NTTドコモ「MEDIAS TAB N-06D」
〜おサイフケータイからNOTTVまで入った全部入りタブレット



NTTドコモ「MEDIAS TAB N-06D」

発売中



 NTTドコモは、NEC製Androidタブレット「MEDIAS TAB N-06D」を3月30日より発売した。地上アナログ放送の周波数帯域を利用した携帯端末向けマルチメディア放送「モバキャス」に対応するとともに、通話、おサイフケータイ、赤外線通信、防水など、いわゆる全部入りスマートフォン同等の機能を実現している点が大きな特徴だ。

●7型液晶搭載のコンパクトタブレット

 まず、「MEDIAS TAB N-06D」(以下、N-06D)のハード的な特徴から見ていこう。

 N-06Dは、7型ワイド液晶を搭載するAndroidタブレットだ。Androidタブレットでは、10.1型クラスの液晶を搭載する製品が多数を占めている中、小型軽量を実現している。本体サイズは、200×120×9.9mm(幅×奥行き×高さ)。10.1型液晶を搭載するMOTOROLA XOOMと比較すると、かなり小さく、筆者は片手でも余裕でつかんで持てた。もちろん、スマートフォンよりは大きく、手の小さい女性などは、片手で持つのは厳しいかもしれない。

 重量は公称約349g、実測で341gと350gを切っており、なかなか軽い。片手で持っていても、10.1型のように疲れを感じることはない。厚さが9.9mmと1cmを切っていることと合わせ、鞄に入れて持ち運ぶ場合でも邪魔にならないはずだ。

 本体デザインは非常にシンプル。液晶面だけでなく裏面も完全なフラットで、さらに裏面はカメラ部以外に一切装飾が施されていない。どちらかというと地味な印象も受けるが、奇をてらったデザインよりも、このようにシンプルなデザインの方が誰にでもフィットするはずだ。

 液晶の解像度は、7型と小型ながら、10.1型タブレットと同等の1,280×800ドットであり、精細さは上回る。液晶サイズが小さいとはいえ表示される文字が見にくいということはなく、小さな文字もドットを感じずくっきりと表示される。これなら、電子書籍の閲覧も快適だろう。もちろん、HD動画なども高画質で楽しめる。

 液晶の表示品質は、タブレットとして標準的だ。液晶表面が光沢処理となっているため、発色は鮮やかだが、外光の映り込みが若干気になった。

 通信機能は、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0に加え、FOMAハイスピードおよびXi対応の3G/LTE通信機能、GSMも搭載。3G機能のデータ通信速度は、FOMAハイスピードが下り最大14Mbps、上り最大6.7Mbps、Xiが下り最大75Mbps、上り最大15Mbps(屋外では下り最大37.5Mbps、上り最大12.5Mbps)となる。また、Xi対応ということで、追加料金なしのテザリングにも対応しており、最大5台のWi-Fi対応機器を同時接続できる。

 その他の仕様は次の通り。CPUはQualcommのデュアルコアプロセッサ「Snapdragon S3 APQ8060(1.2GHz)」で、メモリは1GB、内蔵ストレージは16GB。外部メモリスロットとしてmicroSDカードスロットが用意されており、最大32GBのmicroSDカードに対応。カメラは、背面および液晶面に約200万画素のCMOSカメラが搭載されており、背面カメラにはLEDフラッシュも搭載。センサー類は、GPS、加速度センサー、デジタルコンパス、近接センサー、照度センサーを搭載する。

 接続ポートや物理ボタンは本体上部または下部側面に配置され、左右側面にはポート類などは一切配置されていない。下部にはストラップホール、ステレオマイク、充電用端子、ドコモmini UIMカードスロット、ヘッドフォン/マイク端子が、上部にはボリュームボタン、ステレオスピーカー、電源ボタン、Micro USBポート、microSDカードスロット、ワンセグ/モバキャス共用アンテナが用意されている。また、液晶面右側面にはタッチセンサー式の戻る、ホーム、メニューボタンがある。

