Hothotレビュー

レノボ「Yoga 2 Pro」

~QHD+液晶採用で大きく進化したUltrabook

レノボ「Yoga 2 Pro」
発売中

価格:オープンプライス

 レノボ・ジャパンは、液晶部が360度開閉し、ノートPCとしてもタブレットとしても使える2-in-1 Ultrabookの新モデル「Yoga 2 Pro」を発表した。基本的なコンセプトは従来モデルから継承しつつ、本体デザインを若干変更するとともに、3,200×1,800ドットの超高解像度液晶を採用することで、魅力が大きく向上している。価格はオープンプライスで、実売価格は189,800円前後。

3,200×1,800ドットの超高解像度液晶を採用

 レノボのYogaシリーズは、一般的なクラムシェル型ノートPCスタイルの「ノートブックモード」、液晶を180度以上開いてキーボード面を下向きに置いて使う「スタンドモード」、液晶を180度以上開いて山形に置いて使う「テントモード」、液晶を360度開いてタブレット相当として使う「タブレットモード」と、同社が「マルチモード」と呼ぶ4種類の形状で利用できる点が大きな特徴の製品。新モデルとして登場した「Yoga 2 Pro」は、このマルチモードのデザインをしっかり受け継ぎつつ、仕様面が大幅に強化されている。

 従来モデルとなる「IdeaPad Yoga」からの変更点は多岐に渡っているが、その中でも最も大きな変更点となるのが液晶ディスプレイだ。サイズこそ13.3型と従来と同じだが、表示解像度が従来モデルの1,600×900ドットから、3,200×1,800ドットと超高解像度化が実現されている。2013年秋冬モデルでは、フルHD(1,920×1,080ドット)を超える超高解像度液晶を採用するノートPCが続々登場しているが、Yoga 2 Proもその一角を占める製品だ。

 実際に画面を見ると、やはりその超高精細さに驚かされる。画面の近くで見ても、肉眼ではドットがほとんど識別できず、デジカメ写真を表示させると立体的に見えるように錯覚するほどだ。表示できる情報量は、従来モデルの4倍に増えており、デスクトップの文字サイズを100%に設定した場合にはWebページを横に3ページ並べてもまだ空きができるほど。さすがに文字サイズが100%の状態では、アイコンの文字が1mmほどと非常に小さくなり、視認性が大きく低下してしまうが、文字サイズを拡大しても十分な情報量が確保できるため、用途に合わせて情報量と視認性のバランスを調節すればいいだろう。

 パネルの種類はIPS方式で、視野角は十分に広く、視点を移動させたり、タブレットモードなどで本体の向きを変えて利用する場合でも、色合いや明るさの変化はほとんど感じられない。輝度も約350cd/平方mと従来モデルより高まっており、野外の明るい場所でも十分な視認性が確認できた。パネル表面は光沢処理となっているため、発色も十分に鮮やかで、表示品質は十分満足できるレベル。ただし、外光の映り込みが激しく、特に文字入力時にはかなり気になる。

 タッチパネルは、従来モデル同様、10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルを採用。このタッチパネルは、液晶パネルと直接接合するダイレクトボンディングにより取り付けられており、ユニット全体の薄型化も実現している。タッチパネルの反応は良好で、操作性は申し分ない。表面には強度に優れるCorning製のGorilla Glassを採用しているため、キズが付く心配も少ない。ただし、タッチ操作により表面には指紋の痕が付きやすいため、定期的に拭う必要がありそうだ。

サイズは13.3型と従来と同じだが、3,200×1,800ドットの超高解像度表示に対応。表面には、10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルをダイレクトボンディングで搭載する
文字サイズを100%に設定した状態では、Webページを横に3ページ並べて表示してもまだデスクトップに空き領域ができる
パネルはIPS方式で視野角が広く、光沢液晶のため発色も鮮やかだ
デジタル一眼レフで撮影した写真など、細部まで潰れることなく表示され、立体的に見えてくる
画面の一部を拡大して撮影。細部の模様まで細かく表示されていることが分かる。肉眼ではドットはほぼ認識できない
文字サイズが100%の状態ではアイコンの文字が1mmほどとかなり小さくなる

