,440ドットの超高解像度表示に対応する液晶の搭載、超高速かつ512GB大容量SSDの搭載など、フラッグシップUltrabookの名に恥じぬ高性能かつ完成度の高い仕様が大きな魅力。より軽量だったり、より高解像度な液晶を搭載する競合製品も存在するが、それ以外の仕様で競合製品を凌駕する部分も多く、トータルでの完成度はそれらに負けておらず、現在販売されているUltrabookの中で完成度はトップクラスと言える。

 ただ、気になるのは価格だ。確かに512GBのSSDを搭載するなど、スペック面を考えると仕方がない部分もあるが、27万円弱という価格はさすがにかなり高く感じる。コスト重視ならなかなか手が出ないだろう。とにかくスペック重視でUltrabookを購入しようと考えているなら、有力な選択肢となる製品だ。

 なお、今回取り上げたUX301LAは、「ASUSフラッグシップ・コーナー」を構える店舗と、ASUS直販サイトでの限定販売となるので、購入時には注意したい。

(平澤 寿康)