 OSはAndroid 2.3となっており、7月以降にAndroid 4.0へのアップデートが予定されている。

正面。液晶サイズは7型で、表示解像度は1,280×800ドット。光沢処理のため発色は鮮やかだが、外光の映り込みは気になる フットプリントは、200×120mm(幅×奥行き)。10.1型液晶搭載のMotorola XOOMと比較するとかなり小さい 筆者の手は比較的大きいので、片手でつかんで持つことも余裕で可能だった
側面下部。高さは9.9mmと1cmを切っており、非常に薄い 左側面。下部から上部まで一定の厚さとなっている 側面上部。物理ボタンや各種コネクタなどが用意されている
左側面。左右側面にはボタンやポート類は一切配置されていない 背面。カメラ部以外には装飾は全くなく、非常にシンプルなデザインを採用。カラーもシルバーのみとなる 重量は実測で341gだった。片手で持って使っていても疲れを感じることはなかった
背面カメラは、約200万画素のCMOSセンサーを採用。LEDフラッシュも搭載する 液晶面にも約200万画素のCMOSカメラを搭載。通話機能対応で、カメラの下には受話用スピーカーも用意されている 通話機能も搭載。受話用スピーカーと側面下部のマイクを利用し、本体だけで通話が可能
側面下部には、中央付近に充電用端子、その右にマイク、ドコモmini UIMカードスロット、イヤフォンマイク端子を配置 下部左側面にはストラップホールを用意。その右の穴はマイクで、マイクはステレオだ 物理ボタンは上部側面に集められており、電源ボタン(写真左側)とボリュームボタン(写真右側)を配置。電源ボタンとボリュームボタン中央の穴はスピーカーの穴だ
上部側面には物理ボタンの他に、microSDカードスロットとMicro USBコネクタを用意。microSDカードスロットの左にはスピーカーの穴がある 上部にはモバキャスとワンセグの共用アンテナも搭載している 液晶面には、タッチセンサー式の戻る、ホーム、メニューボタンを用意
オプションの充電スタンド。ACアダプタを接続しておけば、N-06Dを置くだけで充電が可能。もちろん、スタンドに置いた状態でNOTTVの視聴などが可能だ スタンド後部にはACアダプタ接続用のMicro USB端子がある。ただしUSB通信機能は提供されない スタンド底面のフタを開閉することで、設置角度を2段階に調節可能

●通話、おサイフ、ワンセグ、赤外線、防水と全部入り

 N-06Dは、タブレットながら通話機能に加え、FeliCa搭載によるおサイフケータイ機能、赤外線通信機能、ワンセグ機能など、いわゆる日本独自機能をすべて網羅している。

 通話機能だが、これはIPフォンアプリを利用した機能ではない。N-06Dには、先ほど紹介したようにFOMAハイスピードおよびXiに対応する3G通信機能が搭載されており、携帯電話やスマートフォンと同等の通話機能となっている。液晶面には受話用のスピーカーと底面にマイクが搭載されており、スマートフォンと同じ感覚で通話が可能だ。

 また、裏面カメラ部分にはFeliCaが搭載され、EdyやモバイルSuicaなどのおサイフケータイ機能が利用可能。カメラ横には赤外線通信ポートも用意され、赤外線通信対応のスマートフォンや携帯電話との間で連絡先の転送も可能。さらに、ワンセグも搭載しており、地上デジタル放送の番組を視聴できる。こういった点からN-06Dは、いわゆる全部入りスマートフォンを、そのまま大きくしたものと言っていいだろう。

 さすがに7型タブレットは電話代わりとして使うにはかなり大きく、実際に通話する場合はBluetoothヘッドセットなどを利用した方がスマートだし、おサイフケータイ機能もやや使い勝手が悪いかもしれない。ただ、妥協なく豊富な機能を盛り込んでいる点は、他の一般的なAndroidタブレットに対する優位点となるのは間違いなく、大いに評価したい。また、IPX5/7相当の防水性能を有しており、台所や洗面所などの水回りで水濡れを気にせず使える。

 そして、もう1つ忘れてはならないのが、携帯端末向けマルチメディア放送「モバキャス」に対応している点。防水機能もあるので、コンテンツを文字通り好きな場所で楽しめる。これもN-06Dの大きな魅力といえる。

 タブレットの操作性は、スマートフォンに比べるとはるかに快適。また、10.1型タブレットとの比較でも、手に馴染みやすいサイズと言うこともあって、N-06Dの方が文字入力などがやりやすいと感じた。ちなみに文字入力には、ソフトウェアキーボードや手書き入力を利用できる。そして、フルキータイプのソフトウェアキーボードでは、中央から左右に分けて表示でき、そのサイズも自由に変更できる。手で持って文字を入力する場合でも指が届く範囲内にキーボードを表示でき、非常に入力しやすく感じた。