本体デザインを変更し利便性を向上

 Yoga 2 Proの本体デザインは、従来モデルから大きな違いはないように見える。ボディカラーは、天板および底面が「クレメンタインオレンジ」(またはシルバーグレー)、液晶面とキーボード面がブラックのツートンカラーとなっているが、これは従来モデルと同じだ。

 ただ、従来モデルでは、高さが前方から後方までほぼ均一な、フラットなボディだったのに対し、Yoga 2 Proでは前方が薄く後方が厚い、いわゆるくさび型のボディとなり、高さも15.5mmと従来モデルより1.4mm薄くなっている。また、液晶部と本体の前方が斜めに切り落とされたり、側面側の前方下部も斜めに切り落とされている。これにより、液晶開閉時に指がかかりやすくなり、液晶の開閉がやりやすくなった。

 ボディ素材は、天板及び底面がマグネシウム合金、キーボード面は樹脂と、従来モデルと同じだ。ただ、前方側をよく見ると、天板と底面よりも、内側のボディが前方にせり出していることが分かる。加えて、この前方にせり出している部分にはラバー状の素材を採用。これによって、テントモードで本体を立てて置く場合にラバー状の素材によって滑りにくくなるとともに、金属がこすれるような音も発生しなくなった。このような改善も評価できる。

 本体サイズは、330×220×15.5mm(幅×奥行き×高さ)。高さは先ほど紹介したように1.4mm薄くなっているが、フットプリントもわずかに小さくなっている。重量は公称で約1.39kg、実測で1,400.5gだった。公称よりわずかに重かったが、従来モデルから100gほど軽くなっており、携帯性は高まっている。

本体正面。天板と底面がクレメンタインオレンジ、内部がブラックと、カラーは従来モデルを踏襲
左側面。前方が薄く後方が厚い、くさび型デザインのボディに変更
背面。シルバーの板状の部分はヒンジだ
右側面。高さは15.5mmと従来モデルより1.4mm薄くなった
ヒンジ部は従来同様液晶側と本体側双方に回転軸があり、360度開閉可能となっている
本体前方と下部側面が斜めに切り取られ、従来よりも指がかかりやすくなったことで液晶の開閉がやりやすくなった。また、ラバー状のボディが天板と底面より前に出ていることも分かる
テントモードでは、ラバー状の先端が設置することで滑りにくくなり、安定してタッチ操作が可能。耳障りな金属のこすれる音も解消された
ノートPC形状では、一般的なノートPCとして活用できる
液晶を180度以上開き、キーボード面を下にして置けばフォトスタンド風に利用できる
液晶を360度開くことで、タブレット相当として利用できる
天板部分。フットプリントは、330×220mm(幅×奥行き)と従来モデルからわずかに小さくなっている。天板の素材はマグネシウム合金を採用
底面部分。こちらもマグネシウム合金を採用し、優れた堅牢性を確保
重量は実測で1,400.4gだった。公称値よりわずかに重かったが、従来モデルより100gほど軽くなっている

キーボードバックライト対応で暗所での利便性が向上

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを採用。キートップの形状や配列などは、従来モデルとほぼ同じとなっている。主要キーのキーピッチは実測で約18.5mmと十分にゆったりしている。Enterキー付近の一部キーがわずかにピッチが狭くなっているが、タッチタイプもほぼ違和感なく行なえる。ストロークはほかのUltrabook同様比較的浅いが、しっかりとしたクリック感があるためか、ストロークが浅い割には打鍵感は悪くない。ただし、Enterキーの右側にキーが配置されている点は気になる。