裏面カメラの上部にはFeliCaマークがあり、おサイフケータイなどに対応。またカメラ右は赤外線通信ポートだ 携帯電話などの対応機器との間で、赤外線を利用したデータ送受信が行なえる IPX5/7相当の防水性能を備えており、洗面所や風呂場などの水回りでも安心して利用できる
文字入力は、フルキー入力やフリック入力など、他のスマートフォンやタブレットと同様の入力方法をサポート フルキーは、中央から左右に分割して表示可能。表示範囲も自由に調節できるので、自分の指の届く範囲にキーを表示でき、快適な入力が可能だ 手書き文字入力にも対応している

●携帯向けマルチメディア放送「モバキャス」対応

 N-06Dが搭載するモバキャスは、地上アナログ放送で利用されていた周波数帯域を利用したマルチメディア放送で、4月1日よりmmbiが「NOTTV」3チャンネルを放送している。通常のテレビ放送と同じリアルタイム番組と、深夜の時間帯に本体内に蓄積されるシフトタイム番組という2種類の番組形態が用意されている。NOTTVは有料放送で、一部を除き月額420円で視聴可能となる。

 リアルタイム番組は、MPEG-4 AVC/H.264形式で解像度は720×480ドット、フレームレート30fpsとなっており、ワンセグよりもはるかに高画質。また、蓄積型コンテンツのシフトタイム番組は、オリジナルコンテンツや電子書籍型コンテンツなどが用意されており、こちらではHD画質の番組の配信にも対応している。

 筆者宅(東京都新宿区)や飯田橋付近などでNOTTVの視聴を試してみたが、確かにワンセグ放送よりもはるかに高画質で、情報番組はもちろん、プロ野球やJリーグの中継も申し分なく楽しめた。N-06Dの7型液晶では、ワンセグの映像を見るとかなり荒さが目立つのに対し、NOTTVの映像は地デジ相当とはいかないものの、地上アナログ放送同等以上のクオリティを実現していると感じ、全画面表示でも十分満足できる映像品質を備えている。

 ただ、放送電波はそれほど強くないようで、野外や窓に近い室内での受信は全く問題なかったものの、窓から2mほど内側に入った室内では受信が厳しく、筆者宅で外から最も奥に位置している風呂場などでは全く受信できなかった。これでも東京23区内は条件がいい方で、関東でも郊外ではかなり受信が難しい場所も多くあるようだ。サービスエリアの狭さも課題で、普及には早急なサービスエリアの拡大が不可欠だろう。

 また、リアルタイム放送の録画に対応していなかったり、HDMIによる出力もサポートされていない(もともとN-06DにはHDMI出力ポート自体が用意されていないが、仮にHDMIポートが用意されていたとしても非対応)という点も気になる部分だ。リアルタイム放送でせっかく見たい番組があっても、見逃すと二度と見られない。また、高画質なので、大型テレビに表示させて楽しむことも十分可能と思われるが、映像出力に対応しないため、それも不可能。こういった自由度の低さも課題の1つと思われるので、今後改善を期待したい。

 ちなみに、N-06Dには、NOTTVだけでなく、DTCI-IP対応のDLNAクライアント「DIXIM PLAYER」も標準搭載。DTCI-IP対応レコーダーなどで録画した番組をネットワーク経由で視聴できる。

mmbiが放送している「NOTTV」に対応。筆者宅では窓の近くでは問題なく視聴できたが、部屋の奥に入ると電波が届かず視聴できなかった DTCP-IP対応のDLNAクライアント「DIXIM PLAYER」を搭載。DTCI-IP対応レコーダーなどで録画したテレビ番組をネットワーク経由で視聴できる

【動画】N-06Dを操作している様子

●AV機能の充実した高機能タブレットとしてオススメ

 ここからは、N-06Dのパフォーマンスをチェックしていこう。まずはじめに、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、「Quadrant Professional Edition Version 2.0」と「AnTuTu Benchmark v2.7.3」の2種類。比較として、Sony Tablet P Wi-Fiモデル、Sony Tablet S、ASUS EeePad TF201、Motorola XOOMの結果も掲載しているが、それぞれOSのバージョンやベンチマークテストのバージョンに違いがあるため、参考値として見てもらいたい。