 Yoga 2 Proのキーボードでは、新たにバックライトが搭載された。キーボードバックライトを点灯させると、キートップ表記が明るく浮かび上がり、暗い場所でも容易にキーを認識できる。会議など暗い場所で利用する場合などに大いに重宝しそうだ。

 ポインティングデバイスは、従来モデル同様にクリックボタン一体型のタッチパッドを採用。面積は十分広く、ジェスチャー操作にも対応しており、操作性は申し分ない。

 ところで、キーボードとタッチパッドは液晶ヒンジを180度以上開くと自動的に動作がオフになるようになっている。そのため、スタンドモードやタブレットモードで利用している場合にキーやタッチパッドに触れたとしても、誤操作の心配はない。

キーボードは、従来モデルとほぼ同じアイソレーションタイプのものを採用。液晶を180度以上開くとキーボードやタッチパッドの動作がオフとなるため、タブレットモードなどでの誤操作の心配もない
主要キーのキーピッチは約18.5mmと十分にゆったりしている。ストロークは浅いが、しっかりしたクリック感で打鍵感は優れる
Enter付近の一部キーはピッチが狭くなっているが、タッチタイプは違和感なく可能。ただしEnterキーの右にもキーが配置されているのは残念
標準でキーボードバックライトを採用。暗い場所でも快適なキー入力が可能だ
クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。仕様や使い勝手は従来モデルとほぼ同じだ

外部接続ポートは最小限で割り切りが必要

 基本スペックも従来モデルから大きく強化されている。CPUはHaswellこと第4世代CoreプロセッサシリーズとなるCore i7-4500Uを採用し、基本性能を強化。メインメモリは従来同様標準で8GB搭載と、このクラスとして余裕がある点は嬉しい。内蔵ストレージも256GBと従来モデルから倍増され、より多くのアプリやデータが保存可能となっている。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。無線LANが5GHz帯域に非対応な点は少々残念だ。

 側面のポートは、左側面に電源コネクタ、USB 3.0×1ポート、Micro HDMI出力、SDカードスロットを、右側面にヘッドフォン/マイク共用ジャックとUSB 2.0×1ポートをそれぞれ備える。USBポートの少なさやMicro HDMI出力の採用など、外部接続ポートの使い勝手は最小限といったところで、やや利便性は低い。できれば、右側面のUSBポートもUSB 3.0に対応させるなどの強化は実現してもらいたかったように思う。

 ちなみに右側面には、前方側に電源ボタン、中央からやや後方側に画面回転のオン/オフボタンとボリュームボタンも配置されている。これは、タブレットモードでの利便性を考慮してのものだ。

 付属のACアダプタは、従来モデルとほぼ同じ薄型のものが付属。コネクタ部も従来同様角形となっている。

左側面には、電源コネクタ、USB 3.0×1ポート、Micro HDMI出力、SDカードスロットを用意
左側面には、ヘッドフォン/マイク共用ジャックとUSB 2.0×1ポートを備える。外部接続ポートは最小限で、拡張性はやや低い。また、画面回転オン/オフボタンとボリュームボタンも配置している
右側面前方には電源ボタンを配置
液晶上部中央には、720p対応のWebカメラを搭載
液晶下部のWindowsボタンはセンサー式を採用
ACアダプタは、従来モデルと同様の薄型タイプが付属する
ACアダプタの重量は、電源ケーブル込みで実測295gだった

最新Ultrabookとして標準的な性能を発揮

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」の6種類。比較用として、ASUSの「TransBook Trio」、日本HPの「HP ENVY 14 TouchSmart 14-k023TX Sleekbook」、NECの「LaVie Z PC-LZ750NSB」の結果も併せて掲載する。

 結果を見ると、比較機種と比べて上下している部分がいくつか見られるものの、CPUにCore i7-4500U、ストレージに高速SSDを採用するUltrabookとしてほぼ標準的なスコアを記録していることが分かる。実際に使っていても、OSの起動やアプリの動作などで不満を感じる場面は全くと言っていいほどなく、ストレスなく利用できる。さすがに、最新3Dゲームを高解像度でプレイできるだけの3D描画能力は備わっていないものの、ビジネス系アプリの利用で動作に不満を感じる場面はほぼないといって良さそうだ。

【表】ベンチマーク結果
Yoga 2 ProTransBook TrioHP ENVY 14 TouchSmart 14-k023TX SleekbookLaVie Z PC-LZ750NSB
CPUCore i7-4500U
(1.80/3.00GHz)
Core i7-4500U
(1.80/3.00GHz)
Core i5-4200U
(1.60/2.60GHz)
Core i7-4500U
(1.80/3.00GHz)
チップセット
ビデオチップInte HD Graphics 4400Inte HD Graphics 4400"Inte HD Graphics 4400
GeForce GT 740M"Inte HD Graphics 4400
メモリPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3L-12800 DDR3L SDRAM 4GB
ストレージ256GB SSD500GB HDD1TB HDD + 24GB SSD Hybrid256GB SSD
OSWindows 8.1Windows 8Windows 8Windows 8.1
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score5039295840964713
Lightweight score3389144227235108
Productivity score248495421514258
Entertainment score3669294229693309
Creativity score9626589674289077
Computation score17148162471264214772
System storage score5282152343775329
Raw system storage score488133021935183
PCMark Vantage x64 Build 1.2.0
PCMark Suite1195861951092713177
Memories Suite7676440253447185
TV and Movies SuiteN/AN/AN/AN/A
Gaming Suite10394496993109042
Music Suite1463452981219615519
Communications Suite1528593291312817266
Productivity Suite1267839121413716765
HDD Test Suite4026228901710944003
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/A
CPU Score9453940381039468
Memory Score8780881260987558
Graphics ScoreN/A326330583107
HDD Score3942256492740543741
3DMark Professional Edition v1.1.0
Ice Storm29799376201403524797
Graphics Score30917406141324424860
Physics Score26452299061774924579
Cloud Gate4222463745733958
Graphics Score5048580961904674
Physics Score2685271823892578
Fire Strike614656986552
Graphics Score6767171080593
Physics Score3788351432853677
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark ScoreN/A601989914798
SM2.0 Score2153209638721504
HDR/SM3.0 ScoreN/A250535482049
CPU ScoreN/A327630653534
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット2673281939922256

 次にバッテリ駆動時間だ。Yoga 2 Proには4セルのリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、駆動時間は公称で約8時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約7時間26分の駆動時間を確認した。

 計測条件を考えると十分な結果で、さらにバックライト輝度を落とせば、公称を超える駆動時間も実現できる可能性が高い。実測で10時間を大きく超える駆動時間を実現しているUltrabookも存在するが、実測で7時間半近い駆動時間なら、1日の外出でもバッテリ残量を気にする必要はほとんどないレベルで、十分に満足できると言っていいだろう。

価格に納得できるなら買い

 Yoga 2 Proは、360度の液晶開閉機構により、4パターンの形状で利用できるという、従来モデルの特徴を受け継ぎつつ、性能や使い勝手を向上させたことで、製品の完成度が大きく高まっている。フルHDを凌駕する超高解像度液晶の採用も合わせ、現在発売されているUltrabookの中でもトップクラスの魅力を備える製品と言っていいだろう。

 ただ、スペックが強化されたことで、実売で19万円前後と価格がかなり高くなった。約1年前に登場した時の従来モデルの実売価格は13万円前後だったことを考えると、6万円ほど高くなった計算だ。液晶のスペックやSSD容量が倍増していることなどを考えると妥協できる範囲内ではあるが、Ultrabookとしてはかなり高価な部類に入るのは事実で、この点のみがYoga 2 Proの弱点と言ってもいいだろう。それでも、仕様的には不満を感じる部分はほぼ皆無なため、この価格に納得できるなら、間違いなく買いと言える製品だ。

(平澤 寿康)