 まずQuadrant Professional Edition Version 2.0の結果だ。結果を見ると、クアッドコアCPUのTegra 3を搭載するEeePad TF201にはさすがに劣るものの、デュアルコアCPUであるTegra 2 1GHzを搭載するSony TabletシリーズやXOOMよりもスコアが上回っている。N-06DのCPUは1.2GHz動作のSnapdragon S3 APQ8060なので、動作クロックの違いとも言えるが、細かな結果を見ると、CPUの処理能力は若干Tegra 2に劣っているのに対し、I/Oのパフォーマンスは大きく上回っている。これが、トータルのスコアがTegra 2搭載機種を上回った要因だろう。

 それに対し、AnTuTu Benchmarkの結果を見ると、CPUは整数演算能力はTegra 2を若干上回っているものの、浮動小数点演算能力は大きく下回っており、トータルではTegra 2を下回る。これはQuadrantの結果とほぼ一致する。ただ、その他の結果はTegra 2搭載機種と比較して若干の優劣は見られるが、それほど大きな違いとはなっていない。また、Total scoreもTegra 2搭載機種とほぼ同等だ。

 体感速度はと言うと、Tegra 2搭載機種と比較して優劣付けがたい印象だった。N-06Dの動作は非常に軽快で、Home画面の操作やWebブラウザの操作時に引っかかりや重さを感じることは全くなく、快適そのものだった。そういった意味では、ベンチマークテストの結果はそれほど気にしなくていいように思う。

Quadrant Professional総合
Quadrant Professional詳細

【AnTuTu Benchmarkの結果】
  XOOM Wi-Fi TBi11M
Android 3.2
EeePad TF201
Android 3.2.1
Sony Tablet S
Android 4.0
Sony Tablet P
Wi-Fiモデル
Android 4.0
MEDIAS TAB N-06D
Android 2.3
バージョン v2.7.3 v.2.5.4 v2.7.3 v2.7.3 v2.7.3
RAM 743 2217 835 832 973
CPU integer 1288 3722 1436 1456 1566
CPU float-point 1107 2922 1102 1102 643
2D graphics 289 291 294 230 245
3D graphics 872 1189 880 958 1065
Database IO 307 345 260 365 263
SD card write 93 146 85 112 84
SD card read 184 192 193 191 194
Total score 4883 11022 5084 5226 5033

 次に、バッテリ駆動時間だ。N-06Dには容量3,610mAhのバッテリが内蔵され、3G利用時の連続待ち受け時間約560時間、連続通話時間約610分とされている。今回は、Wi-Fi接続時にNOTTVを連続視聴した場合の駆動時間と、Xi接続時にWebブラウザでYouTube動画を連続視聴した場合の駆動時間を計測した。バックライト輝度はどちらも最低、Bluetoothはどちらもオフに設定し、NOTTV連続視聴時は3G機能はオンに、YouTube連続視聴時はWi-Fiはオフに設定して測定した。

 結果は、NOTTV連続視聴で約6時間33分(ただし、バッテリ残量5%でNOTTV視聴アプリは終了、その時点での経過時間は約6時間14分)、YouTube連続視聴時で約4時間02分であった。Xi接続は消費電力が高く、駆動時間がかなり短くなってしまうようだ。ただ、常に液晶画面に映像を表示していたことを考えると、まずまず満足できる結果と言える。画面表示をオフにしてXiのWi-Fiテザリングを利用する場合では、Xi対応スマートフォンよりも圧倒的に長時間の利用が可能なはず。もちろん、通信機能をオフにして動画を再生させるだけでも、長時間の利用が可能なはずで、使い方によっては1日充電せず利用可能と考えていいだろう。

 N-06Dは、NOTTV対応端末の第一段として登場したAndroidタブレット。7型液晶搭載で小型軽量ボディを実現するとともに、NOTTV以外にワンセグ、おサイフケータイ、赤外線、防水と、いわゆる全部入りスマートフォンと同等の機能を詰め込みつつ、FOMAハイスピードやXiを利用した高速データ通信に通話機能も実現しており、機能的に不足と感じる点は全くといっていいほどなく、NOTTV対応という点を除いても、非常に完成度の高いタブレットと言える。

 スマートフォンと同等に利用するには、ややサイズが大きいものの、現行のAndroidタブレットの中では、機能面や使い勝手など、他の製品を一歩リードする存在と言って過言ではないだろう。そういう意味で、NOTTVに興味がないユーザーにも自信を持っておすすめしたい製品だ。

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(2012年 4月 25日)

[Text by 平澤 寿康]